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月の庭

日々の散財と興味のすべて。そして何もない日常の記録です

菲靡靡之音/My Favorite

2008-06-18 21:02:03 | 王菲
全曲、彼女の敬愛する麗君(テレサ・テン)のカバーで構成されています。「靡靡之音(=みだらな音みたいな意)」というのは、当時の中国政府がテレサの音楽を低俗なものと批判して云ったことだとか。それをタイトルにする強烈な皮肉は、いかにもフェイらしい。しかしながら、デビュー6年目にして、ついに辿りついた彼女の音楽のルーツを体現するこのアルバムが、皮肉にもテレサの追悼盤になるとは、まさかフェイも考えていなかっただろうけど。
テレサの原曲を聴いたことがないので確実なことが云えないんですけど、日本での数々のヒット曲から考えるに歌謡曲……のはずなんですが。なんなんだろう、もう完全にフェイ・ウォンワールドというか。デビュー当時の曲が歌謡曲っぽくて泥臭いなんて云ってましたが、この差は一体なんなのか。
ヴォーカルの浮揚感、透明感がフェイらしい『雪中蓮』や、井上忠夫作曲の『你在我心中』(原曲:夜のフェリー・ボート)や『黄昏裡』(原曲:暗くなるまで)などは、もう完全にフェイ流。
『但願人長久』は、ライヴでは必ず歌われるほどおなじみのナンバーですね。大阪城のライヴに行ったとき、カバー曲なのにとても大きく温かい拍手が起こって。あらためてテレサの偉大さを感じました。

これはもうフェイ・ウォンのオリジナルである、といったほうがいいかも。単なるカバーアルバムではなく、ましてや乱発されたテレサの追悼盤やトリビュート盤の1枚などでもなく。彼女が音楽に関わる上でのひとつの通過点と捉えたほうが賢明かもしれない、と思う次第。オリジナルを知らなくても十二分に満足できますよ。




『菲靡靡之音』(1995.7)
01.雪中蓮
02.你在我心中
03.但願人長久
04.君心我心
05.初戀的地方
06.南海姑娘
07.假如我是眞的
08.翠湖寒
09.黄昏裡
10.奈何
11.一個小心願
12.又見炊煙
13.原郷情濃
14.千言萬語(ライヴバージョン)

討好自己/背影

2008-06-18 20:38:53 | 王菲
94年のリリースラッシュ最後の1枚がこの広東語盤。全体的に凝ったことをせず、シンプルなアレンジに徹してるなという感じ。軽くて聴きやすい。従来の香港や中華ミュージックのスタイルからは明らかに距離を取り、フェイ・ウォン流へと向かいはじめたなぁとも思えます。あと、これも歌詞カードは全部手書きです。今までと違って達筆。

01.討好自己
フェイの作詞作曲。竇唯(ドウ・ウェイ)がアレンジしてます。歌い方がザ・フェイ!!という見本のような感じ。曲間のコーラスで、低音高音と音がひっくり返り続けるのがいかにもっぽい。歌詞もフェイっぽい、実にシンプル。

03.為非作歹
ザ・サンデイズの『Here's Where The Story Ends』のカバー。前の『夢中人』と同じように完コピに近い状態なのに、これまた完璧にフェイ・ウォンソングになってるのがスゴイわ~。オーラスの「一切一切一切…」がすごく耳に残る。




05.出路
これも、フェイの作詞作曲で竇唯がアレンジ。ラップというか語りというか、低い音域をたらたらと歌い続ける、今までになかったような不思議な歌。バックのちょっと投げやりにもとれる「ララ、ララ」っていうコーラスも独特。そして、歌詞も……これはフェイ自身の投影なのか??と思うような内容になっています。まぁ、結果から云えば別れちゃったんだけども、と云いたい内容(笑)

06.平凡最浪漫
台湾の李正帆(リー・ジョンファン)というひとが作曲してます。これもまたシンプルなバラード。

07.飄
後々フェイ作品ではおなじみとなる、大陸系のミュージシャン・張亞東(チャン・ヤートン)作曲。「漂い」というタイトルらしく、ぽわ~っとした曲調。

08.愛與痛的邊
実験っぽい作品が多い、シンプルな曲が多い中でこれは従来に近い、安定感のあるバラード。2003年のライヴではこの曲で客席に握手しに行ってたわ(笑)

