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月の庭

日々の散財と興味のすべて。そして何もない日常の記録です

將愛

2008-07-23 21:51:16 | 王菲
現状ではこれがフェイの最新盤…ということになります。もう5年近くも新譜が出てないんだなぁ。1991年の米国留学中を除けば、毎年アルバムを発売していたフェイ。レコード会社の移籍(EMI→Sonyへ。ただ、その後新譜を出してないところを見ると移籍だったかというのは疑問ですが)などもあって、今作まで久々に2年かかりました。11月7日の発売からわずか1週間で100万枚を売り上げた、という相変わらずのヒットぶり。
プロデュースに徹し、シンガーとしての本領を発揮した前作に比べて、フェイ自身の作品が今回は4曲。「戦争」や「流血」といった言葉で、時事を切り取るような歌詞が話題となった表題作『將愛』や、その広東語版である『假愛之名』が「アヘンを肯定するような歌詞がある」としてマレーシア政府からコンサートでの歌唱を禁じられた、なんていうニュースもありました。

01.將愛
のっけからフェイ作詞・曲の表題作。いや、もうカッコイイ。Rockっぽい激しさ(アレンジはおなじみ張亞東)と、フェイらしい妖しさと神秘性が融合したヴォーカル。表題作にふさわしい1曲です。
MVでは赤く光る目やアンドロイドなど、ちょっと「2046」でのフェイを髣髴とさせる演出が。フェイはただ歩いているだけなのに無茶苦茶カッコイイです。



02.空城
前作でも曲を書いていた陳曉娟という女性の作曲。ピアノの流れるような音、フェイの切ないヴォーカルが、『將愛』となんとも好対照。間奏部分の叙情的なストリングスがとても綺麗。



03.不留
これもフェイの作詞・曲。これは名曲ですねぇ。淡々としたバックトラック、低い音域でこちらも淡々と同じような歌詞が続くヴォーカル。サビでのコーラスワークなんかはフェイのヴォーカル技術と芸術の結晶ですよ。ラストで「ヒューン」ていうロケット花火みたいな音に毎回ハッとさせられます。



04.美錯
だいぶさかのぼりますが、アルバム『天空』で『矜持』を書いた郭子(グオズ)の作曲。芸術的ですらあった『不留』に対して、これは可憐というかまったく違う雰囲気。オーソドックスなバラードという感じですが、このアルバムでは意外とそれも気にならないかなぁ。



05.乘客
スウェーデンのシンガーソングライター、ソフィー・セルマーニの『Going Home』のカバー。これも例にもれず完コピに近いんですが、ギターサウンド主体でカントリー風味強い原曲に対して、フェイ版はどこまでも湿度の低いクールな仕上がり。



06.陽寶
これもフェイの作詞・曲。最初はフェイらしい曲調かなーと思うと、サビでパーッと一気に明るく広がっていきます。ふわ~と歌うのもフェイらしいけど、ここでの高音は歯切れよく、キレよく歌うって感じ。



07.施木
『美錯』に続き可憐系の曲調。前の『陽寶』が強い太陽光線がパーッと射してくるような曲なら、こちらは春の陽だまりような。そんな優しいバラード。アコギのみのサウンドがとてもよく合う。



08.四月雪
フェイの作曲。今まで散々云ってきた、いわゆる彼女らしい妖しい系の曲調かなぁ。高音と低音の対比、サビの「Ah~Ah~♪」がすごく耳に残る。



09.夜妝
これと次の曲は張亞東の作曲。はじまりのヴォーカルは静かにちょっとエフェクトをかけて。段々とリズムとビートの効いた展開になっていくのが秀逸。マシンビートとフェイの高音が交じり合う様は、かなり中毒性が高いです。



10.烟
スパニッシュ系情熱のリズムとでも云いますか。メランコリックなギター、打ち鳴らされるパーカッションがそれっぽい。それでもフェイの声はいたってクールなところがかっこよさを増長させてますね。



11.MV
もう発売から話題だった謝霆鋒(ニコラス・ツェー)の作曲。「いい曲だから」とそっけなく理由だけ、この曲に対し語ったというフェイですが。ちょっとフクザツ(発売当時はもう2人はお別れしてました) 前作での提供曲『迷魂記』をけちょんけちょんに云ってましたが……今回はいい感じではないでしょうか?? ポロンポロンとなるアコギの音もいいし、高低差の大きいメロディはフェイによく合ってます。ちなみにこれを含めて後半3曲が広東語。

