成年後見人制度というものはご存知でしょうか。
近年、家族の形態が多様化し、成年後見人制度の需要が急激に増加傾向にあります。
念のため、簡単に成年後見人制度というものを確認しておきましょう。
読売からです。
Q)「成年後見人」とは何でしょうか。
A)認知症で判断能力が低下している高齢者などの利益を守り、支えるという職務を担う人のことです。
本人に代わって財産管理
「後見」とは「後ろで見守る」という意味です。能や歌舞伎で、役者の背後に控え、衣装の乱れを直したり、小道具の受け渡しをしたりする人を「後見」と呼びます。舞台以外でも、能力が十分でない人を助ける立場の人を「後見役」と呼んだりしてきました。
法律の世界で「後見人」と言えば、かつては、主に親権者のいない未成年者の親代わりとなって財産の管理などを行うケースが想定されてきました。しかし、大人であっても判断能力が十分でなく、後見人を必要とする場合があります。知的障害や精神障害のある人、認知症の高齢者などです。とりわけ社会の高齢化によって認知症高齢者が急増しています。このため、2000年から「成年後見制度」が整えられました。この制度にもとづいて後見役を務める人が「成年後見人」と呼ばれています。
成年後見人も、本人に代わって財産管理することが主な仕事です。不当に高い商品を買わされたりした場合、成年後見人が後でその売買自体を取り消すことができます。本人の判断能力がある程度残っていれば、「後見人」より権限が狭い「補助人」や「保佐人」がつく場合もあります。
後見人などは、判断能力を失った人の親族などの申し出を受けて、家庭裁判所が選任します。子どもなど親族、弁護士など法律の専門家や、社会福祉士など福祉の専門家が後見人となります。社会福祉法人やNPO法人などの団体も後見人になることができます。
後見人選任の申し出をする親族がいない場合は、市町村長が申し出を行うこともあります。また、「任意後見」と言って、本人がまだ判断能力のあるうちに、認知症になった場合に備えて、将来の後見人を自分で指定しておくこともできます。遺言のようなものです。
成年後見人は、財産を管理するだけでなく、さまざまな契約を本人に代わって行うことができます。たとえば、入院の手続きをしたり、介護サービスの利用契約を結んだりすることです。
約18万5000人が制度を利用
最高裁によると、成年後見の申し立て件数は2014年の1年間で約3万4000件あり、約18万5000人が成年後見制度を利用しています。しかし、介護が必要な認知症高齢者は300万人以上いると見られ、まだ制度が十分に活用されているとは言えません。成年後見人を務めることのできる人材も不足しています。
別の問題もあります。後見人は財産管理の権限を持つため、不正が起こり得ます。後見人が自ら財産を使い込んだり、横領したりする事件が実際に起きています。後見人は定期的に家裁に活動報告を出すことが義務づけられており、家裁は後見人の不正がないかチェックする「後見監督人」をつけることもできますが、目が行き届かないのが現状です。
認知症高齢者は10年後に700万人まで増えると推測されています。後見人の人材育成をはかり、制度の信頼性を高めていくことが、ますます重要になるでしょう。
如何ですか?
僕も全く知らない制度でしたが、ここ最近、急激に目にする機会が多くなったため、知るようになりました。
ただ、僕が注目することになったきっかけは、この制度による不正・犯罪が増えている。。。ということでした。
しかも、弁護士が犯罪する、というものです。。
ええっ?!弁護士が? って、ビックリしませんか? ビックリしますよね!
