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月の庭

日々の散財と興味のすべて。そして何もない日常の記録です

FAYE WONG

2008-06-26 20:36:55 | 王菲
EMI香港に移籍して、間髪いれずに発売されたアルバム。タイトルはシンプルにそのまんま『FAYE WONG』 アルバムの制作を"1年に1枚のペース"、"北京語主体"に変えての、フェイの心機一転作。
ジャケット写真は……誰ですかこの金髪は。インナーでは『不躁』とは打って変わって目の周り真っ黒メイクで、一児の母になったといえども、相変わらずのスタイル。

01.麻酔
ふわ~っとした、まさに「麻酔にかかったような」曲調。これは次のアルバムでRemixされてるんですが、個人的にはそちらのほうが好み。

02.你快樂(所以我快樂)
これは1月に生まれた愛娘に向けて歌われているんだろうなぁっていう歌詞。「あなたが幸せなら わたしも幸せ」みたいな感じ。さながら子守唄のような。ライヴで流れてたMVにも、一緒に遊園地で遊んだりする映像が使われてました。旦那もちょっと映ってたけど(笑)

03.悶
ライヴでは激盛り上がる曲。これが前の曲(你快樂)と同じ張亞東作曲とは。竇唯(D)張亞東(G)という、『Di-Dar』からあった布陣です。ただ、以前のような尖った雰囲気でなく、あくまでPOPさを残しつつRock!!てな感じ。

04.娯樂場
去年から引き続きコクトーツインズ提供曲。アルバム全体の雰囲気的に明るくまとめてますが、やっぱり妖しい感じが漂ってます。このアルバムでは一番『Di-Dar』や『不躁』に近い感じかな。

05.人間
ライヴではラストに歌われる曲としておなじみ。アンコールをしないフェイのライヴでは、これが歌われると終わりという……。中島みゆきがフェイのために書き下ろした新曲で、壮大なバラード。みゆきさん自身もとても気に入ったらしく、後に日本語詞を書いてセルフカバーしてます。
「気持ちにはじまりと終わりをつけることはできない
 孤独の果てが 恐ろしいものとは限らない
 けれどすべての命は はじまりの痛みなくして生まれはしない」
この歌詞が一番好きです。びば、林夕。




06.我也不想這樣
Alex San作曲。とてもやわらかい曲調。こういう曲を聴いてると、あの95~6年のフェイはなんだったんだろうと思ってしまいますねぇ。「恋することの不安」みたいな、歌詞も林夕にしては可愛らしい感じ。

07.小題大做
『玩具』路線をいちばん引っ張った曲調で、かなり北欧風。フェイの醍醐味・多重コーラスも最小限で、かなりシンプルなアレンジになってます。「人生、今がいちばん楽しい!!」みたいな、これまた林夕にしては軽い歌詞。

08.懷念
再びコクトーツインズ提供曲ですが。なんでしょうか、この二面性というか。アコギベースの本当に優しい曲。歌詞の内容は、ちょっと「恋する惑星」のフェイを思い出しますねぇ。

09.撲火
綺麗なバラードなんだけど歌詞が悲しい。
「あなたは見ようともしない あなたは必要としてくれない
 心の片隅で 夢が毎日死んでゆく」
わたしはこんなにあなたが好きなのに、どうして??という内容。いやぁ、言い方悪いけどフェイっぽくない(笑)

10.雲端
なんか童謡というか唱歌というか、そういった感じのとてもシンプルで簡単なメロディ。

北欧風『玩具』の雰囲気を引っ張ったアルバムらしく、あの『Di-Dar』で尖りまくってたフェイはどこへ?? あの『不躁』でオルタナ路線を突っ走ったフェイはどこへ??と思っちゃうくらい、優しくてやわらかいアルバム。まぁ、お母さんになったんだしなぁとは思うけれど。

『FAYE WONG』(1997.9)
01.麻酔
02.你快樂(所以我快樂)
03.悶
04.娯樂場
05.人間
06.我也不想這樣
07.小題大做
08.懷念
09.撲火
10.雲端

自便

2008-06-19 21:18:29 | 王菲
CINEPOLYの契約期間ギリギリで発売されたミニアルバムその2。こちらは本当にギリギリの発売(4ヶ月後には移籍先のEMIでアルバムが発売されてますから) 新曲3曲にリミックス3曲という収録曲的には、アルバムというよりもシングルといったほうがふさわしいような。香港と思わしき高層ビル群をバックに、青を基調にしたジャケットがシンプルながらとてもいい感じ。

