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短歌「望郷の歌」その1

2012-08-30 16:18:01 | 写俳

「望郷の歌」・1

*故郷の砂丘消へし思い出をたどるあてなき孤児の旅ゆく

*瀬戸内の浜に残した思い出は夕陽とともに海に流さん

*木造の海辺の校舎思ふれば一里に道も遠く思わず

*山間の火葬場の草繁るなか母の好んだ山梔子の花

*坂の上わが藁葺きの農家(いえ)ありて青空澄んで夏蜜柑なる

*抱きしめて抱きしめて刻るその悲しみ骨の哭く音

*迷路です混迷ですよ闇夜です五右衛門風呂焚く更待月

*黄昏に心傷みて枯葉踏むきみいなくなる日々にはじまり

*茅葺きの雲突き抜けた屋根に乗り流れる星を掬いてをりし

*段畑農夫の母の姿追う三つ子の悲嘆いまも残れる

*新春に日の丸揚げて祝い膳囲炉裏囲んだ家族は散りて

*望郷と歌へど里はうしなわれ都会の隅に踞る我れ

*亡き母の育てし花の一輪の真白機き椿きみも好みて

*幼子の両手あわせる姿みて過ぎ行く月日懐かしみをり

,*命日に雪ふりしきるこの月に母を偲びて椿一輪


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