Media Watch: 筑紫哲也の描く異界

2006年06月26日 | メディア・芸スポ
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Media Watch: 筑紫哲也の描く異界

 筑紫哲也のNEWS23の描く世界は、なぜこんなに
他のメディアとは異なっているのか?
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■1.筑紫哲也のパズル■

「筑紫哲也 NEWS23」。TBSが平日深夜に放送しているニュ
ース番組だが、これをずっと追跡している人がいる。

 筑紫哲哉と共に生きて、もう4年になる・・・

 前の夜に録画しておいたNEWS23を、ニュース項目
などを中心に文字起こしし、重要な映像はキャプチャして
パソコンに保存した上、他局の同種のニュース番組と比較
しながら検証する。これは私にとって至福のひとときでさ
えある。クロスワードパズルや間違い探しパズルを趣味と
するような人間なら理解できるかもしれない。・・・

 毎日その夜にどんなパズルが用意されているか、事前予
想するのも結構知的で楽しい。在日朝鮮人が凶悪犯罪を犯
した日には、きっとそのニュースがNEWS23で報じら
れることはない。中国で反日暴動が発生した日にはきっと、
南京大虐殺特集が流される。こうした推理が的中したとき
ほど楽しいことはない。[1,p7]

 新聞の偏向記事は、データベースで自由に検索できるので、
分析もしやすいが、テレビ報道ともなると難しい。しかし、こ
んな地道な作業のお陰で、ようやくNEWS23の偏向報道ぶりが白
日のもとにさらけ出された。

 この人の名は中宮崇(なかみやたかし)氏。氏の著書[1]か
ら、筑紫哲哉の仕掛けた「パズル」をいくつか見てみよう。

■2.「万景峰号入港中止の波紋」■

 平成15(2003)年6月9日、NEWS23は「万景峰号入港中止の
波紋」と題する特集を行った。「万景峰号」は、日本と北朝鮮
を結ぶ唯一の公式運搬ルートで、ミサイル用部品などの持ち出
し、多量の麻薬の持ち込み、朝鮮総連から北朝鮮への違法送金
に使われている、との疑惑が持たれていた。[a]

 そこに国土交通省が船舶の安全性を検査する「ポートステー
トコントロール」(PSC)を厳格に実施する方針を打ち出し
た。「万景峰号」は安全基準を満たしていないとして航行停止
命令を受ける恐れがあったため、北朝鮮・元山港からの出航を
取りやめたのである。

 NEWS23での特集の様子は、中宮氏によれば、以下のようなも
のであった。

 新潟港に「右翼の街宣車が大挙して押しかけた」とのナ
レーションから始まり、万景峰号があくまでも普通の貨客
船に過ぎないとの説明、朝鮮総連新潟支部長の一方的な
「不当」だの「差別」だのといういつもの発言を垂れ流し
た上で、「20年以上も船で訪朝してきていたのに‥‥」と
嘆く在日女性のお涙頂戴物語。付録に、万景峰号による修
学旅行に行けなくなってしまった、朝鮮学校の女子生徒の
悲しげなコメント。もう、女子供をダシに使った「朝日式」
の典型である。

「普通の貨客船」がなぜソナーなんぞを搭載しているのか、
なぜ不正送金に利用されていたという疑惑がもたれている
のか。番組中では当然のごとく、一言も語られない。ソナ
ーの件に関しては当時、フジテレビの「ニュースJAPAN」
はその発見の経緯も含めて詳細に取り上げ、テレビ朝日
「ニュースステーション」でさえも、批判的に報じていた
のであるが、筑紫は、NEWS23の視聴者は他のニュース番組
なんて見やしないと高をくくっているのか。[1,p85]

「万景峰号」とは不正輸出と不正送金の疑惑をかけられ、潜水
艦との交信のためのソナーまで持つ「大型工作船」なのか、は
たまた修学旅行や在日女性の帰国に使われる「普通の貨客船」
なのか。筑紫哲哉は他のメディアとはまったく別の世界を描い
てみせるのである。

■3.「軍縮平和研究所パク・ヒョンジェ副所長」■

 平成17(2005)年5月9日、各メディアは、北朝鮮の核保有
に関する国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長
の見解を一斉に報じた。北朝鮮がすでに数個の核兵器を保有し
ており、さらに核実験を準備している可能性さえある、という
見解で、世界中が大騒ぎになった。

 この日のNEWS23は、「北朝鮮核実験の”可能性”」との字幕
で、「軍縮平和研究所パク・ヒョンジェ副所長」による「北朝
鮮の核実験は必要だ」との見解を紹介した。

 この「軍縮平和研究所」なる、一見無害でそのうちノー
ベル平和賞にでも輝きそうな機関を、NEWS23は「シンクタ
ンク」と紹介したが、実はこれ、北朝鮮外務省の外郭団体
なのである。[1,p105]

