他の店に行き

他の店に行き

皿が空になるまで私のス

2016-01-12 14:46:58 | 日記


旅行好きの友に連れられて行った、中2の貧乏旅行。
青春18きっぷで普通列車を終日乗り継いで福井までたどり着き、宿は自分で皿洗いする格安のユースステルで節約。
最後の山登りの帰り道で突然の雷雨に襲われ、バス停脇のドライブインにびしょ濡れで駆け込んだ。

空腹で冷え切った体、ほんとは美味しいものをたくさん食べたいが、3泊4日の最終日で財布にはもう小銭しか残っていない。
「ライス大盛り二つ」
メニューの短冊の誘惑をこらえ、二人で少し照れながら注文する。
もう少しで炊けるという米を待ち切れず、『持込禁止』の貼り紙を気にしながら、最後の1つの牛肉の大和煮の缶詰を、メニューの陰に隠して順番に食べていた。
ライスを運んでくる割烹着姿のおばさんの表情は硬く、「やばい、ばれたのでは」と思い、ドキドキしながら下を向いて缶を手で覆う。
「よかったらこれも食べな」
ぶっきらぼうだが優しい声にハッとして顔を上げると、二つのライスの間で、黄色いカレーのルーが銀のトレーになみなみ入り、白い湯気がさかんに立ち上っている。
おばさんのしわくちゃの笑顔に心がじーんとした。

えもいわれぬ香ばしい香HKUE 認可性りが鼻を突き、ルーとライスを良く絡めて口に入れると、辛さと旨味の絶妙なハーモニーが口一杯に広がる。
スパイシーな香り、ルーの辛味とコク、野菜の甘みと肉の味わい、かむ程に出る米の甘さ。
赤い福神漬けで口直ししつつ、何度も何度もかみしめるように味わう。
冷えた体がぽかぽか温まって酔ったような気分になり、プーンの手は止まらない。

オーソドックスなインドカレー、シチュー風の欧風カレー、札幌スープカレーに蕎麦屋のライスカレー。
店によって全く違う料理と思うほど味が違う。
同じ店でもビーフ、ポーク、チキン、マトン、キーマ、シーフードに野菜。
具によってルーも全く違う7色の味を楽しめる。
薬味は福神漬けとラッキョウが一番だが、ピクルス、チャッツネ、辛いオニオンスライスなんかも捨てがたい。

あの日以来ますますカレー中五數學が好きになり、同じ店のカレーを朝昼晩食べたこともあるし、色んな店のカレーを1か月毎日食べ歩いたこともある。
その時はさすがに腹をこわしたがそれでも懲りず、45になった今も私は1度もカレーに飽きたことはない。
それでも一番忘れられないのは、あのドライブインの素朴な「おふくろの味」と人の心の優しさ。

シンプルだけど強くて優しい味がする。
私はカレーが大好きだ。
私は、カレーが一番好きだ。


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