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→♂♀←_no.37_2014:ポケットの中のチョコレートバー

2014-12-23 12:52:19 | 今月のお薦め_XX.20XX
ポケットの中のチョコレートバー 宮下恵茉 nhkネットコミュニケーション小説

 保護者の管理下にある立場で、しかも比較的聞き分けがよい部類な娘が
伝家の宝刀など抜けやしない。しかし、親というものは親の立場による幾つかの
伝家の宝刀を結構簡単に抜いてくる。
 もっとも、聞き分けのない子供によるワンパターンな宝刀抜きまくりもあるので、
人によるという話に大人も子供もない。ただ、物分かりのよい子供の場合、
大上段に振り下ろされる切っ先を受身オンリーで耐え忍ぶパターンに
なってしまっていることは、きっと少なくないはずだ。

 それだけ、「あなたのことをおもって剣」は振り下ろす者に迷いを生じさせない
魔剣なのである。概して、魔剣の類は持ち手の魂を吸いとるので、
大人と雖も自制できる人は少ない。ちなみに魂を吸いとられた剣士の「あなたのことを
おもって」は既にあなたではなく、自らの都合になっていることは皆様、ご承知の通り。

 拮抗した戦いにおける決着や有利な側の勝利は本当のところ状況を変化させることは
あまりないかも知れないが圧倒的不利側の勝利には立場の逆転、または共に進む姿勢
といった大きな分かれ目が訪れる(かも)。
 前者は敗者の次なる機会を狙う気持ちを持たせるか絶望だけで、拮抗した戦いにおける
決着や有利な側の勝利と大差はない。
 一方、共に進む姿勢は単に相互の争いの種がなくなるだけでなく、食い違っていた
ベクトルが揃うことになるので凄まじい推進力を、多くの利益をもたらすwin-win状態に
なる確率は高い。ただし、敗者の敗戦のショックやプライドなど、また勝者にも勝ち取った
権利の一部を行使しないなど一筋縄に選ばれる選択ではなかろう。
※拮抗した戦いにおける決着や有利な側の勝利でもwin-winは有り得るが、
それができるなら戦う前にwin-winにすべき話し合いがもたれる方が建設的で、
決着後のwin-winはマシではアルがそこに茶番を感じずにはいられない。茶番でもマシではアルが。
けど、それなら、事前の交渉による交渉が戦いだって、そりゃそーだ。で、戦いのすべては
一人勝ちを目的としている、とする方が自然である。ついでに、本音を言ってしまえば、多くの
win-winは茶番である。それでも、圧倒的不利側勝利の後の共に進む姿勢はギリギリな選択となる
可能性が高く、割合的に少なかろう茶番でないwin-winになりやすいのではと希望的コメント。

などと、長々に書いてしまいましたが

真央が物語の最後、お母さんにとった行動は本当に素晴らしい。真央は隠れて食べたチョコレートバーから
これまで知らない世界を知った。その場ではその世界を母親と共有する気もないし、知らない母を
少なからず蔑む類の感情もあったはずだ。

 さて、大人がついつい「あなたのことをおもって剣」は振り下ろすのも、魔剣に魂を
吸いとられてしまうのも結局のところ、世間の広さを知らないからである。井の中の蛙如く
威張り散らしているわけではないが井の中で一生懸命面倒をみようとしている。
 世間知らずと面と向かって言われて素直にきき入れられる人間は少ないだろうが
チョコレートバーを進める真央ちゃん、それを受け取るお母さん、どちらも素敵です。もちろん、
現実ではもう少しやりとりがあるかもしれないが、世間の広さを認めてその広さに対して如何に
存在すべくか真剣に考える気持ちになったのであれば、現実でも遠からず、
真央さんとお母さんのように、親子は共に進む選択をする。

 しかしである、大人が魂を吸い取られているままな場合(途中からでも子供の声に耳を傾ける
まともな状態に戻って欲しいが最後まで戻れない大人)、(聞き分けのよい)子供だって
持っている伝家の宝刀を抜きましょう!(簡単に抜くなよ!!)。

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