極個人的発言録Blog

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「40 翼ふたたび」 石田衣良

2010-08-18 11:39:24 | 読んだ本
石田衣良といえば「池袋ウエストゲートパーク」「秋葉原@DEEP」といった現代の風俗や社会、若者文化を背景にした作品の印象が強い。そして、NHKの若者をテーマにした番組に出演していたり、何かとメジャー志向なイメージで「なんだか派手好き?」って感じで好感は持っていなかったのが正直なところ。
でも、今やっているドラマ「美丘」の原作者ということもあって最近の印象は強かった。で、図書館で手に取ったのがこの作品。
タイトルの「40」が年齢のことだと分かって迷わず借りたんだけど、想像以上に良い作品だったよ、うん。

簡単に言ってしまえば「40歳のオッサンがため息ばかりの生活から脱出するサクセスストーリー」。
ちょっと話が上手くいき過ぎな点は「そういう話なんだ」と割り切れば楽しい(笑)


冒頭、40歳という【微妙に不安定で危険な時期】に、まんまとつまづいてしまった彼の、やるせない心境と、先の見えない不安に対してどうすることもできず、半ば自棄になりつつある心の動きに切なくなる。

自分自身40歳となり、確かに「人生の折り返し地点なんだなぁ」と感じたりしているから。
仕事も結婚生活も子育ても、全てのことが当初の勢いや「無我夢中感」を失って、何となく惰性って感じがしてしまうんだよね。
訳知り顔で「そういうもんだから仕方無いよ」と諦めが早くなる一方で「やってらんね~」という気持ちも沈殿している。
何だろう、社会に出て18年近い歳月を経る中で、少しずつ発生した誤差が、ついに許容範囲を超えるのがこの時期なのだろうか?
いわゆる「オーバーホール」の時期なのかも知れないね。
この時期に上手に自分をオーバーホールしてリカバリーできた人は残り半分の人生を滑らかにこなすことができる。そんな大切な時期なのかも知れない。うん。


この物語の彼は幸運にも再浮上の糸口をつかむことができた。
そしてその小さなキッカケを、まるで「わらしべ長者」のように少しずつ太く大きなものに換えていく。
それを可能にしたのは、間違いなく彼のパーソナリティだろう。
生来の実直さ、「引き受けた以上は...」という責任感が彼の大きな助けになったのだ。
つまりそれは結局「折り返し地点までの前半をどう生きたかが40歳というターニングポイントの成功を左右し、人生の後半を決める」ということなのだろう。

では俺はどうだろう? この40歳という時期をどう乗り切れるのだろうか?
新たな推進力を得て、能動的な日々のスタートをきれるのだろうか?
正直さっぱり自信が無い...orz


さて、この物語。
サクセスストーリーの爽快感が大きな魅力ではあるけれど、それだけでは無い「ユーモア・笑い」や「感動」も絶妙のバランスで織り込まれている。
【ブログ】【引きこもり】【コスプレ】といったイマドキのキーワードに加え【離婚】【病・死】といった定番の要素もあって、まさに「お腹いっぱい」(笑)
正直、時には声を出して笑ったり、感動に鼻の奥がツンときたりしてしまったよ。1冊で何度も美味しい、結果的には心洗われる佳作だと感じたな。
アラフォー男性には是非読んでみて欲しい1冊だよ。うん。


詳しく「40 翼ふたたび」をチェック!



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