極彩色で凝ったジャケットとは裏腹に、収録曲は落ち着いた、雰囲気の強い、クールなものに仕上がっています。梁翹柏の共同製作でRockの色濃い前作に比べて、『天空』のような癒し系の内容。秋に発売されたのに、春めいた雰囲気を感じるのは自分だけ?? 晩冬や初春の季節感のせつなくもふわりとした感じが、とても心地よい。これだけの傑作を発表しながら「次」がまだなんて……。


『將愛』(2003.11)
01.將愛
02.空城
03.不留
04.美錯
05.乘客
06.陽寶
07.施木
08.四月雪
09.夜妝
10.烟
11.MV
12.假愛之名
13.花事了

※MV載せれるだけ載せまくってみました。

王菲/光の翼

2008-07-15 21:31:20 | 王菲
EMI所属時代としてはラストとなった5枚目のアルバム。日本盤のタイトルは「光の翼」ですが、大陸盤の原題はズバリまんま「王菲」。英語名との表記の違いはあるものの、EMIでの最初のアルバムと奇しくも同じタイトル。
前作『寓言』での、張亜東、林夕、C.Y.Kongといったお馴染みのメンバーに、フェイを加えたライター陣で、独特の冷たく重い雰囲気を醸し出したイメージから一新。とくに目を引くのが、ライター陣の多様さ。香港や大陸以外にも、台湾やシンガポールなどなど。まるで家内制手工業のようだった前作に比べ、いろんな作家から曲を提供してもらっているようです。

01.光之翼
日本盤のタイトルトラックとなった1曲目は、梁翹柏(クーバート・リョン)の激Rock!!ナンバー。フェイの歌声も、今までになくシャウトしてますよ!! 無茶苦茶カッコイイ。これもライヴで映える曲ですねぇ。ちなみに、この作曲者の梁翹柏、今回フェイとともにアルバムのプロデューサーに名前を連ねていたり。今作ではかなりキーマンの様子。



02.等等
作曲は我らが蔡健雅(タニア・チュア)様ですよ!!(笑) アコギ一本の静かなミディアムナンバーになってますが、これはアレンジの賢(Yin)の意図なのか、フェイ流なのか。たぶんタニア本人がやったら、もっと乾いたあっさりとした雰囲気になりそうな。

03.打錯了
こちらも蔡健雅(タニア・チュア)の作曲。いや、もうなんていうか。これは名曲でしょう。これでタニアのCD買っちゃうくらいには。アレンジは梁翹柏なんですが、どことなくユーミン風というか。かなり日本人に聴き馴染みやすい曲になってます。これ、英語詞でタニアがセルフカバーしてるんですが、そちらは彼女らしいギターサウンドになってて。フェイバージョンとはかなり趣が異なってましたねぇ。

04.有時愛情徒有虚名
作曲は台湾の深白色(DEEP WHITE)という人。この方、結構いろいろなアーティストに曲を書いてるようで、陳慧淋(ケリー・チャン)のアルバムでも見たことあるなぁ。サビの「不知不覺」でコーラスが絡んでくるところが、ゾクッと来るくらい響いてきますよ。全編に渡ってヴィオラの音色が効いてます。

05.流年
陳暁娟(チャン・シャオチュエン)という女性が曲を書いてます。この人も色々なところで見ますね。フェイにも次のアルバムで美しいバラード(空城)を書いてます。この曲は、フェイのヴォーカルの高低をうまく使ったナンバー。特にサビの高音は耳に残ります。劉志遠(ラウ・チーユン)のアレンジもいい。



06.夜會
再び梁翹柏の作曲。これは今までのフェイらしい重たい雰囲気の曲。自分が今までに使った言葉表すなら「妖しい」系ですかね。ドンドンと重く聴こえるパーカッションとモヨモヨっとしたサウンド、フェイの漂うような歌声がそれっぽい。

07.放浪的紅舞鞋
こんなの、これほどサラリと歌いこなすのなんてフェイしかいないだろう!!ってな曲。時折聴こえるアコーディオンやトランペットの音色。強弱をつけながら流れるピアノ。ジプシーが舞うような曲調には、感服の一言。

