たた&にせ猫さんの備忘録

―演劇、映画、展覧会、本などなど、思うままに―

『ドッグマン』 ヒューマントラストシネマ渋谷

2019年09月23日 | 日記
     『ドッグマン』 ヒューマントラストシネマ渋谷  2019.9.5

    監督:マッテオ・ガローネ 製作総指揮:アレッシオ・ラッツァレスキ 
    脚本:ウーゴ・キーティ、マッシモ・ガウディオソ、マッテオ・ガローネ
    キャスト:マルチェロ・フォンテ エドアルド・ペッシェ他

  全くの猫派!なのですが、犬が出てくる映画や本が大好き。この映画もよく内容を確かめないで、犬が大きく写ったポスターに惹かれて、主人公がいろいろ理不尽な目に遭うらしいけれど、きっと犬が助けてくれるのだろうと思って見たら、まったく趣の違う映画だった。

  お話は(まったくのネタバレです)、イタリアの海辺の町で、犬のトリミングサロン「ドッグマン」を営むマルチェロ(マルチェッロ・フォンテ)は、離婚しているが、娘と会って旅行するのを最上の喜びとし、仲間と食事やサッカーを楽しむ毎日。しかしその裏では、暴力的な友人シモーネとの従属的な関係に悩まされ、ドラッグを調達したりする日々。ある日、シモーネから、隣の店(宝石や金目のものを扱う)に、壁に穴をあけて侵入するために、店の鍵を渡すように迫られる。
  警察からシモーネの罪を認めるよう、そうすれば周囲の信頼も得られるだろうと説得されるが、サインしなかったために、マルチェロが受刑することに。刑を終えて町に戻ると、町の人にとっては、シモーネを刑務所にせっかく送れるチャンスだったのに、サインしなかったマルチェロは街の裏切りものになり、孤立を強いられる。シモーネに分け前を要求。やっと手に入れたお金で、娘とダイビングに行き、さらに、シモーネとの関係において、自分の尊厳を取り戻そうとアクションを起こすが、悲劇的な結末に。

  1980年代のイタリアで起きた殺人事件から着想を得たドラマ。主演のマルチェッロ・フォンテは、本作で第71回カンヌ国際映画祭男優賞に輝いたとのこと。

  主人公は困っているのにシモーネがけがをすれば助けるし、冷凍された犬の救出に危険を冒しても向かうし、その時々やさしい良い人なのだけれど、薬物を調達したり、自分も利用したり、まったくの善人という訳ではなく、儲け話に結局はのって、娘とのつかの間の幸せを優先している。
  物事の優先順位、より本質的なこと、将来にわたる娘との関係や信頼、暴力の持つ意味―何かしらの魅力と服従への自覚などより、その時々優しく生きようとして、ちっとも優しくない結末に至ってしまった男の話かなと。
  
  主演のマルチェロさんはさすがカンヌの主演男優。シモーネ役の人も迫力。うらぶれた風景、太ったおじ達が広場でサッカーしているなど、雰囲気ある映画。
  犬の大活躍はありませんでした。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ロケットマン』 109シネマ... | トップ | 『ミュージカル ボディガー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事