「10歳の春/裏庭の桜が/満開のとき/ぼくは出奔した/泣きながら少女は/坂を駆けおりて/一冊の詩集を手渡してくれた/ぼくはただ黙って俯き/少女の愛を受け取った/ぼくは貨物船で島を離れた/桟橋に少女は立ちすくしたまま/ぼくの記憶になった/幼い初恋です」 #詩 #twpoem
「15歳の冬/隣町の画塾で/初めて裸婦を/描いたのです/手がふるえ/ぼくは蒼白な血流を知った/ぼくより3歳年下の/少女は平然と/画布に向かっていた/毎週金曜日の夜/逢うのが楽しみだったが/ある日少女は/画塾に来なくなった/そして5年後/八木重吉の詩集が届いた」 #詩 #らかん亭