08.白痴
「大腕」という映画の主題歌だったようです。かなりフェイ・ウォンらしいなって思える曲。サビ以外で、ヴォーカルにかなりエフェクトがかかっている部分があって、途中フェイの声なのか、それとも楽器の音色に変わったのか、判断がつかなくなることも。妖しいというよりも不思議・催眠系。



09.兩個人的聖經
作曲は台湾のロック王・伍佰(ウーバイ)です。曲調はこの当時流行ったトランス系とでもいいますか。規則的でたらたらと鳴るマシンビートとか、かなりそれっぽい。ファジーっぽい音階があったり、途中でイタリア人のおじさんが何か叫んでたり、思わず「あ゛ッ?!」て感じ。

10.單行道
これも伍佰の作曲。はじめは低い音域をたらたらっと歌い続けるような曲調で、でもフェイのヴォーカルは妙にはっきりと歌ったりするのが、ちょっと違和感。伍佰のギターも唸って、なんか個性がぶつかったなぁって感じがしないでもない。

11.迷魂記
出ましたよ……当時フェイの恋人だったという謝霆鋒(ニコラス・ツェー)の作曲。なんというか、フツウだなって曲。綺麗なバラードだとは思いますけどね、このアルバムにあってはあまりにオーソドックス。フェイ・ウォンの曲としてはあまりにオーソドックスだ、と云わざるをえないのですよ。別に恋人だったという事実がそう聴かせるわけではない、と思いますが。。
ちなみにこれからあとは全部広東語の曲です。

12.色盲
黄耀明(アンソニー・ウォン)が代表の人山人海から梁基爵(Gaybird)の作曲。なぜか日本語訳が割愛されてます。ヤバイことが書いてあるんだろうか?? 北京語と比べてハキハキとしたイメージの広東語にしては、サビでのするするとした言葉運びがいい感じ。



13.不眠飛行
作曲は前作『寓言』で『如果你是假的』を書いたEric Kwok。イントロでフェイが「トゥトゥトゥ~」って歌い始めるところといい、彼らしいちょっぴりポップでオシャレな曲。残りの曲は既出の北京語曲の広東語版なんで、実質これがアルバムラストの1曲なんですが、こんなにオシャレで終わっていいのかフェイ?!と云いたくなるほど、ふわふわと楽しい気持ちで終わっていきます(笑)

前作まで、かなり髪を伸ばしていたフェイ(ジャケットはアップだったのでわかりにくいですが、伸ばしてかなりパーマかけてました) 今作では『迷』(1994)以来、久々にバッサリ切って、なおかつパンク調になってます。このアルバムはその髪を切ったイメージどおり「カッコイイ」作品。内に内に深く内省的だった前作で見せた姿とはまったく違います。
ちなみにこの年は日本でいちばん精力的に活動してた時期で、「Mフェア」「ポップジャム」などに出演したり。雑誌にインタビュー記事が掲載されたり。あまつさえ日本のTVドラマに出演したり(ウソコイ) その主題歌を日本語で歌ったり。エライことになってた時期でした……。

★Separate Ways
中井貴一や仲間由紀恵とともにフェイも出演したCX系ドラマ「ウソコイ」の主題歌。『EYES ON ME』以来久々にシングル発売もされました。カジヒデキの作詞作曲で、『玩具』で一時期迫ったような北欧風のとても浮揚感にあふれた曲。当然というか日本語詞。やっぱりフェイの日本語はなんか可愛い感じになっちゃいますねぇ。サビまでの声の高低差が難しく、更にサビの「Fly away~♪」が難関という。フェイ自身も歌番組ではよくトチってました……




『王菲』(2001.10)
01.光之翼
02.等等
03.打錯了
04.有時愛情徒有虚名
05.流年
06.夜會
07.放浪的紅舞鞋
08.白痴
09.兩個人的聖經
10.單行道
11.迷魂記
12.色盲
13.不眠飛行
14.心路
15.女皇的新衣
16.放浪的紅舞鞋(鋼琴版)

01.Separate Ways
02.Separate Ways(Almighty Mix)

*『Separate Ways』は別付の8cmボーナスディスクに収録(日本盤のみ)

