そんなこんなで、コロナ禍を挟んで約3年ぶりの渡米。
コロナ以降、NYでも貧富の格差が拡大し、治安がだいぶ悪くなっているとのこと。
特にNY地下鉄では、2021年に殺人やレイプなどの凶悪犯罪が461件発生。
にも関わらず、今年の地下鉄内での犯罪発生率は更に前年比75%増。
4月には銃で10人が乱射される事件も起きるなど、完全にジュリアーニ市長が改善した以前の姿に戻ってしまったようです。
と、云う訳で、一応ビジネストリップなので。
「一人で地下鉄に乗ったりしないでください。あと、夜の街とか絶対出歩かないでくださいね」とアテンドの方にきつく言い渡される。
「あい、わかりまちた」
そう答えてみるが、NYまで来てそんな訳あるかーい。
という事でディナーの後、一度ホテルに戻って夜の街に繰り出す。
長く続くコロナ禍で、すっかり散歩が趣味になってしまった。
東京を散歩していてもたくさん名所が在るけど、NYはその比じゃないものね。
ちなみに、ホテルは一人用のスタンダードな部屋。
マンハッタンの市内中心部で、何処に行くにも便利。
ラグジュアリーではないが、静かで、清掃が丁寧で、落ち着くホテルです。
この部屋で1人8泊3,100ドル(41万円)。
だいたい東京都心くらいですね。
でも、あの10月の日銀が市場介入した1ドル150円の週に来てたら、為替レートがもっと大変でした(笑)
為替介入以降、理由は複合的なんでしょうけど、ちゃんと円が戻してますね。
窓の外は普通のレジデンスです。
市街地にありながら、この日常感が良いのだった。
さて、夜間飛行による夜間徘徊。
行くなと言われたら吸い寄せられる。
グランドセントラル・ターミナルは昼も夜も美しい。
ミッドタウンの、パークアベニューと42nd ストリートの交差する場所にあり、朝5:30から深夜2:00まで開いています。
メインコンコースでは12の星座がお出迎え。
欧州でも米国でも思うけど、天井高いよね、どこも。
そして、そのまま34thストリートまで南下し・・・。
ベタですが、エンパイアステートビルへ。
世界でもっとも有名なビルと呼ばれ、かのキングコングも初代と2005年のリメイク版で二度よじ登りました。
でも、個人的にはエンパイアステートビルと言えば、何といっても『オブリビオン』なのだった。
オブリビオン、ご存知です?
(ちゃんとポスターにもエンパイアステートビルがフィーチャーされてますネ)
この映画が好きという人に人生で一度も出会った事がないのですが、『オブリビオン』はトム・クルーズ主演のSF映画(2013年)です。
「見たけどヤだった」という人には数人会った(汗)
トム・クルーズ離れした、暗くて寂しい映画(スリラー的要素もある)なのですが。
あたしゃ、何故か大好きで。
そりゃもう何度も観てまして。
劇中、若き日の主人公ジャック・ハーパーは世界で一番高い場所、エンパイアステートビル屋上の展望台で奥さんにプロポーズします。
しかし、時が流れ。
物語の舞台である2077年の時点では、同ビルは半壊し、且つ土中に埋没しています。
でも、展望台だけはギリギリその姿をとどめており。
特徴的なその望遠鏡により、そこが間違いなくエンパイアステートビルの屋上である事が分かるのだった。
エンパイアステートビルと言えば、この望遠鏡ですよね。
嗚呼、なんか、また『オブリビオン』見たくなっちゃった。
42nd ストリートまで戻り・・・、美しいアールデコ建築、クライスラービルも勿論好きです。
建設当時は世界一高いビルでしたが、現在はNYで5番目の高さ。
建設当時世界一と言っても、1930年当時、1か月前に完成したバンク・オブ・マンハッタン・トラストを、クライスラービルの先っぽの棒の長さでかろうじて上回るという激しいデッドヒート。
翌1931年には、さっきのエンパイアステートビルが出来て追い抜かれちゃう訳ですから。
摩天楼の高さをめぐっては、かなり節操のない争いが繰り広げられたようです。
なお、クライスラービルは建設から20数年は実際にクライスラーのオフィスが入居するビルでした。(現在の所有者は某ファンド)
やっぱ、NYと言えばクライスラービルですね。
個人的にはエンパイアステートビルよりも、更にNYって感じがします。
紀伊国屋書店の前を通る。
私は各都市の本屋を回るのが趣味なのです。
明日仕事が早く終わったら本屋が開いている時間帯に来よう、と思いながら歩く。
仕事で上手くいった事、いかなかった事。
ぼんやり考えながら歩くと、寒さも忘れ、何ブロックでも歩いてしまう。(気温はマイナス1度)
開いてるカフェがあれば少し落ちきたいところだが、夜が深いのでバーしか開いていない。
さっきディナーで調子に乗ってワインを3本空けたので、バーに寄ったらぜったい明日の朝、寝坊しそうである。
何人かNY在住の友人の顔が浮かぶが、平日のこの時間の呼び出しは流石に迷惑かしら・・・?
(いま渡米してることも伝えてないしなぁ)
ニューヨークの夜のビル群を見ていると、LunaというUSインディー・バンドの『ペントハウス』(1995年)のジャケットを思い出す。
これは中身も超が付く名盤で、私の青春時代のサウンドトラックな訳ですが(はい、屈折した青春を送りました・・・)。
このジャケットも素晴らしいと思います。
都会生活の寂しさ、虚しさ・・・そして、ホッと僅かに息をつける束の間の温もり。
そんなもの全部を感じさせてくれます。
今、束の間の「温もり」と書こうとして、ミスタイプして「肉盛り」と変換された事は絶対的な機密事項です。
2時間ほど歩いた後、ワインの酔いもすっかり醒めたので、ホテルの部屋に戻り、漢方系の風邪薬を予防的に飲んでベッドに入る。
・・・・。
・・・。
・・。
いつの間にか、眠りに落ちていた。
数時間後、なんとなくカーテンの向こうが明るい気がして目を覚ます。
時計を見ると、まだ午前3時。
あれ・・・?
カーテンを開け、窓の外を見ると、ホテルの四方を完全装備の消防車に囲まれているのだった。
え、火事?
ひょっとして、・・・死ぬ??
とっさに、子供の頃見たパニック映画『タワーリング・インフェルノ』を思い出す・・・。
NYの摩天楼で、私は焼け死ぬのだろうか。
(映画の舞台はサンフランシスコですが)
ポックン知ってるんだゾ、高層階の火事に対して消防隊が如何に無力かを!
と、窓から叫んでみたけど、よく考えたら、今回私の部屋は高層階ではないのだった。
このくらいの高さ(20m)なら、ジャンプしても膝を痛めるくらいで、ギリギリ生き伸びれるだろう。
いざとなれば、手前の木の枝に飛び移れば良い。(わりと枝、細いけど・・・)
うん、じゃあ、大丈夫。
低層階は消防士さんが消してくれる。
明日も早いし、寝よ、寝よ。
ZZZ・・・。
(Good night, New York)