02.守護天使
高音低音と徐々に声が多重に重なっていくのが、無茶苦茶綺麗で、そして不思議な曲。フェイのヴォーカルをうまく生かした名曲。ビヨンドの黄家強が作曲。




『自便』(1997.5)
01.守時
02.守護天使
03.自便
04.Di-Dar(HISTORICAL MIX)
05.誓言(DISCOVERY MIX)
06.夢遊(UNIVERSAL MIX)

玩具

2008-06-19 21:02:08 | 王菲
CINEPOLYの契約期間ギリギリで発売されたミニアルバムその1。もともとはフルアルバムとして発売されるはずだったそうですが、フェイの妊娠・出産やその他いろいろな環境のゴタゴタで、こうしたミニアルバムという変則的な発売となってしまいました。ちなみに製作は梁榮駿に戻ってます。作詞は5曲全部林夕。
ジャケット写真は臨月も近いフェイ。防犯カメラの映像のような、若干ピンボケ気味ですね。

03.敷衍
『Di-Dar』などの流れを感じるのはこの曲くらいかなぁ。ビヨンドの黄家強が作曲。たらたらっと歌う部分と、サビでひっくり返る高音が「らしい」感じ。

04.玩具
C.Y.Kong作曲のタイトルトラックは、まるでスウェディッシュポップのような軽やかな曲。そこはかとなくおしゃれ系。C.Y.Kong自身もコーラスで参加してます。




05.我信
Adrian Chan作のこの曲も欧州風おしゃれ系。囁くようなフェイのヴォーカルと、「我信我信♪」を繰り返すサビがすごく耳に残ります。

『Di-Dar』からはトゲを、『不躁』からは前衛的なアクを取り払った結果、こういう路線になったかという感じ。あっさり聴きやすい。そしてインナーアートなんかまで、かなり欧州風味。

『玩具』(1997.1)
01.暗湧
02.約定
03.敷衍
04.玩具
05.我信

不躁/ANXIETY

2008-06-19 20:28:21 | 王菲
フェイ自身が傑作と自賛する北京語アルバム。これまでと違い、梁榮駿(アルヴィン・リョン)でなく竇唯(ドウ・ウェイ)と張亞東(チャン・ヤートン)という、大陸系ミュージシャンのプロデュース作で、『誓言』『討好自己』『Di-Dar』と段階を経て実験を繰り返してきた音楽の極致ともいえる作品です。10曲中7曲がフェイの作品。半分近くがインストで、また歌詞があってもそれが意味のないものだったり。全体的に詞よりも曲・音を重視したフェイのスタイルが感じられます。
ジャケット写真はまさしく素。これまでのモデルのように洗練されたジャケット写真から一転。ここではいきなりノーメイクで、素の自分をさらけ出してます。なんかもう、「自宅で撮ってきました」みたいなノリの仕上がり。ケーキを食べてる写真なんか、悪いけど……野沢直子に似てるし。

01.無常
これでもかというシンプルアレンジ。清々しい曲調なれど、「無常…」と歌う対比的な歌。

02.不躁
ライヴでもおなじみの「らっちゃぽー」がいつまでも耳に残る曲。オーラスで何重にも声が絡み合うのが気持ちいい。たった22文字の歌詞と「らっちゃっぽー」と「ラー」というコーラスだけで一曲作ってしまうすごさ(笑)




03.想像
歌詞カードには何も記載されてませんが、フェイは何か歌っている曲。意味のない言葉なのかどうか……

04.分裂
コクトーツインズの提供曲で、幻想的というか、ふわふわとした浮揚感のある曲。このあたり、もう完全に香港とかアジアとかいう枠は飛び越えちゃってます。

05.不安
インストなんですが、これだけ作曲のクレジットに誰の名前も書かれてない。「不安」というタイトルどおりの曲調。これがどっかのサントラに「不安」というタイトルで収録されても、まったくおかしくないです。これってフェイ・ウォンのアルバムでしたよね??(笑)

06.哪兒
これまた歌詞はないけど、フェイは何か歌ってるインスト。「ラァラァ」という声のひっくり返り方、ちょっと投げやりにも聴こえる歌い方が「らしい」感じ。

07.堕落
ここへ来て妖しい曲調爆発。「おいでおいでわたしのそばへ おいでおいでおいで続けて続けて」の低音から高音へ上がってゆくサビが迫りきますわ~

08.掃興
これもコクトーツインズの提供曲。『分裂』とは違い、重たくてひんやりとした曲。「あぁ いつも簡単に あなたはわたしを高いところから投げ捨てる」という詞がスゴイわ。タイトルは「興醒め」みたいな意。

09.末日
これもなんというか不安を煽る系の曲調。アルバムタイトル(不躁=いらいらする)らしく、こういう感じになるのでしょうか??

