地中海の見える生活

モロッコ安全対策会議とアルジェリアのパイプライン襲撃について

本日は、2つの議題について同時記載したいと思います。

まず、1月28日(月)にラバトにある在モロッコ日本国大使館にて安全対策協議会が開催され、私も参加して参りました。
その議事内容について大使館より発行されましたので、公開したいと思います。

なお、私のブログ上では大使館関係者名・参加者等に関する特定情報については伏せさせていただきます。

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1.開催日時:平成25年1月28日(月)午後4時00分から午後5時30分
2.開催場所:在モロッコ日本国大使館
3.出席者:
(1)大使館関係者
(2)在留邦人 53名
4.議事
(1)参加者一同,アルジェリアにおける邦人拘束事件による犠牲者に哀悼の意を表する黙祷を行った後,大使挨拶に続いて,各担当官より以下の説明を行った。
①アルジェリアの事件概要
H参事官より,事件の概要に加えて,今般の事件の性格・特徴,アフリカ北西地域の治安悪化,リビアの武器拡散,今後の治安・テロ情勢見通し及びモロッコの状況などにつき説明した上で,モロッコとアルジェリアの相違点等も言及しつつ注意喚起を行った。
②テロ対策に関するモロッコの現状
M書記官より,当国警察当局から収集した情報につき提供。あわせて別添の「AQIM活動地域」の資料に基づき,当国南部がAQIMの活動地域に含まれること,今般のマリでの戦闘を受け,武装勢力が当国南部に逃げてくる可能性がある旨示唆した。また,当国警察当局は,現時点では危険レベルを上げてはいないものの,モーリタニアやアルジェリアと接する当国の長い国境のすべてを監視することは困難であるとの考えを示していることから,たとえ当国警察当局がモロッコはアルジェリアと異なり安全であると言及していても,隣国で起きた事案であることも考慮し,外国人が多く集まる施設やフランス系関連施設等には近づかない等,できる範囲での注意を図るとともに警戒をするよう参加者に呼びかけた。
③在留邦人の緊急連絡先の大使館への登録依頼
I書記官より,緊急時には,提出された在留届を元に安否の確認等を行うことを説明。在留届に変更があった際は,速やかに大使館に連絡する必要があること等,在留届の提出及びその記載事項変更があった場合の当館への連絡の重要性につき述べた。
④モロッコ主要医療機関の説明
I医務官より,当国で医療水準が高い病院を列挙した別添資料につき説明。当国で重大な治療などを行う場合は,これら病院であれば充分な医療を受けられるとの考えのもと配布した旨述べた。なお,本資料は,当館が推薦する病院ではなく,また医療レベルを保証するものでもないことも併せて説明した。
(2)日系企業活動実態把握及び同企業の安全対策の聴取
当国の日系企業は,カサブランカ(当館のあるラバトから南西に約100km)やタンジェ(当館から北東に約250km)が主な拠点となっているが,参加した日系企業関係者等から安全対策等につき説明を頂いた。
(3)質疑応答
参加者との質疑応答概要以下のとおり(M書記官回答)。
① 当国におけるテロの標的は,どこか。
場所の特定は困難だが,当国における過去の事案を検証すると,テロの対象者はモロッコ人を除く外国人であることから,外国人が多く集まるような施設には近づかないことが肝要。
②地方で活動している支援団体関係者にとって,最も注意すべき点は何か。併せてモロッコでは誘拐のリスクはあるのか。
当国の治安当局からの情報をもとにすると,地方においてテロが起きることは,あまり想定できない。また,当国ではこれまで誘拐事件は起きていないとの情報を得ているが,身代金目的の誘拐事件が起きる可能性は否定できない。誘拐事件に巻き込まれる可能性も含め,目立つ行動はしない,少ない人数では歩かない,人気の無いところへは行かない等,一般的な対策をとることが重要。
③外国人が多く集まる場所は危険なのか。
当国の治安当局から得た情報では,現在の当国の警戒レベルは3段階中2となっており,これはアルジェリアでの事件が起きる前から変わらない状況となっている。先にも述べた通り,現時点では外国人が多く集まるような施設にはできるだけ近づかないようにすることが望ましい。
④先般,タンジェでテロが摘発されたとの報道を確認したが,具体的な場所は分かるか。
ケニトラでも摘発の可能性があるものなのか。
テロリストが摘発された具体的な場所までは把握していない。当国の治安当局から得た情報では,テロ組織は,モスクで敬虔なイスラム教徒をリクルートしており,それらの者をアル・カ・イダ系に染めていくとのことであった。また,当国治安当局は,インターネットや電話,直接的な会話などによりテロ実行を計画している者をマークした上で,その者と関係を持つ者すべてを摘発し,テロの発生を未然に防いでいるとのことであった。
⑤モロッコにはテロ活動家を育てる訓練施設は存在するのか。
先般,当国の治安当局に確認したところ,かつて当国リフ山脈周辺で本訓練施設を建設しようとしていた者が摘発されたが,それ以降は当国においては,本関連施設は存在していないと聞いている。なお,現在は,リビアやマリにそれら訓練施設があるとのことであるが,当国治安当局は,これら施設に人を送り込む前段階で関係者を摘発しているとのことである。
⑥オーストラリアは,モロッコには欧米権益に対するテロの危険があると発表しているが,その実態如何。
オーストラリアは,今回の事案に限らず,他国政府より一段階高いレベルで渡航安全情報を発出していることが背景にあると思料される。
⑦フランスが考えるモロッコでのテロの可能性について,情報提供願いたい。
先般,当地フランス大使館に赴いて情報収集した結果では,フランスはモロッコとの関係を重要視しており,またモロッコの警備体制につき満足しているとのことであった。
現時点の状況から見て,フランスはモロッコでのテロの発生の可能性につき特段の警戒はしていないと考えられる。
⑧スペインのアルヘシラスでは,ポルトガル,フランス,イタリア等近隣諸国からの支援を受けて国境警備対策を講じているという情報を得たが,モロッコでは何かしら近隣諸国と連携したテロ対策を講じているのか。
テロは国際的なものであり,モロッコも欧米諸国や湾岸諸国と連携しつつ,テロ対策に係る情報収集等を行っている。

