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<東日本大震災>「堤防、早期修復を」余震の被害懸念 福島

 東日本大震災で、福島県浜通りのいわき市沿岸一帯も津波で大きな被害を受け、中央部の平豊間(たいらとよま)地区の老朽化した総延長1キロ弱の堤防が100メートル以上にわたって壊された。震災から1カ月たった今もコンクリート片が散乱し、堤防修復のめどは立っていない。今月11日に発生した震度6弱をはじめ強い余震が続く中、新たな被害を懸念する住民らから早期の対応を求める声が出始めた。

 同市では、集落ごとの死者数や住宅倒壊数の正確な把握は今もできていない。平豊間地区の副区長、遠藤守俊さん(66)によると、津波は海岸線から約500メートル先まで押し寄せ、同地区の約600戸のうち500戸前後が流され、死者・行方不明者は少なくとも80人を超えるという。

 県港湾課によると、同地区の堤防は昭和40年代に整備されたが、それ以降、大規模な改修はされていない。高さは海面から6.2メートルとし、津波ではなく主に高潮を想定していた。県は補修の必要性を認識しているが、本格的検討には着手していない。同課は「復旧、復興は福島だけの問題ではない。各被災地の今後の町づくりと並行して取り組まないといけない」と話す。

 平豊間地区の自宅がほぼ全壊し、いわき市内の避難所に身を寄せる女性(40)は「大きな余震が続いているので、とりあえず応急処置をして、将来はより強い堤防を造ってほしい。家が壊れずに残っていて、『早く自宅に戻りたい』という人もいるはずだ」と指摘する。

 遠藤さんには、国が福島第1原発の事故対応に追われ、福島で起きた津波被害に目が届いていないように思える。補修すらできずに放置されている堤防はその象徴だ。「被害実態を広く知ってもらえず、復旧から取り残されていくのではないか。堤防を強くするのか、集落を内陸部に移すのか、国や県は早くビジョンを示して実行に移してほしい」と訴える。【和田武士】




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