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I~これが私~

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『楽園の薔薇』2.闇を光で<5>

2010-12-05 22:21:15 | 小説『楽園の薔薇』
楽園の薔薇

2.「闇を光で」イスフィール大作戦!!

<5>

「…ここってどこ?」
イスフィールは完全に迷子になっていた。
(だって!小さい頃から外に出ていないんだもん。仕方ないよ、これ!あ~私ってすごいバカ…)
心の中でぶちぶち言いながら歩いていく。
ため息だって、10回はもうとっくに超しているだろう。
「引き返そうかな…」
そうつぶやいて回れ右。しかし、もうどこを通ってきたかも不明である。
(どうしよう!?)
また回れ右するとどうなるでしょう。
(ま、カンでいこう…)
正解は、最初の向きに戻る。←分からない方、やってみて。
どんどん進むと途中で誰かに呼び止められた。
「お前、イスフィールって奴、知ってるか?」
「れ」
レイアースと言いそうになったが「れ」でとどめる。
ということは、自分が出てからすぐに戻ってきたようだ。
「だ、だれだよ、それ!イスフィールなんて知るか!それに、わ、じゃなくて~俺の名前はイズライール!人違いなんてすんなよ!めーわくだからなっ!!」
最後の「めーわく」と言うところだけ力を込めた。
これはイスフィールとしての気持ち。
もしバレたら、すごいことになる。
『エプスタイン家の薔薇姫が家出!』
などということになりかねない。
というより。
(私って、男のフリ上手なのかな~。ちょっと悲しい。)
だって。
「そうか…。」
とかなんとか言いながら、レイアースもどこか行っちゃったし。
(こりゃ、本物だと勘違いしてないか…?)
逆にガッカリってかんじ。
(おっと、どんどんマイナーになってしまう。そうそう、目的はラクリーン家の調査!)
イスフィールは心の中で自分を応援した。


written by ふーちん


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