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Technomaestro-テクノマエストロ-

技術立国日本を影で支える技術者たちをかっこよく紹介!少しでも興味を持っていただければ幸いです。

#007「磁石でとめる男」

2005-03-09 23:41:10 | Weblog
今回はカバンやハンドバック等の留め金部分のお話。
磁石を用いることでこの分野を制した青木金属工業の青木氏が主役です。
マグネットホックは画像に見られるようなもので
皆さんも良く知っているものともいます。
青木金属工業はこの分野でシェア5割以上をほこっているそうです。

マグネットホック及び磁石に関する詳細は
興味のある方は私のホームページを見てください。
ここでは、本稿で少しだけ触れました
世界最強の永久磁石「ネオマックス」の話をしたいと思います。
「ネオマックス」は当初、住友特殊金属株式会社が作り出した
一製品名だったのですが、現在この会社は「株式会社NEOMAX」
と、社名を改めるほどこの商品に注力しているようです。

このネオマックス。当時、住友特殊金属の社運を賭けるほどの
プロジェクトだったようで、開発に際して事故で一人亡くなったと聞いています。
困難は開発だけでは無かったようです。
鉄とネオジム、ホウ素を組み合わせることで最強の磁力を引き出せることを
見つけ、1983年6月、「ネオマックス」の名で成果を発表。
すぐに国内外の電機、精密、自動車などのメーカー、研究機関の
問い合わせが殺到しました。
その2年後、米ゼネラルモータースの研究者が、製法は違うが、
同じ組成の磁石を開発し、特許を出願していたことを知りました。
申請日は住特金が82年8月21日、GMは12日遅れの9月2日。
日米の特許制度の違いからもめたが、
88年に「両社が互いの特許を尊重する」との和解で決着しました。
「2週間足らずの差です。GMは悔しかったでしょう」と関係者は言っています。
ネオマックスは、モーターをどんどん小型で高出力にし、
パソコンやビデオカメラなどの「軽薄短小化」を支えました。
スピーカー用としても、ヘッドバンドのない最新型のヘッドホンの登場も演出しました。

今回は磁石をカバンに転用した男を紹介しています。

http://www.fiberbit.net/user/takuoka/technomaestro_top.htm

#006「光で固める男」

2005-03-08 22:05:27 | Weblog
今回は瞬間接着剤のお話です。
(株)スリーボンドの春藤氏の業績に
スポットライトをあててみました。
詳しくはホームページを見ていただければ
分かると思うんですけど
簡単に言うと瞬間接着剤を使ったときに残る
はみ出し部分の白い塊。
これを光で接着剤を固めることによって
なくしてやろうとしています。

実際、この発見は実用化されており
(株)スリーボンドのホームページで紹介されていますので
興味のある方HPの「Technical Information」をご覧ください。

ところでこの発見によって「白い足跡」が無くなると
どういう利点が考えられるのでしょうか?

スリーボンドさんの説明によると
光硬化性瞬間接着剤は瞬間接着剤と光硬化樹脂それぞれの
短所を補っているということで、
無白化(白化とは周りに残る白い塊のこと)が
求められる電気・電子・光学部品、
例えば光学レンズ周り支持体の固定・接着、
プリンターヘッド、軸受けなどの勘合部の接着
などなどあまり我々の目に見えるところでの
活躍はなさそうです。

もっとも、我々の生活において活躍するのは
プラモデルを組みたてる時に
接着剤を使いすぎると出来る「白い足跡」が
消せることぐらいでしょうか…

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#005「橋を支える男」

2005-03-07 22:01:50 | Weblog
今回は橋を支える、それも世界最長の吊り橋
明石海峡大橋のワイヤーを開発した新日本製鐵の樽井氏を紹介しています。
ここでは本稿で少しだけ触れたワイヤーに使われた鉄について。
本稿の補足になりますが…
明石海峡大橋に使う鉄ワイヤーの長さは半端ではなく、
また橋と言う建築物を考えるとかなりの寿命が必要です。
耐食性ということを考えるとやはり鋼線表面には亜鉛めっきしか
考えられないようです。
めっきの方法には化学蒸着や電気めっき等あるようですが
何度も言いますように、長さが半端ではないのです。

