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青色申告承認取消処分を巡り最高裁判決、事前に防御の機会なしも合憲

2024-05-16 11:18:45 | 日記
最後の反対意見が参考になります。

行政手続法の勉強をしていたときに基本テキストにしていました。

青色申告承認取消処分を巡り最高裁判決、事前に防御の機会なしも合憲

2事業年度連続して確定申告を期限までにしなかったことが法人税法127条≪青色申告の承認の取消し≫1項4号に該当するとして、課税庁が法人税の青色申告承認取消処分をしたことについて、納税者が事前に防御の機会が与えられなかったことが憲法31条(法定手続の保障)に反して違憲だなどと主張して争いとなっていた訴訟で、最高裁第三小法廷(渡邉惠理子裁判長)は7日、処分に違憲はなかったとして納税者の主張を退ける判決を下した。

 国税通則法74条の14第1項≪行政手続法の適用除外≫は国税に関する法律に基づき行われる処分(青色申告承認取消処分も含まれる)には、行政手続法の一部規定(本件で問題となるのは行政手続法13条に定める不利益処分をしようとする場合の手続等)を適用しない旨を定めている。

 本件は青色申告の承認を受けていた納税者が、確定申告書を提出期限までに提出しなかったことを理由に青色申告承認取消処分を受けたため、通則法74条の規定の違憲性などを指摘し、その取消しを求めていた。地裁と高裁では、納税者が確定申告書を提出期限までに提出しなかったのは、税務代理人であった税理士法人の担当職員が提出を失念していたことが原因で、2事業年度連続の期限内不提出のみをもって処分を行ったことは、課税庁に委ねられた裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があったものであり、違法だなどとも主張していた。

 ただ、最高裁では課税庁が青色申告承認取消処分をするのに際し、事前に防御の機会を納税者に対してまったく与えなかった場合、本件の処分が憲法31条等に反するかなど違憲か否かが争点となった。

 判決で最高裁は「青色申告の承認の取消処分については、その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとはいえない」などとし、納税者の主張を退けた地裁、高裁の判断を支持した。

 なお、5人の裁判官のうち宇賀克也裁判官(元東大教授、専門は行政法)は、「処分庁が不利益処分を行う場合には、誤った不利益処分による権利侵害が行われないように事前にその根拠法条とそれに該当する事実を通知し、相手方に事前に意見陳述の機会を保障することが、憲法上の適正手続として要請されるのが原則であり、法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分について、その例外を認めるべき合理的理由は見いだし難い」などと指摘。本件の処分は違憲であり、取消請求を認容すべきであるとして、本判決(裁判官の多数意見)に対する反対意見を示している。

(税のしるべ)
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