きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

遺伝病

2018年09月05日 | Switter
喫煙というのは、よく遺伝します。


両親やきょうだいなど、家族に喫煙者が多いほど、男女ともに子どもの喫煙率があがることが報告されています。

ある報告では、父親よりも母親の喫煙のほうが子どもに影響しやすいことが示されました。


けれども個人的には、父親が息子に与える影響というのも、きっと大きいのではないかなという気がします。



大学の医局の後輩にH君というイケメンドクターがいました。

ある日、彼から「時々タバコを吸っている」と告白されたことがありました。


彼の両親は幼い頃に離婚していました。
お母様はスナックで働きながら、女手ひとつで彼を育てあげました。

そのおかげもあって、H君は無事医学部を卒業。
けれど、せっかく医者になったというのに、いつの頃からか、タバコを手にするようになっていたというのです。


「父親を思い出したいときに、車の中で1本だけ吸うんです」





もちろん、専門的にいえば、喫煙は遺伝病ではありません。

けれども、家族、特に親が子に与える影響は多大です。



「うちは、がんの家系なんで・・・・」とおっしゃる方が時々いらっしゃいます。

女優のアンジェリーナ・ジョリーさんの例のように、遺伝子の異常が原因で家族性に発生するがんもあることが最近の研究でわかってきていますが、それはごくごく一部です。


「がん家系」とおっしゃっているご家族について話をうかがってみると、がんになったという親族の方の多くは喫煙者だった・・・なんてことはよくある話です。


ごくごく一部をのぞいて、がんは先天性の病気ではなく、毎日の(受動喫煙を含めた)喫煙生活が引き起こす後天性の病気であるといえます。

つまり、がんの予防方法で最も効果的なのは、タバコを吸わない、吸わされないことです。


次の世代に病気を引き継がないためにも、吸っている人は禁煙治療を受けることを切にお勧めします。




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