 同日の「報道ステーション」(「ニュースステーション」の
後継番組)も、この「軍縮平和研究所パク・ヒョンジェ副所長」
の発言を報じてはいたが、きちんと「北朝鮮外務省の傘下にあ
る研究所」であると解説を加えている。さらにエルバラダイI
AEA事務局長による「北朝鮮に5~6個の核が存在し、ミサ
イル搭載も可能」との発言や、それに賛同する細田博之官房長
官の談話も紹介して、国際社会も日本政府も北朝鮮の核問題を
大いに懸念している事実を明確に伝えている。それに対して、
NEWS23の方は、これらを全く報じていない。

 同じく「軍縮平和研究所パク・ヒョンジェ副所長」の発言を
伝えながらも、報道ステーションの視聴者は、世界中が北朝鮮
の核開発を懸念している中で、こんなプロパガンダまでしてい
るのか、と見る。一方、NEWS23の視聴者は、プロパガンダをそ
のまま鵜呑みにさせられて、「北朝鮮の核開発に理解を示す見
方もあるのだな」などと思ってしまう。両者の見る世界は、ま
すます離れていく。

■4.「対外的冒険に打って出たい」■

 筑紫哲哉も北朝鮮の核開発が「日本にとって大変ゆるがせに
できない問題」と言うが、その理由が「異界」そのものである。

 国内でも、もう北朝鮮だけではなくていろんなとこが周
りに核に囲まれたら(日本も)核を持とうという議論も出
かねません。[1,p107]

 筑紫哲哉が北朝鮮の核武装を懸念するのは、それが日本の核
武装の方を招きかねないからのようだ。彼にとっては金正日の
核より、日本の核の方が怖いようだ。北朝鮮国民なら同感だろ
う。

 北朝鮮に対する経済制裁論が高まると、筑紫哲哉は5月25
日の「多事争論」コーナーで、「対外的冒険」をテーマに次の
ように述べた。

 指導者が内政問題で行き詰まったり矛盾を抱えたりする
時に、そこから関心と焦点をそらすために「対外的冒険に
打って出たい」と、この誘惑に駆られがちだということを
示しています。その場合、最も有効なのは「軍事力の行使」
そして「戦争」です。

 普通の日本国民なら、ここで筑紫の指す「指導者」とは金正
日のことだと思うだろう。しかし、筑紫が指しているのは小泉
首相なのだ。これを聞いた首領様の満足げな顔が目に浮かぶよ
うだ。

■5.「過剰な不当捜査」■

 平成17年10月、在日朝鮮人の金萬有氏が院長を務める西
新井病院(東京都足立区)の関係会社が、無許可で医薬品を販
売したとして、警視庁公安部が朝鮮総連傘下の団体含め11カ
所を一斉に家宅捜査した。この病院の関連施設に、拉致された
日本人が監禁されていた、という内部情報があり、公安当局は
この点にも関心を寄せていたようだ。

 報道ステーションは、金萬有院長が北朝鮮から「人民医師」
の称号を授かるほど、北に近い人物であることを解説し、重村
智計・早大教授の「今までは総連は治外法権だった」というコ
メントを紹介した。また、当日の捜査に対して、在日朝鮮人が
多数押しかけて警官に暴行をはたらく映像も流された。

 これに対して、NEWS23は、拉致疑惑にも、金萬有院長の北朝
鮮との関係にも全く触れず、在日朝鮮人達が警官たちに暴力を
振るう映像も流さなかった。「医薬品を無許可販売 朝鮮総連
系団体の幹部逮捕」との字幕ではじめ、テロップ入りで「過剰
な不当捜査を断固糾弾し強く抗議する」との朝鮮総連の言い分
をそのまま伝えた。

 NEWS23の視聴者の中には、朝鮮総連が警察から「過剰な不当
捜査」を受けた、と本当に信じ込む人もいたであろう。

■6.曽我ひとみさん・ジェンキンス一家の再会■

 平成16年7月9日、拉致被害者で一人先に帰国を許された
・曽我ひとみさんが、夫ジェンキンズ氏、および二人の娘さん
とようやくインドネシアで再会した。

 報道ステーションは、ジェンキンス氏に同行する北朝鮮「赤
十字職員」が実は監視員である事実を伝え、かつて拉致被害者
・蓮池薫さんが北朝鮮随行員から解放された際に、「ほっとし
たといっていた」という兄・蓮池透さんのコメントを紹介した。
北朝鮮の空港で監視員から注意を受ける映像や、監視員からパ
スポートを渡されるシーンも各局で繰り返し放映され、改めて、
北朝鮮による締め付けぶりが、明らかになった。

 しかし、NEWS23では、これらの事実はいっさい報道されなかっ
た。筑紫は、この再会の直後に控えたアメリカ大統領の候補者
選挙に絡めて、「さて、選挙にどう影響しますかね」と、再会
がさも選挙目当ての策略であるかのように、コメントした。