09.背影
これ日本人の方が作曲してますね。だからか、すごく聴きやすいミディアムチューン。

10.天不變地變
これは『天空』に収録されてた『不變』の広東語版ですね。こちらはバラード風のアレンジ。

『討好自己』(1994.12)
01.討好自己
02.蜜月期
03.為非作歹
04.我怕
05.出路
06.平凡最浪漫
07.飄
08.愛與痛的邊
09.背影
10.天不變地變
11.流非飛
12.不再兒嬉

*11~12はBonus Track

天空

2008-06-17 21:25:40 | 王菲
満を持しての登場フェイの北京語2ndは、『夢遊』からわずか4ヶ月という非常に短い期間で発売されました。が、良作です。あのザ・ローリングストーンズのキース・リチャーズが、このアルバムをフェイバリットに入れているというから驚き。中国語(この場合は北京語ですね)の響きの美しさやフェイの歌唱力、表現力……そのすべてを聴くことができると思います。収録曲のほうは、ミディアムスローなバラードが中心の清々しい癒し系。
タイトルを彷彿とさせるような、「空」をメインにした可憐なジャケット写真。フェイがとても可愛らしく見える写真が多いです。歌詞カードは再び手書き文字。でもこれは以前の作品たちに比べるとまだ見やすいほうかな。

01.天空
タイトルトラックは、消え入りそうな高音がまさに「天空」といった雰囲気の曲。曲間のギターが印象的な01.オーケストラバージョンと、ブルースハープが効いた05.アンプラグドバージョンで、それぞれに違った魅力があります。

02.棋子
「チェス」という邦題がついてますが。何もかもあなたの手の中で躍らされている、といった歌詞が切ない。これは歌詞カードが凝っていて、碁盤のマス目の中に手書きの歌詞が一文字一文字書かれています。

03.天使
このアルバムの中でいちばん好きな曲。ライヴでも一緒に歌いました。低音のコーラスと浮揚感溢れるメインヴォーカルが美麗。オーラスの「ララララーイラー」が圧巻です。




04.影子
『棋子』とちょっと似たような歌詞なんですが、あなたの思い通りに同じことを繰り返す影のわたし、みたいな内容かな。アコースティックの泣きの強い曲。

06.眷戀
囁くような歌い方、消え入りそうな声が切ない。
「わたしは変わらない あなたへの恋に溺れたことなど 後悔していない わたしは昔に戻れない あなたのために眠れぬ夜があったことを 恨んでない」
うーん、切ない。

07.不變
これと前後して発売されたアルバム『討好自己』にも『天不變地變』という曲名で広東語版が収録されてます。黄舒駿(ジェリー・ホワン)作詞作曲のミディアムナンバー。広東語版とは違い、ドラムとギターが効いたアレンジ。

08.矜持
郭子(グオズ)という台湾のアーティストが作曲した、ストリングスベースのスローバラード。可憐な感じ。

09.掙脱
これは『夢中人』の北京語版で、詞の内容も変わっています。日本はじめ、香港以外のライヴでは必ずこちらが歌われてましたね。

10.誓言
これは『胡思亂想』に収録された曲のまんまですね。

『天空』(1994.11)
01.天空
02.棋子
03.天使
04.影子
05.天空(アンプラグド)
06.眷戀
07.不變
08.矜持
09.掙脱
10.誓言

胡思亂想/夢遊

2008-06-17 20:40:45 | 王菲
このアルバムのおもしろいところはなんといってもジャケットと歌詞カード。真っ白なケースにタイトルの浮き文字。歌詞カードも真っ白、と思いきや、わざと見にくい黄色い配色で歌詞が書かれていたり。ぱっと見、何が書いてあるのかわからない……というか、何か書いてあるの??という感じ。ケースのカバーもおもしろいです。漢字の一部を欠けさせて、これまたわざと見にくくしてあります。また本盤では中国語のアーティスト名を、従来の王靖雯から本名の王菲に変えているところにも注目。

01.胡思亂想
英国のバンド・コクトーツインズの『Bluebeard』のカバー。唸るような低音と突然抜けるような高音に転がる歌唱法は、まさにフェイ・ウォン!!という感じ。

02.誓言
前夫・竇唯(ドウ・ウェイ)との共作。ドラマーの竇唯らしいしっかりとしたリズムと、効果的に使われるチャイニーズフルート。後半の「La~iLa~i」のコーラスの高音低音の絡み合いがスゴイ。

