極個人的発言録Blog

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「あなたの余命教えます」 幸田真音

2012-09-24 22:16:07 | 読んだ本
大仰とも見えるタイトルにつられて読んだ作品(笑)

定年を4年後に控えたサラリーマン。中堅企業でそこそこの出世をし、平凡に過ぎ行こうとしていた彼の日常に、突如として降って湧いた「余命」の2文字。
様々なスタンスで「命の期限」に向き合い、翻弄される人間の姿を描いている。


人は誰しも「いずれは自分も死ぬ」ということを知っているよね。
それが「いつか」は分からないけれど、確実にその日はやってくる。もしかしたら明日かも知れないし、3年後かも知れないし....それなのに、誰も絶望することなく今を生きていられるのは「期限を切られていない」からなんだろうな。
人は本能的に「自分に都合のいい解釈・思い込み」をするものだからね。「まさか俺が...」という具合に自分の死を現実的なものとしては捉えないんだよ。

そんなご都合主義的な日常に対して、事務的に与えられる、一定の信憑性を備えた自分の「命の期限」。
その瞬間から「死」が自分の支配から離れ、一転して自分を追い詰める存在に代わるわけだ。
淡々と、容赦無く「死の約束」を履行する死神のように。

一方で、死という絶対的な存在によって、今の「生」が際立つ。
漫然と過ごしていた「生ある日々」の価値が相対的に跳ね上がるんだね。
一分一秒をかけがえの無いものと感じるようになり、その限られた時間を可能な限り有意義に過ごすため、否応もなく自分自身の本当の気持ちに向き合うことになるわけだ。

この物語の主人公も、自身の余命と向き合う中で、苦しみながらも「終の生き方」を見つけていく。

結果的には幸運だったのかも知れないな。



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