 そのうえ、わざわざこんな「視聴者からのファックス」を紹
介している。

 何故曽我一家のためにスウィートを取る必要があるのか。
料理をしたいということだが、安いコンドミニアムなどを
自分で借りればよい。

 日本中が感動的な一家の再会に注目するなか、筑紫哲也の
NEWS23のみ、曽我さん一家に冷たい目を向けていた。

■7.北朝鮮監視員との「涙のお別れ」■

 各メディアは、現地でも北朝鮮監視員によるジェンキンズ一
家への執拗な干渉が行われており、日本政府はそれを排除しよ
うと必死の努力を行っている事を伝えた。報道ステーションは、
北朝鮮監視員がジェンキンス一家や日本側報道陣をビデオ・カ
メラで撮影している映像を流し、その目的について、監視員に
インタビューを試みている。NEWS23では、こうした監視員たち
の正体を全く報道しなかった。

 7月16日、一家は北朝鮮監視員と面会し、北へは戻らない
との意思を伝えた。この事実をNEWS23の佐古キャスターは「面
会はお別れの挨拶をするために曽我さん夫妻が望み実現したも
のです」と解説。さらに「北朝鮮側同行者はジェンキンスさん
の肩を抱いて涙を流し、ジェンキンスさんの目にもうっすらと
涙が」と続けて、一家をなんとしても北朝鮮に連れ戻そうとす
る北朝鮮監視員との決定的な決別の瞬間を、「同行者との涙の
お別れ」シーンに仕立て上げてしまった。

 7月26日、各メディアはいっせいに「北朝鮮がジェンキン
ス氏に、曽我さんを連れ戻せば褒美を与えると指示」していた
というニュースを報じた。ジェンキンス一家が北朝鮮に戻ると
の意思を示せば、拉致の犯罪性はかなり薄められる。「褒美を
与える」との報道は、北朝鮮のこのたくらみを暴くものであっ
たが、NEWS23はこのニュースも報道しなかった。

 北朝鮮が知られたくない事実は、報道しない、というのが、
NEWS23の方針のようだ。

■8.『週刊金曜日』と筑紫哲也の秘密連携■

 筑紫哲也は、なぜここまで事実を歪めて、北朝鮮の意向に沿っ
た報道をするのだろう。一つの鍵は、筑紫哲也が『週刊金曜日』
の編集委員を務めているという事実にある。『週刊金曜日』自
体には筑紫が編集委員として名を連ねているが、NEWS23におい
てはその事実を伏せている。

 『週刊金曜日』は、ジェンキンス氏が娘さんたちと共にまだ
平壌にいた頃、当局の許可のもとに「独占インタビュー」を行
い、その記事を平成14年11月15日号に掲載した。この中
で、ジェンキンス氏は「ひとみには北朝鮮に戻って欲しい」と
述べ、娘さんたちは「お母さん(曽我ひとみさん)は10日で
帰るはずだったのに、まだ帰ってこない、日本政府は約束を破っ
た、お母さんを早く帰して欲しい」と語った、と報道した。こ
の記事はひとみさんを大いに動揺させ、怒らせた。

 この記事に関して、筑紫は自らが『週刊金曜日』の編集委員
である事実を隠したまま、こんなコメントを述べている。

 被害者の動揺を誘う北朝鮮の戦術に乗せられているだけ
だ、という批判がある一方では、いくらコントロールを働
かせても当人の肉声の中にはいろんなそれを超える情報が
あるという評価もあります。これは事実を知らせるという
事を一番の仕事としている報道にとっての永遠のテーマ
「ジレンマ」だと言えます。(平成14年11月14日)

 この「批判」の通り、ジェンキンス氏の日本への帰還後、こ
の時の発言は、北朝鮮政府に脅迫されたものであったことが明
らかになっている。

■9.北朝鮮コネクションの一員!?■

『週刊金曜日』は北朝鮮当局の許可を得て「独占インタビュー」
を行い、「北朝鮮の戦術」に沿って、家族の強制された発言を
そのまま報道した。北朝鮮との相当なコネクションがあると見
るのが自然である。さらに、その編集員である筑紫哲也はあた
かも第三者のような顔をして、記事を擁護するコメントを述べ
た。筑紫哲也も北朝鮮コネクションの一員と見るのが、自然だ
ろう。

 弊誌449号では、韓国内に、言論界を含め4万2千人もの親
北勢力が巣くい、世論工作を通じて親北政権を合法的に樹立し
ようとする工作が成功しつつあることを紹介した[b]。同様の
世論工作が、日本で行われていないはずがない。

 ここで紹介した偏向報道の事例を見れば、筑紫哲也が自覚し
ているかどうかは別にして、News23が北朝鮮にコントロールさ
れた世論工作メディアの一つである、との疑いを禁じ得ない。
(文責:伊勢雅臣)


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