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以上が、議事の内容です。

各国が協力しあいながらテロの警戒を進めているのですが、テロのターゲットや手口が変わってきていることもあり、予測は困難であるという事。

以上の事から、あまり神経質になる事は無いと思いますが、可能性もゼロでは無いことを常に念頭に置いて行動したほうがいいのかな・・・という感想です。


と、そのような内容を書いているうちに、アルジェリア北部のブイラ県において、ガス・パイプラインの警備を担当する自警団の宿営所が、武装勢力により襲撃され、自警団員3人が死亡、7人が負傷するという事件が発生したというニュースが入ってきました。場所は、アルジェリアの首都アルジェから南方約120キロ・メートルという、首都圏にとても近いところという事です。

イスラム過激派は約1時間の銃撃戦の上、逃亡。軍が周辺地区を捜索中との事であり、捜索の対象には、「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ組織(AQIM)」の指導者、アブドルマリク・ドルクデル容疑者も、付近に潜伏していると見て捜索中であるとの事です。

今回の事件については、外務省より以下の海外安全情報が発信されています。

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「アルジェリアにおけるガス・パイプライン襲撃事案の発生に伴う注意喚起」

2013年01月29日


※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。

※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。

※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。


1 報道によれば、1月27日夜(現地時間)、アルジェリア北部のブイラ県において、ガス・パイプラインの警備を担当する自警団の宿営所が、武装勢力により襲撃され、自警団員3人が死亡、7人が負傷しました。

2 アルジェリアでは、1月16日、アルジェリア南東部のイリジ県イナメナスにおいて、武装勢力により外国人が襲撃・拘束される事案が発生し、日本人10人を含む外国人多数が死亡しました。また、同月20日、犯行グループとみられるイスラム原理主義武装組織が声明を発表し、マリにおける戦争に参加している諸国に対しさらなる攻撃を行うと述べました(1月17日付広域情報「アルジェリアにおける邦人を含む外国人拘束事案発生に伴う注意喚起」及び同月21日付広域情報「アフリカ北西地域:テロの脅威に伴う注意喚起」参照)。

3 ついては、アルジェリアに渡航・滞在される方及び滞在中の方は、上記情報をふまえ、イスラム原理主義武装組織が同地域の欧米権益等をテロの標的とする可能性に注意し、これに巻き込まれないよう、現地大使館から最新の関連情報の入手に努めること等を通じ十分な安全対策を講じてください。(アルジェリアについては、別途外務省危険情報が発出されていますので、こちらも併せご参照ください。)

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902

(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)3680

○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2306

○外務省 海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/
             http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)

○在アルジェリア日本国大使館(金、土は休館。緊急時は連絡可能)
 住所:1, Chemin Al Bakri, Ben-Aknoun, Alger, Algerie
 電話:(市外局番021)912004
 国外からは(国番号213)-21-912004
 FAX:(市外局番021)912046
 国外からは(国番号213)-21-912046
 ホームページ:http://www.dz.emb-japan.go.jp/

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今回の事件で感じるのは、イナメナスの事件はアルジェリアの首都アルジェから南南東1300km離れており、軍により弾圧されたと思っていたのですが、それからほんの数日で、首都からわずか120kmの地点で攻撃されたという事に驚きました。

彼らは「いかなる警備も突破して、ターゲットを射抜いて見せる」と言っているような気さえします。

特に、ヨーロッパへ供給するエネルギー施設を狙っているのが大変気になるところです。

モロッコには、そのような大きなエネルギー産業は無いとは言え、フランス軍による領空通過を認めているという事から、テロの標的になりうる可能性はゼロではありません。

彼らが武器・弾薬をモロッコ内に持ち込むことが無いよう、警備の強化を祈るばかりです。
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