TRIOは10年ぶりに発表するTMDのACタップです。 STRATEGIC AC-TAPと名乗っているのは非常に戦略的な使い方ができるからです。つまり各アウトレットは専用の音傾向を持たせている為、どの機器をどのコンセント に挿せば自分の好みに近づけるかが選択できることになります。このページの下の方に推薦する接続法が書かれていますが、これまでの世界のAC TAPではコンセントによる音質の違いは殆どなく、音作りに積極的に活用することはできませんでした。しかしTMDのTRIOでは例えば高域を出したい機 器はGE(向かって右側)に挿せば良く、以下、中域はLEVITON、低域はEABLEと音作りが可能なのです。また上流、中流、下流の信号の流れに沿っ て機器を挿しても良いわけです。まさかACコンセントでもビンテージが良いなどとはTMDも最初は思っていなかったのです。しかしやってみて驚きました。 昔の製品は非常に音質が良い物が多くその中から厳選してこのTRIOでは3種を選びました。既にコンセントそのものにも音色傾向がありますから、それを更 にTMD独自の回路配線によって、より的確に戦略的なACタップに仕上げる事ができました。内部にはTMD独自のスタビライザーが数種類、格納され音色作 りをしています。また配線材も帯域ごとに最適なものを使用していることは言うまでもありません。ですので外観的に似ているような物があったとしても似て非 なる物なのです。まずはオーディオ評論家の鈴木裕氏の評価をお読みください。
TRIOの音色(使用LINE CABLE(PRE-POWER)はKGB3、デジタルはウラノス)
音質についてはTMD試聴室での以下のレポートをお読みください。
メロディ・ガルドーを聴く
いつものようにメロディ・ガルドーの7曲目から始めました。大変に太く豊かで細部まで音が良く見えるバランスの良さです。低音の重心の低さは顕著で安定感に 直結しています。中域はリッチでマイルドな口当たりです。高域は解像度に優れセパレーションの良さと相まってhigh-resolutionな世界を展開 します。一口によい音と言っても各種ありますが、この音を聞いていてふと私が子供の頃に聞いたテアトル東京の映画館の音を思い出しました。映画は「ベン ハー」でした。この当時の映画システムの音は現代の音とはまた違ったWE系のシアターサウンドでその超弩級のサウンドは歴史に残る物でした。このタップを 使う事によって音は確実に変貌します。とにかく鳴りっぷりが良く音が前後にも立体的に広がります。
ガルドーの5曲目では繊細なタッチの表現は勿論、雄大な響きを伴う音も出てきます。これは中低域から低域にかけての圧倒的な安定感がそう感じさせるようです。
寺島セレクションを聴く
寺島さん編集のCDから9 曲目。ここで吃驚したのはシンバル・レガート、何かいつもと違う、よくよく聞くと「カーン」「カーン」と響くその音は「カ」が右端から聞こえ始め「〜ン」 の頃は中央を横切りやや左側に尻尾が流れていく。その様子がいつもだと朧げになんとんく聞こえるのだが、このタップで聴くとその余韻の「〜ン」の幅が広く余韻の尻尾も全然長く聞こえるのだ。これには驚いてしまいました。たかがタップもされどタップという事で
音 の電源部での変化はやはり大きいと認めざるを得ない瞬間でした。しかしながら、こちらの音の方がより現実的な実音に近いので、これまでは出ていなかったの だなぁ..と感嘆しきり...。そして当然ですがその後のシンバル・ワーク全体もリファレンスにしているTMDタップ(10年以上前の物)よりも遥かに納 得のいくものでした。ピアノの音は神経質ではなくリッチネスに溢れた豊穣な音とでも言うべきもの。一方ベースは腰の座りも良くやはりこちらに軍配を上げら れる。腰の座りは良いのに動きが鈍くならないところがまたいい。一言で言うと説得力が増した。
クラプトンを聴く
このアルバムの2曲目は非常に快活で粒立ちの良さが吟味されるものですが、このパーカッシブとも言える俊敏な音の立ち上がりが熱気をやや含んだパワー感に支 えられているところが素晴らしい。ボーカルがまた良い。これまでのタップだともう少しだけリアルさが欲しいと願っていた所、このタップではその欲しい部分 が充填された。クラプトンの声が明らかに肉太になり温かみ、人肌感が伝わって来る。隙間から聞こえて来るハモンドオルガンの音も妙にリアルで気持ちいい。 そして初めてこのタップでアコースティック・ギターもコード・カッティングをしているのが聞こえてきた。このようにこのTRIOタップに交換すると各曲、 最低1個ぐらい楽器や発音数が多く感じられる事になるのです。4曲目はバラードですが、やはりVOCALが美味しいです。ボーカルって要するに歌い手の人 肌感などが伝わって来るのが最も嬉しいのですが、この場合、声とともにクラプトンの人格のようなものまで伝わって来るのですから・・まことにオーディオは 不思議です。バックの演奏も言うことのない仕上がり。・・・幸せな時間。
マイクヒックスの場合
マイク・ヒックスは2 曲目ですが・・まずイントロが堂々としています。そして温度感は高め、私は好きですね。ピラミッド・バランスなので聴きやすいです。豊かな中域、座りの良い低域、うるさく無く聴きやすい高域、長時間聴いても疲れないバランスです。何と聴きやすい音なんだと思いました。それでいて情報量は物凄く多く出ている ことに気づくのです。
IONAを聴く
IONAはまず1曲目、サウンド・ステージの奥行き方向が明らかに増し、まず演奏される舞台が大きくなった感覚です。その為か曲がゆったりと聞こえ、低域は下の下の方まで出ています。エフェクト的な音の表情も豊かです。11曲目ではこれまた広大な音場を感じます。元々そのように録音されているのでエンジニアの意図は十分に伝わります。ボーカルは女性ボーカルなのですがが良い意味で太い音になりました。つい聴き込んでしまい試聴を忘れた数分がありました。安らいでしまったのです。
Pink Floydを聴く
通奏低音という音楽用語がありますが、この曲のイントロはそんな言葉では片付けられない奥行きと味わいがあるのですが、このタップになると益々その内容の DEEPさが伝わってきますね。ピンクフロイドと言うバンドが作る楽曲はロックバンドが創る現代建築のようなところがあり哲学的なその雰囲気が世界中のファンを惹きつけますが、全体を通してこのタップだとレボート用紙5枚ぐらいだった内容が一挙に15枚になったようなスケールアップが成されます。音は厚く太く、そして細やかな表情も素晴らしいです。このタップはクラシックにも良さそうです。
まとめです。このTRIOタップは通常は下記の推薦する使い方でお使いいただければ問題無く稼働します。従来のタップの単調で音味が一種類しか無かったものに較べると一気に自由度が増します。つまりCDプレーヤーやアンプの音を電源側で変化させられるからです。音 的にはとにかく雄大で悠々とした低域をベースに豊かでリッチな中域、そして全くうるさくないのに解像度、情報量に溢れた高域と言えます。これらが前後にも 立体感を増し、そして後方にも広い奥行き感が得られねのです。この素晴らしいサウンドステージで描かれるリスニング・タイムは幸せな時間になります。癒されましたね。