
『ザ・マスター』
"The Master"
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
2012年・米
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第二次世界大戦から帰還した船乗り、フレディ・クエル(ホアキン・フェニックス)は、社会適合できず、アル中にも苦しんでいた。
ある日、ひょんな事から農夫に追われる身となったフレディは、追っ手を振り切ろうとして、港に停泊していた船へと逃げこむ。
翌朝、船内で目覚めたフレディは、船の借主であるランカスター・トッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)と出会う。
ランカスターは、ザ・コーズと称する哲学運動のマスター(指導者)だった。
マスターはフレディに「自家製アルコールを作れ」と指示する。
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濃厚というか、陰鬱。
暗くて、長ーい、2時間23分。
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスは、本作でともにヴェネツィア国際映画祭の最優秀男優賞受賞。
アカデミーでも2人揃って最優秀男優賞ノミニーなのですが。
謎の歌手転向宣言(「俳優疲れちゃった、おらラップやる」)から復帰を遂げたホアキンは置いといて。
我がもっとも愛する(ホモ的な意味じゃない)俳優、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技はスゴい。
もともと、ホフマンはポール・トーマス・アンダーソン組と言ってよいほど、同監督に重用(ハードエイト、ブギー・ナイツ、マグノリア、パンチドランク・ラブ)されとる訳ですが。
勝手知ったるチームで、伸び伸びとした演技を見せる。
あとね。
なんかさぁ、これ、言っちゃっていいのかなぁ。
一周して、結局・・・、レオナルド・ディカプリオと両者接近してきたよね。
『華麗なるギャツビー』(2013年)を観て、改めて思った次第。
え、どっちが近づいてきたかって?
オレ様(レオ様)でしょ。
製作者の一人によると、本作は、第二次世界大戦後の社会を漂流する人々を描いた物語なんだそうです。
分かるような分からんような、曖昧なコメントが素敵ですが。
たしかに、戦時下にもっそい過酷な年月を過ごした後に。
「さ、戦争終わっちゃったぜ。お前ら社会復帰、頑張れよ!」
とか言われても、こっちは戸惑うばかりで。
いよいよ本土復帰。
好きで、好きで、好きで。
戦地で、毎日、手紙を眺めて過ごした故郷のカワイコちゃんの下に・・・、
なぜか、なぜか、帰れない。
理由は自分でもよく分からないが、一直線に故郷へと戻れない。
訳もなく、その足で地球を半周するような、猿岩石なみの旅に出てしまう。
あら、これ偶然だけど、レオ様絡みでさっき話が出た『ギャツビー』と同じだね。
(ギャツビーの場合は第一次世界対戦ですが)
この男心、なんか分かる気するんだよね・・・。
さて、フレディ(ホアキン)の胸にある、わだかまり(恋人に会いに戻らなかった過去)を癒すべく、ランカスター(フィリップ・シーモア・ホフマン)が”プロセシング”という実験的な治療を行うシーン。
夢想(実験)の中で、フレディは、ついぞ会いに戻ることのなかった恋人に会いにいく。
重要なシーン。
とても、大切な、切ないシーンだと思うんですが。
このシーンはコントなんでしょうか?
この小っちゃな水兵さんは、何がどうなってこうなったのでしょうか・・・。
違う意味で、印象に残るシーンとなってしまいました。
ちなみに映像は終始、美しい。
撮影監督は、コッポラ作品で知られるミハイ・マライメア・Jr。
ストーリーはともかく、映像美は圧巻。
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ともあれ、役者さんて凄いなぁってことと、客席がスッカスカなのに驚き、妙に感動して帰りました!
確かに!レオ様、接近してますね(笑)
今日、『砂漠でサーモンフィッシング』観ました。
けっこう楽しんでグイグイ観られました♪
色んな要素が詰まって、ちょっと忙しなく感じたりもしましたが、好きな役者さん揃いだと、惹き込まれてしまうものですね♪
サンドイッチのシーン、好きでした!半分はピュアな善意、半分はエゴ、それが見える率直な感じが気持ち良かったです。
部屋にズンズン入るだけじゃなく、即座にコートを脱ぐとこが可愛くて笑いました。
その直前の、歩いてて、ハタと心を決めて引き返すシーンは一番好きでした!
釣りって、奥深いんですね♪
>その直前の、歩いてて、ハタと心を決めて引き返すシーンは一番好きでした!
あそこ、人の流れに逆行するオビ=ワンを、遡上する鮭にひっかけてるんでしょうねぇ・・・。
ちょっとミュージックビデオっぽいけど、一番いいシーンだと思います。
>釣りって、奥深いんですね♪
思えば、人生のほとんどのことを釣りから教わったような気がします。
竿には一切触れないイマジネーションの世界の釣りですが・・・。
川辺は滑ると危ないですからね、実際。