新型コロナウィルスの感染の影響で、毎日体温を測るのが習慣になったという方、多いのではないでしょうか。
最近は、様々な体温計が出回っており、デパートや大きなショッピングモールなどには、サーマルカメラが設置されるようになりましたし、美術館などでは係員が非接触型の体温計を使って「ピッ」と入場者の体温をチェックしています。
私が子供の頃は、水銀式の体温計しかありませんでしたから、時代は変わったなあと思います。
私たち日本人は、水銀式や、その後発明された電子式の体温計を使う場合、わきの下(腋窩・えきか)で測ります。
でも、体温を測定する場所は、わきの下に限りません。
外国映画や漫画などで、体温計を口にくわえている場面を見たことがありませんか?
口腔(舌下)温は腋窩温や皮膚温に比べて発汗の影響を受けず、安定した値が得られます。
運動や食事、精神状態など、体温に変化を与える因子を取り除いた最も変動の少ない体温のことを「基礎体温」といいますが、口腔は基礎体温を測るのに適した場所です。
ちなみに、成人女性のホルモンによる微妙な変化をみる電子基礎体温計は、小数点第二位まで測定できるようになっています。
病理学や法医学の分野では、お尻の穴に体温計を差し込んで、直腸温度を測定しますが、腋窩よりも1度くらい高めです。
体温は人種によっても差があります。
子供の頃、修学旅行先の鎌倉や京都で、冬でもTシャツ短パンという格好をした白人観光客を見かけましたが、彼らはたいていアメリカ人でした。
その頃のアメリカは今よりもずっと肥満の人が多かったですし、そもそも彼ら欧米人は私たち日本人よりも平熱が高いのです。
先日、通っている仏語教室で面白い話を聞きました。
フランス人のG先生の平熱は、フランスに居る頃は37.5度前後だったそうですが、日本に住むようになって、37.0度くらいに下がったそうです。
肉をあまり食べなくなったことが影響しているのかもしれないと言っていましたが、なるほど、一理あるかもしれませんね。
今年の春頃は、一律に37.5度以上の場合は・・・などといったことで感染を疑う基準が設けられ、世の中が混乱しました。
インフルエンザの流行も心配される季節になりましたから、自分のふだんの体温が何度くらいなのか、「平熱」を知ることは大切ですね。
高齢になると平熱は低めになることも知っておくといいかもしれません。