寓言/Fable

2008-07-07 20:30:09 | 王菲
重い。聴けばわかる……けど重い。ジャケットのイメージ通りのEMI4枚目のアルバム。日本盤・大陸初回盤ともに、ジャケットはインパクト大の暗がりフェイアップ。極彩色に塗られた目の回りといい、彼女らしいっちゃー彼女らしいのだけど、未だに怖くて、夜とか表向けたままにはしてられない(笑)
内容的には……今回も好き嫌いが分かれそうな1枚だなぁと思います。嫌いだという人は徹底的に嫌いかも。フェイが馴染みのミュージシャンたちと作った、ちょっと内にこもったこの重たさにどこまでついて来れるかがネック。とにかくソングライター・フェイの色が出まくった1枚。

アルバムのイメージを決定付けているのは、なんといってもフェイが作曲した前半5曲。北京オケのストリングスを中心とした、重厚でひんやりとしたサウンドはいかにも「フェイらしい」です。内容にストーリーの一貫性を設け、5曲全体がまるでひとつの大きな物語のようになっているところにも注目。

01.寒武紀
まるで物語の導入部のようなストリングスの重厚さ。途中何度も聴こえてくる「パッパパッパ」ていう、ドップラー効果のような音が耳につきまくり。



02.新房客
重たい雰囲気のままで、ちょっぴり打ちこみっぽくなったサウンド。全体的に細く静かなトーンで歌ってるんですが、途中囁くように喋る「來得正好」と、オーラスで「イ~イ~」と繰り返すところは、なんて幽玄な世界なんでしょうか。



03.香奈兒
新しい場面が展開されるようなイントロ、5曲の中で起承転結の「転」にあたるだろう曲。タイトルの意味は「シャネル」 これは中国ではシャンプーのCMに使われたそう。大陸初回盤にはそのメイキングも映ってました。前の2曲に比べて、かなりコケティッシュというか、キャッチーな雰囲気。



04.阿修羅
全体的にいちばん寒く重く感じる曲調。ウィスパーヴォイスで「あなたはガラスの靴さえ壊してしまう阿修羅」と歌う、かなり痛い内容。これは王子様=阿修羅ということなのか?? 深いよ、林夕(ちなみに今回林夕は全曲の作詞を手がけています)

05.彼岸花
この5曲では「結」にあたるだろう曲。全体的に言葉少なく、最初は静かにはじまる漂うような曲調なのだけど、サビあたりで盛り上がって一気にフェイの声が高くなるのは圧巻。突然「ジャーーン!!」ていう音が鳴ったり、何度も何度もこだまするフェイの「ア、ア、ア」という声が、なんとはなしに恐怖や不安や寂寞感を駆り立てます。



06.如果你是假的
いきなり曲調がガラッとポップに変わり、アルバムの雰囲気が一転。LPでいえばB面に入ったって感じでしょうか。前半部があれだけ重たく存在感があるだけに、難しい場面展開が要求されるところですが、この曲は違和感なく後半部へ伝える役割を果たしています。歌詞にスヌーピーだのチャーリーだの坂本龍一だのと「え?!」という言葉がたくさん出てくるのも、なんだか不思議。

07.不愛我的我不愛
透き通るようなクリスタルのシンセサウンドが印象的なAdrian Chanのバラード。これは雰囲気はこのアルバムに合わせてますが、今までにもあったような感じですかね。外れない曲。

08.你喜歡不如我喜歡
このアルバムではダントツで軽くてふわっと爽やかPOP系。『唱遊』で『半途而廢』を書いた潘協慶らしい1曲。

09.再見螢火蟲
アルバムの締めの対象的な2曲はどちらもC.Y.Kongの作品。後半部になって再び重い雰囲気が戻ってきて、全体としての「結」を締めているって感じでしょうか。この曲はフェイの低音を存分に生かしたRockナンバー。これもイントロがそこはかとなく不安と恐怖系サウンド。私事ですが、これはカラオケで気持ちよかった曲だ。



10.笑忘書
対して、グランドピアノとストリングスにフェイの歌声というシンプルなスローナンバー。同じ人物の楽曲なれど、見事に「動」と「静」という感じです。タイトルはチェコの作家ミラン・クンデラ(「存在の耐えられない軽さ」で有名)の「笑いと忘却の書」からインスパイアされているそうな。林夕……相変わらずですな。

このほか、後半2曲の広東語版と、日本盤にはボーナストラックとして、『EYES ON ME』のRemixと『香奈兒』の日本語版が収録されています。ちょっと舌ったらずな発音が印象的な初の日本語楽曲は、フェイの新たな魅力というか、鋭角な楽曲とは趣の異なる「可愛い」感じです。まぁ、商業的な意味合いが強いとは思いますが……やはりフェイには北京語の響きの美しさが一番似合う。