どれぐらいか想像つきますか?
橋全体で使うワイヤーは総重量約5t。
総延長は30万km。なんと地球7周半分なんですよね!
上のようなめっき方法だと作業時間がかかりすぎて
とてもじゃないけど間に合わない。
だから鉄が熱にさらされるけど溶融めっきしか選択肢は無かったんですよね。
それでも全てのワイヤーにめっきし終わるまで3年以上かかったそうです。

樽井氏は言ってます。
「本当に良い橋かどうか評価を受けるのは私のいない100年も後の話だろう」と。
橋と言うのは何もかも飛びぬけたスケールの建築物なんですね。
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#004「抗菌を根付かせた男」

2005-03-06 20:39:33 | Weblog
今回は「抗菌」を取り上げました。
シナネン(株)の栗原氏です。
現在「抗菌」という言葉自体はとても一般的な言葉なんですが
このゼオミックスが誕生する最近まで
一般的にはほとんど知られていなかったようです。
私自身もこの稿を調べるまで知りませんでした。

「抗菌」という言葉に関して興味のある方は
私のHPを見てもらうことにします。
「抗菌」ということば広い意味で捕らえると
我々の身近には「抗生物質」というものがあるんですよね。
抗生物質は私たちが病気の際に服用する薬で
強い効力で治療に役立ちます。
抗生物質はもともと微生物の産生物に由来する抗菌剤、
抗真菌剤、抗ウイルス剤そして抗腫瘍剤であり、その大半が抗菌剤です。

病原体のバクテリアは、体内に一度入ると環境に恵まれて爆発的に増殖します。
周囲から栄養分を奪うだけでなく、毒素を出し宿主を殺すことさえありえます。
しかしバクテリア自身は単細胞生物であり、その生命活動は人間とは大きく異なります。
バクテリアと人間。この生命維持活動の差をうまく利用すれば
人間には作用せず、バクテリアだけを殺すことが出来る。
これが抗生物質の原理です。

この抗生物質。
万能ではないんですよね。最近は抗生物質が効かない菌が出てきているんです。
「メチリシン」という抗生物質がありますが、
このメチリシンの効かない「メチリシン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」が
院内感染の原因になっていることは、ご存知の方も多いと思います。
菌の世界でも世代交代が進み、いずれ人間の手におえない
細菌が出てくるときがあるのかもしれませんね。

今回は「細菌を根付かせた男」を紹介しています。

http://www.fiberbit.net/user/takuoka/technomaestro_top.htm

#003「酸素をつくる男」

2005-03-03 22:14:18 | Weblog
今回は光触媒の話です。
通産省工業技術院資源環境技術総合技術研究所の指宿氏に光を当ててみました。
触媒と光触媒についての話は私のサイトで
わかりやすく説明したつもりなので
興味のある方は覗いてやってください。

さて、ここではその研究所について考えたいと思います。
「通産省工業技術院資源環境技術総合技術研究所」
長いですね・・・
どこで切るんだろうか?
現在は独立行政法人産業技術総合研究所と名前を変えて
つくばにあります。

通称、産総研。私も学生時代に何度か行きましたけど
つくばって東京に比べると本当になにも無い(失礼!)
常磐新線が開通するとまたここも大きく変わるのでしょうか。
この産総研は日本最大の研究組織で、
その研究分野は産業全てをカバーと豪語しております。
大学等での先端基礎研究と企業での応用技術の開発、
この産業技術を発展させる両輪を繋ぎ合わせる役割を担っています。

この産総研と我々の生活。意外と興味深いところでつながっております。
私たちが普段使っている定規やはかりなどの計測機器は、
産総研内にある特殊な装置や、
「原器」と呼ばれる標準となる物質を基準に作られています。
例えば重さは“キログラム原器”と呼ばれる円筒形の金属を1キログラムとし、
その原器を基準にすべてのはかりが作られます。
つまり、日本製の定規やはかりのルーツをたどっていくと、
最後は産総研に行き当たるのです。
いうなれば産業を支える共通の「ものさし」をつくっているのですね。