
『自分では気づかない、ココロの盲点』
池谷裕二(日:1970-)
2013年・朝日出版社
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あなたは公平に振舞っていますか。
もちろん人間である以上、いつも公平に振舞うことは難しいものです。
ときにはエコ贔屓したり、周囲に八つ当たりしてしまうことはあるでしょう。
それはあくまで「人間らしさ」の裏返し。
一方、この世は理不尽です。
自由や平等とは名ばかり。
差別やいじめ、汚職、詐欺など、暗いニュースがあとを絶ちません。
そんな陰湿な世の中で、さて、あなたは「世間の平均」に比べれば、それなりに公平に振舞っているほうでしょうか。
そんなアンケートをとると、次のどちらの答えが多いでしょうか。
<1>平均より公平です
<2>平均より不公平です
~~~~~~~~~~~
【正解】
<1> 平均より公平です
ほぼ100%の方が <1> と答えます。
つまり、ヒトは自分のことを不公平だと考えていないのです。
これは「平均以上効果」と呼ばれます。
(以下、略)
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本来、この文章(↑)は自分を平均以上とみなすこと(平均以上効果 = 「俺は平均よりは歌が上手いはずだ」「平均よりはモテるはずだ」etc)の説明であって、
「公平・不公平」の話は、あくまでその一例なんだけど。
ただ、この公平・不公平の例がとても印象的なので、その流れで話を続けますと・・・。
あなた(わたし)を職場や学校やサークルやらで差別する「あの人」(上司、同僚、先生、クラスメート、先輩)が居たとします。
その人も、実は、
「この不公平に満ちた世の中、私だけが最後の善意の砦だ」
「今日も一日、できる限り公平に振舞い、世の中を少しでも良い場所にしていこう」
・・・と思って出勤(登校)して、一生懸命あなた(わたし)を差別してるってんだから、ややこしいよね。
まあ、対処法として「説得」とか、あんまし効果無いってことは言えるよね、向こうに自覚ないんだから。
そして、裏返せば。
精一杯、公平に振舞わんとして、今日もなんとか出勤(登校)したあなた(わたし)も、誰かさんから見れば善意の差別者、他ならぬ「あの人」そのものだってことだね。
この理屈でいくと。
ちょっとした負のリングですな。
まぁ、当たり前っちゃあ、当たり前。
人間だもの。
で、本題である「平均以上効果」に話を戻しますと。
やはり、理想としては、
「もー、どうしてそんなにセクシーなんですかぁ?」
「え、そうかなぁ?人並みだと思ってるけど?」
「またぁ、謙虚な人!」
「え、そうかなぁ、ところで久々に3歩以上歩いたんで息切れしてきたんだけど、ちょっと個室で涼んでこうか」
・・・的なね。
自己評価より、常に他人からの評価が高止まりするくらいだと、素晴らしいですね。
「え、そうかなぁ」しか言ってないのに、会話成立みたいな。
ちなみに、現実の俺は飲んでる時に
「ぼく、こんなに凄い」
という話を延々して、みんなを悩ませる困ったちゃんです。
・・・人間だもの。
接待までの時間つぶしで読んだんだけど、久々にこういう本も楽しいもんでした。
■おまけ
その余波で、接待の席でまでこの本を取り出して、お客さんに、
「ねえねえ、ここ読んでみてください。つまりね、世の中のほとんど人が・・・」
ってやったら、皆さんものすごく鬱陶しそうな表情でした。
人間だもの。
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自分では気づかない、ココロの盲点 |
池谷 裕二 | |
朝日出版社 |