『寓言』(2000.10)
01.寒武紀
02.新房客
03.香奈兒
04.阿修羅
05.彼岸花
06.如果你是假的
07.不愛我的我不愛
08.你喜歡不如我喜歡
09.再見螢火蟲
10.笑忘書
11.螢火蟲
12.給自己的情書
13.EYES ON ME(ALMIGHTY MIX)
14.香奈兒(Japanese Version)

*13はBonus Track
*14はSecret Track

只愛陌生人/LOVERS AND STRANGERS

2008-06-30 20:18:50 | 王菲
前作『唱遊』同様、1年を経て発売されたEMIでの3枚目は、まだ『EYES ON ME』ヒットの余韻を引きずった中での発売で、『唱遊』よりもやや尖りを抑えた感じ。フェイの手がけた作品もわずか1曲。ただ、ロック・ダンス・ボサノバテイストなど、なかなかいろいろと詰め込んだなって感じのアルバム。
発売前に竇唯(ドウ・ウェイ)と離婚したようで、歌詞なんかフェイの心情が垣間見える気がするのは…穿ちすぎか??

01.開到茶蘼
声にバリバリエフェクトをかけたハードなナンバー。CDで聴いたときはそれほど気にかからなかった曲ですが、大阪城ライヴで見て以来、これライヴで映える曲だなぁと認識を改めましたよ。掛け値なしにカッコイイ。

02.當時的月亮
打って変わってストリングスがメインの静かな曲。間奏のアコギが清々しくって、とても気持ちいい。

03.催眠
再び曲調は激しめのロックテイストに。後半になってくると低音のコーラスが絡まってくるのだけど、前ほどの唸りはなくなったなぁって感じ。コクトーツインズの影響が薄まったのでしょうか??

04.只愛陌生人
タイトルナンバーは軽くボッサテイスト。これが張亞東の作曲というのだから。この人は本当にいろいろな一面を持ってるなぁ。途中「Come on,Baby」というヴォイスで、再び愛娘が登場。1年前は「あぶあぶ」云ってた子が、もう喋るんですねぇ。子供の成長は早い。

05.百年孤寂
またまた曲調はロックに。この次の曲までは、緩急の繰り返しという選曲で、なかなかニクイ作り。
「悲しみは本物でも涙は偽者、もともと何の因果関係もない
 100年の後、あなたもわたしもいないのだから」
相変わらず林夕の書く歌詞には、なにか刺すものがある。




06.蝴蝶
『Di-Dar』での優しさと、しつこくなりすぎない『玩具』での軽やかさとが、この曲でひとつにまとめられたなぁと感じる1曲。綺麗なバラードです。これの広東語版「郵差」の、自分を郵便配達人に、相手を手紙に喩える歌詞が秀逸。

07.過眼雲煙
もう、なんというか悲しい……。歌詞の内容もだし、曲調も淋しげで。悲しい。

08.嗶一聾之後
留守電を題材にした歌詞がすごく面白い。タイトルは「ピーっという発信音のあとに」みたいな意味。まんまですね。でも漢字になると間抜けにならないのがいいなぁ。

09.推翻
アコギ一本にフェイのヴォーカルだけっていう、シンプルなスローナンバー。奇をてらったことをしてないこういう曲もいいですね。コーラスもなく、まさしくヴォーカル力だけの曲。

10.精彩
これがこのアルバムで唯一フェイが作った曲。アレンジは張亞東ですが、この頃流行ってたようなダンス系のナンバー。1曲目共々、特に気にかけてもいませんでしたが……これもライヴで見直した曲。

ここ数年フェイのキーマンだった竇唯がいなくなり、独特のヴォーカルのお手本だったコクトーツインズの影響(コクトーツインズは97年解散)も薄くなったり。作品ごとにイメージやコンセプトをコロコロと変えていた頃を過ぎて、遂に自分流が固まり始めたのかなぁと思いますねぇ。で、それは次のアルバムで爆発するのですが……

『只愛陌生人』(1999.9)
01.開到茶蘼
02.當時的月亮
03.催眠
04.只愛陌生人
05.百年孤寂
06.蝴蝶
07.過眼雲煙
08.嗶一聾之後
09.推翻
10.精彩
11.守望麥田
12.郵差
13.開到茶蘼(REMIX)

