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TAOコンサル『ルオー研究ラボ』

「ジョルジュ・ルオーの生涯」
「ルオーの影響を受けた人々」

宗教画家ルオーのイメージとは異なる作品『ユビュ親父』

2010年05月20日 | ルオーの作品
 ルオーの『ユビュ親父シリ-ズ』はそれほど好きな作品という訳ではないのだが、ルオー・コレクターとしては見逃す訳にはいかない。この作品、まとめて見る機会は滅多にない。・・というわけで、パナソニック汐留ミュージアムに出かけた。

 ユビュとはフランスの作家アルフレッド・ジャリの劇『ユビュ王』の主人公のことである。画商ヴォラールから、この作品の制作を依頼されたルオーは、いささか滑稽で支離滅裂な主人公に共感できず、その気にならなかったのだが、ミゼレーレ作品制作を交換条件に引き受けたとのこと。ルオーの主題であるキリストや道化師などの作品とはいささか異なるイメージではあるが、ルオーにかかると、素晴らしい世界が生まれるから不思議だ。描かれているのは、フランスの植民地を舞台とした黒人やいささかグロテスクな白人たちであるが、人物の動きが素早いタッチで、しなやかに表現されている。

 別室に展示された新収蔵品は過去に見た作品ではあるが、どれもとてもよかった。

●『古びた町はずれにて又は台所』・・1937年 油彩・紙

・・・この作品は、もう何年も前、清春白樺美術館で見たことがある。描かれているのは“キリストのいる室内風景”であるが、ルオーの聖書風景の一つ。小林秀雄が、一度見たら忘れられない感銘を受けたと語っている。


●『避難する人々』・・1948年

・・・いい作品である。第二次世界大戦で家を焼かれた貧しい一家が避難する様子が描かれている。これは旧約聖書の出エジプト記のエクソダスをイメージした作品である。


●『キリスト』・・1937~38年 油彩

・・・版画集ミゼレーレの第二作目を油彩画にした作品である。モノクロ銅版画のミゼレーレの世界を色彩で表現した名品である。


作品『ユビュ』の一部


ルオー『キリスト』(部分)


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