朝岡聡の畳三昧

フリーアナウンサー、朝岡聡が面白い畳、最新の畳事情をレポートします。

八代のイグサ畑を見て

2007-08-24 15:14:08 | Weblog
皆さんは国産イグサの最大の生産地をご存知ですか?日本のイグサの栽培面積と畳表の生産量の8~9割を占めるのが九州熊本の八代なんです。球磨川の河口に臨み八代平野が広がるこの地方こそ、国産畳のふるさとです。演歌の八代亜紀さんやパ・リーグの誇る強打者だった秋山幸二さんの出身地ですね。

 輸入モノが増える一方で、国産にこだわるイグサ農家の枩島(まつしま)さんは農水大臣賞も受賞しているイグサ作りのエキスパート。7月初めの収穫期に畑を訪ねると濃い緑のイグサが大人の背丈ほどに伸びています。畑と言っても収穫後は稲作もするので田んぼといっしょです。フサフサとして艶やか、乙女の黒髪のような密度の濃さ。畳から想像していたよりも太い茎をもっているんですね。
6月下旬から3週間ほどが収穫の時期ですが、収穫前45日ほど前に出た芽が長くて高品質のイグサとして珍重されるそうです。それにしても良質のイグサを作るには手間がかかります。畑の土・肥料・世話…普通の農家ならこれで収穫してオシマイなのですが、イグサ農家は育てるだけではなく収穫したものを加工処理して畳表として完成させるところが多いので、とにかく設備投資が必要。人件費と共にこのあたりが現在農家にずっしりのしかかっている問題なのだそうです。

さて、刈り取られたイグサがどうなるか?これまた「へぇ~」の連続の面白さでした。続きは次回!

ジャパン畳工房 佐賀支店について

2007-08-08 13:33:50 | Weblog
国内最大のイグサの産地である九州には他にはないユニークなお店もあります。ジャパン畳工房佐賀支店もそのひとつ。ここの特色は藁床にこだわっているという点です。 私達の使っている畳は床といわれる分厚い中心部の表に畳表を縫い付けてあるわけですが、昨今は床の部分が発泡スチールのような素材で軽くて薄い床も出回っています。しかし佐賀支店では品質への強いこだわりから、あくまで藁を使って床を作っているそうです。 佐賀支店の小林さんは言います。
佐賀の藁は実に良質なんですよ。佐賀牛のエサとして使われるくらいですからね。うちはもともと俵や『かます』(藁でできた袋)を作っていたんですが、その藁をしっかり熱処理することでダニも出ない、半世紀は持つ畳を製作しています。この畳の上を歩いたり座った時の感触は、もう格別ですよ!」  九州でも藁床の畳を作っているのは小林さんの佐賀支店だけだそうですが、職人気質の小林さんの表情からは畳にかける情熱と誇りがひしひしと伝わってきます。
現在は御子息と二人三脚で業務の幅を広げています。自慢の藁床畳の根強い人気に加えて、デザイン性や健康志向の商品で次なる一歩をしるすべく、日々研究にも余念がありません。

東京にいたのでは分からない「畳の現場」の空気がなんとも心地良いのでありました。