唱遊/歌あそび

2008-06-27 20:52:00 | 王菲
とにもかくにも、自分が菲迷になるきっかけを作ってくれたアルバム。『EYES ON ME』『紅豆』との出会いは衝撃的でしたねぇ。本当にありがとうと云いたい!!
で、これは1年というフェイの望む緩やかなペースで発売されたEMIでの2枚目。日本では99年2月の『EYE ON ME』シングル発売を受けて、3月にボーナストラック4曲を収録したスペシャルエディションが発売(自分が持ってるのもこちら) 鼻の頭と頬がうっすらピンクのフェイは、「ジャケ買い」としてもいい感じ。

01.感情生活
前作で優しい・やわらかい歌ばかりだったので、今後はその路線か??と思わせておいて…これかッという曲。フェイの作曲。妖しいマシンビートと絡むフェイのヴォーカルがもうっ!!(絶句) 自分の思い描くフェイ・ウォンワールドはまさしくコレです。忘れかけた『Di-Dar』の世界観を見事に昇華しちゃってますねぇ。




02.臉
これもフェイの作曲。出だしはふわふわと浮揚感のある感じなのだけど、サビになればフェイ節炸裂。特にオーラスの「甚麼~~♪」の高音のコーラスと絡むところはスゴイ。

03.色誡
Rock調のマシンビートに、フェイらしい高低の激しいヴォーカルがかっこいい曲。C.Y.Kongのアレンジが秀逸。

04.半途而廢
これは前作の雰囲気の引っ張りみたいな感じで、欧州+香港みたいな浮揚感たっぷりのミディアムチューン。作詞・曲の潘協慶は、このあとのアルバムでもすごくいい曲を書いてます。

05.飛
これも潘協慶の作詞・曲。タイトルらしいゆ~ったりとした、空を飛んでるような曲。ただ、コーラスがいかにもフェイっぽい投げやりというか(笑) 高音に対しての低音の存在感が耳に残ります。

06.祢
作曲の許巍(シュウ・ウェイ)は中国のシンガーだそうな。ここまでマシンビート大勢だったのに対して、これはアコギの気持ちいいナチュラル系。これはいちばん前作『FAYE WONG』の系統に近いかも。

07.小聰明
再びマシンビートと、フェイの多重コーラスワークが絡む曲。これまたフェイ自身の作曲。チクチクしたフェイというより、大陸らしい広がりというか抱擁力というか、これは『不躁』寄りの雰囲気ですね。

08.醒不來
アレンジが張亞東なんですが、ぷわぷわとしたなんか夢見てるような感じ。フェイもメインヴォーカル一本で、シンプルで聴きやすいミディアムチューン。

09.紅豆
ぐああああああ、これです!! これですよぉ。フェイに転ぶきっかけになった超美しいバラード。これが『EYES ON ME』のカップリングに選ばれなかったら、自分はC-POPの世界へ足を踏み入れなかったのではないか、とまで思ってしまいますわ。今もって不動のフェイヴァリット。

10.童
そしてこれかよっ!!と唸らされる、アレンジの旦那(竇唯)のみならず、愛娘までヴォイスで参加させたエキセントリックな曲。ちょっとトランスの要素が入ってるか?? これはフェイの作詞・曲で、「あぁ」と納得させられる(笑)

11.麻酔 (REMIX)
前作に収録されてた曲ですが、C.Y.Kongによるアレンジがこれまたいい。『童』で吹き荒れた心を優しく和いでくれるような…

12.EYES ON ME featured in Final Fantasy VIII
え~、もう云うことはないかな(笑) フェイ・ウォンという名前は知らなくても、これは聴いたことがあるはずって曲ですね。昔からのファンにはどうにも評判は芳しくなく、フェイもカンペなしでは歌えないほど苦手みたいですけど。自分の出発点はここからなので。如何とも。植松さんらしい綺麗なバラードです。

『唱遊』(1998.10)(1999.3)
01.感情生活
02.臉
03.色誡
04.半途而廢
05.飛
06.祢
07.小聰明
08.醒不來
09.紅豆
10.童
11.麻酔 (REMIX)
12.EYES ON ME
13.原諒自己
14.償還
15.情誡

*11~15はBonus Track