どいうことか、さらに探ってみましょう。
引き続き、読売です。
後見人弁護士ら着服37件
全体の件数は4割減…昨年過去最悪
認知症高齢者や親権者のいない未成年者らの財産管理などを行う後見制度で、弁護士や司法書士らの「専門職」による着服が昨年1年間に37件(前年比15件増)確認され、2010年の調査開始以来、過去最悪だったことが最高裁の調査でわかった。被害総額は、金額を特定できない2件を除き、計1億1000万円に上った。
一方、親族らを含む後見人全体の着服件数は521件(同約37%減)、被害金額は29億7000万円(同約48%減)で、初めて前年を下回った。
後見制度を巡っては、独り暮らしや認知症の高齢者の増加が見込まれることを踏まえ、「成年後見制度利用促進法」が8日に国会で可決、成立。今後、制度の利用が増えるとみられ、着服などの不正をどう防ぐかが課題となっている。
最高裁は12年、不正防止策として、高齢者らの財産を信託銀行で管理する「後見制度支援信託制度」を導入。後見人を選任する各家裁が制度の利用を促したことで、14年の利用は2754件で計約1004億円と、件数、金額とも前年の約5倍になっていた。最高裁家庭局は「全体の不正件数が減少したのは、制度が普及したことが大きい」としている。
専門職による不正が増えたのは、家裁が専門職の後見人選任を増やしている影響とみられ、14年の選任は専門職が約5割だった。後見業務などでの弁護士による不正は後を絶たず、読売新聞の調査では、業務上横領や詐欺罪で起訴された弁護士は13年1月~15年11月の約3年間で23人、被害総額は20億円超に上っている。
どうです?
弁護士でさえ、手を出してしまうんですね。。 怖いですよね。。
これでは、成年後見人制度を利用したくなくなってしまいますよね・・
このような点の問題から、各種色々な課題があるため、制度利用についての制度設計が議論されております。
このことをチェックしてみましょう。
引き続き、読売です。
成年後見 使いやすく 市民を担い手に育成/財産流用の防止策
病気や障害で判断能力が十分でない人を支える成年後見制度の普及を目指す「利用促進法」が成立した。認知症や独居の高齢者が急増する中、3年以内に必要な法改正を行い、利用の足かせとなっている問題を解消するのが柱だ。ただ、意思を示せない人が治療を受ける場合の対応など、難しい課題も多い。
促進法で課題検討
成年後見制度は、認知症や知的・精神障害などで判断能力が不十分な人に代わり、後見人が財産管理や介護サービスの利用契約などを行う仕組み。制度を利用するには、本人や家族らが申し立てを行い、家庭裁判所が後見人などを選ぶ。
促進法成立の背景には、認知症の急増が見込まれる中、制度の利用が思うように広がらない現状がある。利用者数は2014年末で18万4670人と少しずつ増えてはいるが、人口が日本の6割程度しかないドイツの利用者約130万人に、遠く及ばない。
そこで、促進法が成立した。この法律で制度そのものが変更されたわけではない。諸問題を解消するため、首相がトップの会議を内閣府に設置し、有識者の意見を聞いて必要な法整備を行うための枠組みを決めたものだ。
今後の議論で、まずポイントとなるのが、不足する後見人の確保策だ。
制度ができた00年度に選ばれた後見人の91%が親族だったが、身寄りがない高齢者の増加で弁護士など専門職の後見人の需要が増え、14年には親族以外が65%と逆転した。専門職の大幅増が見込めないため、研修を受けた一般市民が後見人になる「市民後見人」の育成を促す。
特に解決が急がれるのが、後見人らが付くと権利が大きく狭められる問題だ。公務員や弁護士、企業の社長などとして働けなくなるなど、制限される資格や職業は200を超える。
また、制度には、支援の必要性が高い順に「後見」「保佐」「補助」の3段階ある。だが、実際には、財産管理がしやすいという支援者側の都合で「後見」が選ばれることが多く、約8割を占める。本人の権利を必要以上に制限していると指摘され、保佐や補助の利用拡大策を議論する。
新たな法整備では、治療が必要な際に本人が同意を示せない場合、代わりに同意する権限を後見人に与えるかどうかも検討する。新潟大の上山泰教授(民法)は「後見人が医療の面で同意できる範囲や手続きなどについて、議論が始まる意義は大きい」と評価する。
だが、後見人が医療同意の権限を与えられても、回復の見込みがない人の延命措置を中断するかどうかなどの重い判断を担うことが現実的に可能なのか。こうした問題に3年間で結論を出せるかは不透明だ。