10.野三坡
で、ラストはインストなんですが、ここへ来てフェイのコーラスはほんの少ししかなく。竇唯のドラムと張亞東のギターの存在感の中で幕を閉じてゆきます。

総時間35分半という短いアルバム。文句なく(香港の音楽シーンにおいては)革新的で前衛的なアルバムであったと思いますが。これは、なんというか、本当に好き嫌いがはっきり分かれそうな1枚。

『不躁』(1996.6)
01.無常
02.不躁
03.想像
04.分裂
05.不安
06.哪兒
07.堕落
08.掃興
09.末日
10.野三坡

Di-Dar

2008-06-18 21:57:09 | 王菲
完全オリジナルとしては1年ぶりとなる広東語盤。これまでの集大成の結果ともいえるし、新たな段階へ向かったともいえる、明らかに今までのアルバムとは違う雰囲気を感じる1枚になってます。より汎アジア的というか。枠からは飛び出てしまった感じ。
バッキングヴォ-カルで使われる低音の唸り、メインヴォーカルの高音の浮揚感。様々な曲によってフェイのヴォーカル技術の素晴らしさが耳に残ります。決して大衆受けする歌謡性の強いものではないけど、本当に素晴らしい。
甘ったれた部分が払拭された、冷たく静謐でシンプル且つ鋭角な音と、対照的に儚く虚ろいやすい感情を苛立ちをこめて歌う詞。これらが1つに重なり合い「フェイ」という声のフィルターを通して、独自の音楽世界を構築している様は、確実に後のスタイルの原型だといえます。ちなみにこのアルバム、作詞は11曲中9曲が林夕。

01.Di-Dar
フェイ自身の作曲。Di-Darという「音」というか「韻」というか、意味のない言葉が強く残る不思議な歌。「詞を重要視しない」という、いかにもフェイらしい。

02.假期
これもフェイの作曲。暗く冷たく歌う部分と、グワッと盛り上がって歌う高音部分の対比が、もうスゴイったらスゴイったら。ドラムの竇唯(ドウ・ウェイ)とギターの張亞東(チャン・ヤートン)が効いてますね。ちょっと妖しい曲調系。




03.迷路
C.Y.Kong作曲ですが、今までの提供曲とまったく雰囲気が違う。「迷路」というタイトルそのままに、漂い彷徨うようなフェイの高音と冷たいストリングスの絡み合い。EMI時代後期の曲調の基礎って感じですかね。

04.曖昧
打って変わってミディアムバラード。前の曲とのフェイの声の対比が面白い。

05.或者
『討好自己』でもたくさんバラードを書いてたAlex Sanの作曲。つぶやくように歌いながら「あるいは…」と問いかけ続けるサビが印象的。

06.我想
一転冷たい曲調に戻って。これは張亞東作曲。高音のメイン、低音のコーラスが最も感じられる。フェイ(Vo)、竇唯(D)、張亞東(G+Synthesizer)の3人だけの音作りらしい曲。

07.享受
これは鈴木祥子の『あの空に帰ろう』のカバー。原曲はギター中心のアレンジですが、こちらはアルバム全体の雰囲気らしくクールに。清々しく綺麗な雰囲気は原曲のまま。

08.一半
サビでのコーラスがすごく綺麗。高音と低音というコーラスが多い中で、澄んだ高音が多重に絡み合うのが、余計にそう感じさせる。優しい曲調だけど、歌詞は林夕らしく重かったり深かったり。

09.(無題)
なんとタイトルがない!!(笑) C.Y.Kong作曲の重たい曲。

10.流星
これは劉以達(タッツ・ラウ)の「麻木」というアルバムにフェイが参加したときに収録されていた曲。アレンジはこのアルバム用に変えてあるようです。サビの音が高低高低するのが、難しそうだけどフェイっぽい曲。

全体的に雰囲気は重いです。でも、わたし的には大絶賛・大好きなアルバム。

『Di-Dar』(1995.12)
01.Di-Dar
02.假期
03.迷路
04.曖昧
05.或者
06.我想
07.享受
08.一半
09.(無題)
10.流星
11.一人分飾両分

*11はBonus Track