VINTAGE WIREをスピーカーケーブルに
使う場合は、その一つ一つの導体の音質的役割を熟知している
必要があります。
仮に3wayの内容を持つスピーカーケーブルを作ろうと
する場合、低域用には太めの導体を用意することになります。
勿論、0.5mmの単線でも音は出るのです。
しかし、その音は低域に力感が不足してしまいます。
何故なら瞬発的に大きな電流が流れる時に細い導体では
多くの電子を一挙に動かす(導体内の自由電子の量が)
のが難しいのです。これはコンデンサーと理屈は似通っているのです。
したがって低域用の導体は太めに「単線」で設定することが鍵となります。
しかし多くのメーカーでは単線の屈曲性の悪さを嫌い、撚り線を
選択せざるを得ません。ここが大きな分かれ道となります。
2014年以前はTMDも撚り線を一部、屈曲部に使用していました。
単線の板と板、棒と板を繋ぐチェーンとしての使用法です。
現在では、95%はチェーン部も単線を組み合わせて作っています。
この差は混濁感の減少として現れます。
撚り線ではどうしても音がクロストークし、プリントアウトに例を
取ると滲んだ画像が出てきます。
ここまでは低域用の話です。
中域用の導体には丁度良いサイズがあります。
フルレンジスピーカーでは16cm~20cmぐらいと言うところでしょうか?
この帯域を通すのに丁度良い導体を用意します。
ビンテージなワイヤーの凄いところは皆様の想像とは裏腹にワイドレンジな
所です。かなり上も下も出ます。そして音質そのものもエネルギー感に
溢れるものです。こうした貴重な導体は今や生産すること自体が難しく
TMDもその確保には常に努力しているのです。
最後に高域です。高域といえばほぼビンテージ・ワイヤーの独断場と
言えます。高域が出ることで知られる銀よりも更に超高域が伸びている
ビンテージ・ワイヤーが存在するのです。
これらの素晴らしいビンテージ・ワイヤーを3way~7wayぐらいの
分割伝送をする事で分解能の高いスピーカーケーブルは作られます。
また並列(パラレル)伝送だけではなく直列(シリーズ)伝送にも
大きな意味があります。直列伝送の場合、幾つかの異なる導体の
音色が混ぜ合わさる事になります。例えば色で説明すると
並列(パラレル)伝送の時は低域が黒、中域が赤、高域が青と仮定すると
その各々の色がそのまま出てきます。
しかし直列(シリーズ)伝送の場合は黒、赤、青が混ざった別の色が
出てくるのです。
これはオーディオシステムそのものにも言える事で
CDP、プリ、パワー、スピーカーと音楽信号は直列(シリーズ)伝送
される事により全ての機器のCOLORが混色されて出てきます。
組み合わせが大事だと言うのは、こうした理由からです。
スピーカーケーブル内部でも好みの音色を創るにはこうした
テクニックも必要となってきます。
TMDのスピーカーケーブルの場合、こうしたデリケートな音色調合を
周波数帯域ごとにバランスさせて、作り上げているので
解像度が高く、歪みが少ないダイナミック・レンジの広い音質を
得る事ができているのです。
※次回からはRCA CABLEの解説を致します。