そのほか、後見人による財産の流用・横領が10年6月からの5年半で226億円にも及んだことから、その防止策を強化する。
こうした制度設計の甘さと正面から向き合い、本人の暮らしや権利を守るための仕組みへ早急に改めることが必要だ。
■現場から浮かぶ問題■
公務員の長男 失職心配…職業や資格に制限
川崎市の社会福祉法人「あおぞら共生会」副理事長の明石洋子さん(70)は、自閉症で知的障害のある長男(43)のために成年後見制度の利用を考えているが、それができない。後見人などが付くと、長男が23年間続けてきた川崎市職員の仕事を失ってしまうからだ。
長男は、高校卒業時に同市の採用試験に合格。清掃所や特別養護老人ホームなどを経て、今は市立動物公園に勤務し、餌づくりや清掃を担当する。10年以上前から、ヘルパーに買い物や調理の支援を受けながら、一人暮らしをする。目標は「結婚してファミリーをつくることです」と語り、そのための貯金もしている。
明石さんが心配しているのは、自身や夫(70)が亡くなった後のことだ。今は、生活費や歯科治療費などを、明石さんが長男の給与口座から引き出し、渡している。しかし、親の死後、よく判断できずに不利益な契約を結び、悪徳商法の被害に遭うかもしれない。貯金を管理し、必要な支援サービスを契約することも難しい。
明石さんは「長男が、地域で安心して暮らすには、成年後見制度が必要。しかし、利用すると、働くという生きがいと生活の糧を奪うことになってしまう。権利を侵害しない制度への見直しを早急に進めてほしい」と訴える。
川崎市の明石洋子さん(右)は、知的障害
のある長男に日頃から成年後見制度をは
じめ障害者が利用できる制度を分かりや
すく説明している
権限なし 病院で戸惑い…医療行為への同意
80歳代女性の成年後見人を務める都内の弁護士(39)は、昨年11月、女性の入院手続き中に、医師から示された書類に戸惑った。女性が心肺停止状態になった場合、人工呼吸や心臓マッサージなどの延命治療をするかどうかを選ぶ内容が記されていたからだ。
後見人は、本人に代わって財産管理などをすることはできる。だが、注射や手術などの医療行為を受けることを、病院側に同意する権限をそもそも持たない。
ただ、女性は重度の認知症で、考えを確かめられない状態だった。意見を聞ける身内もいない。そこで、女性の介護をしていたヘルパーに連絡を取ると、「延命治療は受けずに楽に死にたいと語っていた」という。病院側に伝え、書類にサインはしなかった。弁護士は「病院側も私たちも、いつも困りながら何とか折り合いをつけている」と話す。
司法書士でつくる「成年後見センター・リーガルサポート」の調査では、後見人経験者の76%が「家族の有無にかかわらず、医療機関から治療の同意を求められたことがある」と回答した。
だが、治療がうまくいかなかった際に親族に訴えられるリスクも抱える。NPO法人「尾張東部成年後見センター」(愛知)の住田敦子・センター長は「後見人に治療の同意を求められても、1人で判断できるものではない。制度上はできない難しい問題を、後見人が担わされている」と話す。
後見活動で支えられ、自宅で暮らす女性
を訪問した「尾張東部成年後見センター」
の住田敦子センター長(愛知県内で)
これは、現場は混乱しますよね。法整備が急がれます。
だって、現場は待ったなしですよ。
最後にこれを見て下さい!
最後は日経です。
成年後見申し立て最多 最高裁まとめ 親族外の選任7割
認知症などで判断能力が十分でない人を支援する成年後見制度の利用申し立てが昨年1年間で3万4782件あり、過去最多だったことが28日までに、最高裁のまとめで分かった。制度の利用が着実に進んでいる実態が浮かび上がった。弁護士など親族以外の第三者が選任された割合も過去最高で初めて7割を超えた。
最高裁家庭局によると、全国の家裁への申し立て件数は2005年に初めて2万件に達し、12年以降は3万4千件台で推移し、昨年は前年より409件増加した。
親族以外の第三者が後見人に選任されたケースは年々増加しており、12年に5割を超え、昨年は70.1%だった。内訳は多い順に司法書士27%、弁護士23%、社会福祉士11%。
申立人は本人の子が30%と最多で、次いで市区町村長が17%、本人のきょうだいが14%だった。制度の利用者総数は、昨年12月末現在で19万1335人となり、1年前の18万4670人より6千人以上増えた。
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