03.天與地
これまた張宇(フィル・チャン)のバラード。この人は本当に綺麗な曲を書きますね。

04.夢中人
クランベリーズの『Dreams』のカバーですが、映画「恋する惑星」の主題歌に起用されたこともあり、フェイの代表曲のひとつとなってます。アレンジから何から、本家のオリジナルを完全にコピーしてるんですが。クランベリーズのヴォーカル・ドロレスの歌い方を寸分違わずコピーしきって、それでいて完全に自分のものにしてる点が驚嘆です。




05.知己知彼
これまたコクトーツインズの『Know Who You Are At Every Age』のカバー。コクトーツインズらしいというか、妖しい曲調。

06.純情
C.Y.Kongってこんな曲も書くのか、というほど可愛い曲。イントロをはじめ、ピアノの音色が全体的に効いてます。

07.遊戯的終點
またまた張宇(フィル・チャン)の曲。まさしく「遊びの果て」というタイトルにふさわしい、楽しい時間が過ぎ去ってしまったかのような切なさ満載の曲調。

08.夢遊
イントロの「ラ~ラ~」からヤラレる、ファンにも人気の高い曲。C.Y.Kong作曲のフワフワと高揚した気分にはぴったりの明るい曲調。

09.藍色時份
「藍色の時」という夜とも朝ともつかない薄暮の中で惑い続ける、というような感じでしょうか。このアルバムは切なくなるような空の情景を映した曲が多いような気がするんですが。

10.回憶是紅色天空
そしてこれは夕暮れの空に想い出を重ねて歌った曲。梁榮駿(アルヴィン・リョン)作曲のしっとりバラード。

『胡思亂想』(1994.6)
01.胡思亂想
02.誓言
03.天與地
04.夢中人
05.知己知彼
06.純情
07.遊戯的終點
08.夢遊
09.藍色時份
10.回憶是紅色天空
11.愛一次給不完
12.知己知彼
13.非常夏日

*11~13はBonusTrack

迷/恋のパズル

2008-06-17 19:55:47 | 王菲
初の全北京語曲のアルバム。香港向けの広東語アルバムの他に、大陸や台湾など向けに、北京語のアルバムを同時進行で製作することも少なくなかったようで、もともとネイティブが北京語のフェイにとって、このアルバムの発売はごく自然なことだったのでしょう。
ただ、その分アルバムの発売スケジュールが過密になり、この年のフェイの多忙ぶりは凄まじい。ベストアルバム『最菲』(2月)を皮切りに、この『迷』(4月)、『胡思亂想』(6月)、『天空』(11月)、『討好自己』(12月)というオリジナルだけで年4枚という驚異的リリースラッシュ。ちょうどこの年に映画「恋する惑星」に出演したこともあって、耳目が集まったのもあるのでしょうが。ただ、この年は良盤揃いです。
このアルバムでフェイは早くもイメチェン。前作では幼げな印象を与えた長い髪をばっさりと切り、スーパーモデルのようなヴェリーショートがジャケットを飾ってます。これはファンの間では賛否両論だったようです。

01.我願意
この曲は香港のみならず、アジア広域に渡ってヒットし、フェイを代表する一曲となりました。「アジアの歌姫」「第二のテレサ」と呼ばれるようになったのはこの曲のヒットから。壮大なバラードです。




03.變幻的世界在轉
ラテンフレーバーのアレンジが新鮮。フェイの高音がとても綺麗。

09.只願爲你守著約
黄舒駿(ジェリー・ホワン)のゆったりとしたバラード。これも高音が綺麗ですねぇ。

10.只有我自己
チャカチャカとしたアレンジだけど、日本人が思い描きやすい典型的な中華民謡っぽい曲。でもしつこくならないのはフェイ故か??

他の収録曲は、広東語アルバムからの北京語ぬりかえ版がほとんど。『悔やまぬ心で』をはじめ、『軟弱』(広東語版『從明日開始』)、『沈酔』(広東語版『Summer Of Love』)、『冷戦』、『心太野』(広東語版『紅粉菲菲』)など。全体を見ると、アレンジの変化もなくそれほど目新しさはないです。

『迷』(1994.4)
01.我願意(管弦樂版)
02.執迷不悔
03.變幻的世界在轉
04.軟弱
05.我願意(弦樂版)
06.沈酔
07.冷戰
08.心太野
09.只願爲你守著約
10.只有我自己
11.誘惑我
12.動心
13.容易受傷的女人

*11~13はBonusTrack