流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

反動型ハイドロ軸流タービンの翼間流れ解析

2009年04月25日 | 流体解析シミュレーション

ハイドロ=液体を使用する反動型軸流タービンの翼間での流れ状態を解析しました。

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反動型タービンとは、多数あるブレード(翼)の間を流体が流れる場合に、翼間の入口から出口に向かっていくにしたがい、だんだんと流体の通過面積が狭まるために速度が速くなり、それとともに圧力も減少していくような羽根形状を持つタービンを言います。

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今回の解析結果を見ると上図のように、速度ベクトルの変化が反動タービンとしての特徴を良く表しています。

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翼間で加速する流れを作る羽根形状を持つ反動タービンはどんな所が優れているかと言えば、加速流は減速流に比べて翼間でのエネルギー損失を少なくすることが出来るため、反動タービンは衝動タービンに比べて最高効率が高くなる特徴を持ちます。

しかしこの特徴は同時に、翼間の流れ速度に対して比較的速く翼が回転しなければ効率が高くならないという特性となるため、同じ圧力を速度に変換してタービン翼でエネルギーを吸収する場合にどうしても反動タービンの方が衝動タービンより回転数を速くしなければならないこととなります。

回転数を速く出来ることは、発電機が小型でOKなどメリットも大きいですが、蒸気などを処理する場合は反動タービン1段の静翼・動翼でエネルギーを回収しようとすると超高速となるのが通常のため、段数が非常に増える多段式となり製作費が上昇するというデメリットもあります。

よって、反動タービンとするか衝動タービンとするかは、製作費・技術的許容値などの条件により判断されるもので、どちらが良いかは一概に言えないものとなります。

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