上水道の減圧弁にて無駄に捨てられている水圧エネルギーを発電として回収する「上水道減圧水力発電装置」の引き合いが最近増えています。
上水道減圧水力発電装置の設計例が次の図となります。
上水道配管にインライン型として設置できるように設計しており、最小の面積で最小の工事で発電を開始することが出来ます。
水力タービンの型式は、自分の祖父がすでに昭和の初期には設計製作していたフロンタル型フランシス式水車となります。
それには可動式の流量制御ガイドベーンも付いていますから、タービン出口の圧力を自由に調整可能であり、上水道配管には最適の制御が可能です。
更に、発電機もインバーターを使用した可変速発電機となるため、流量変動があっても常に効率良く発電可能です。
写真のタービン発電機は、工場内での省エネ用として設置した180KWのプラント配管内圧力エネルギー回収タービン発電機です。
このプラント内の配管には液体の圧力エネルギーを減圧する減圧弁があり、その減圧弁にて200KW以上のエネルギーが音と熱という形で無駄に捨てられていたのですが、上写真のタービン発電機がそれを回収して180KWの発電として工場内にて消費されるようになったのです。
少し前までは、工場内エネルギー回収はその設備費が3年以内で回収出来る設備しか行わないことが一般的であり、それにより多くの無駄なエネルギーの回収可能地点が使われていませんでした。
しかしこれからは工場内等での電力のより無駄のない使い方とするために、このようなエネルギー回収発電は増えていくこととなるでしょう。
工場内や施設での排水ピット出口での落差を有効に利用するタイプの水力発電装置として次の図を構想してみました。
流量変動の多い排水ピットでも利用可能である水力発電装置が上図となり、その構成要素と特徴を紹介しましょう。
構成要素
1.横軸バルブ型カプラン水車 電動サーボによるランナ可変ピッチとなります。
2.直交軸べベルギア増速機 軸動力を垂直方向に増速しながら伝達します。
3.誘導発電機 系統に連係した誘導発電機となります。
4.上下駆動排水ゲート 水車発電機と一体となった上下するゲートとなります。
5.発電機制御盤 水車可変ピッチ制御と系統連係制御を行う装置が入っています。
発電装置の特徴
1.可変ピッチカプラン水車により、流量変動・落差変動があっても高効率運転可能
2.上下動排水ゲートにより排水を妨げることがなく、水車発電機メンテナンスが簡単となる。
3.エネルギー変換効率の高いタービンにより廃棄エネルギーの回収効率が高い。
以上のように排水利用水力発電装置としては優秀なシステム構成と考えています。
省エネとエネルギー回収を目的としている気体用タービン発電機の実験装置構想事例を今日はご紹介します。
次の図が構想説明図です。概念説明用なので簡素化した構造となっています。
タービン実験装置の構成要素を説明しましょう。
1.タービン 2段反動型軸流タービン 一体加工羽根となっています。
2.発電機 永久磁石式アウターローター方式となっています。
3.タービン入口流量調整部 ニードルノズル式流量調整部であり、手動です。
4.ケーシング 円筒形耐熱鋼製となります。
5.センサー類 温度・圧力・回転数・流量などのセンサーを使用します。
6.発電状態測定部 電圧・周波数・電流などを測定します。
7.高速型軸受部 耐久性を確認します。
以上が気体用タービン発電機実験装置の内容です。
上水道配管網のところどころに生じる余分な圧力を減じる減圧弁の箇所に、減圧弁の代わりとして次の図の「上水道減圧用水力タービン発電機」を設置すれば発電を行うことが出来、大変に有効な省エネ設備となります。
次の図は、クレーンでピット型上水道発電装置を設置する構想図です。
水車発電機廻りの装置配管までの図が次です。
次の図は、フロンタルバレルケーシング型フランシス式水車発電機のズームとなります。
次の図は水車(水力タービン)部を透明化してみたものです。
また発電装置配管廻りを別角度から見た図が次です。
以上のようなピット型上水道減圧水力発電装置は、パッケージ式にて手軽に据え付けることが出来、上水道施設の省エネルギーに大きく貢献します。