時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

頂点をつかみ取る!

2021年11月28日 | スポーツ観戦

多摩爺の「スポーツ観戦(その24)」
頂点をつかみ取る!(大相撲九州場所・NPB日本シリーズ)

11月27日17時55分、復活した強い男(照ノ富士)のドラマ(優勝)を目の当たりにし、
あと1時間で日付が変わろうとしていた23時05分
下剋上を果たした強い男たち(東京ヤクルトスワローズ)のドラマ(日本一)をこの目で確認した。

最初のドラマは・・・ 大相撲十一月場所(九州場所)だった。
怪我と病気を乗り越え、今夏に横綱に上り詰めた照ノ富士が14日目で優勝をつかみ取ると、
この夜は、その直後から5時間10分に渡る長いドラマが続いていた。

張り手、かち上げなどの乱暴な立ち会いはしない。
勝負がついた土俵際で、ダメ押しなど品格に欠けた相撲はとらない。
勝ったからといって、けっしてガッツボーズや拳を握るような仕草も見せない。

総ての取り組みに奇策はなく、胸を出して受けて立ち、まず相手に相撲を取らせ、
土俵際に押し込まれたとしても、けっして慌てることはなく、しっかりと受け止めてから、
じわりじわりと圧力をかけて前に出る。

相手をねじ伏せ、土俵に転がすことよりも、
相手の背に土を付けることなく、土俵の外に出す相撲を選んで取り、
敗者に手を差し出す配慮も・・・ けっして忘れない。

勝負事だが、勝って驕ることなく、敗者を気遣う相撲が観戦する者の琴線に触れる。
これこそが横綱相撲で、多くのファンが待ち望んでいた。

長い間横綱の地位にいて、優勝回数こそ前人未踏の45回を数えたが、
品のない荒っぽい相撲で、大相撲ファンをがっかりさせ続けてきた白鵬が先場所後に引退を表明し、
一人横綱となった照ノ富士が、今場所は圧巻の相撲を取り続け、
14日目にして・・・ 幕内最高優勝を決めた。

おめでとう! 横綱・照ノ富士
令和三年の納めとなった大相撲十一月場所(九州場所)は、横綱に昇進して二場所連続で、
3月場所、5月場所、9月場所に続き、今年4度目(通算6度目)の賜杯を手にした。

モンゴル出身の力士だが・・・ 今年8月に日本国籍を取得しており、
本名をモンゴル名のガントルガ・ガンエルデネから、
師匠でもある伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の姓をいただいて名乗り、
杉野森正山(すぎのもりせいざん)として、将来は親方として協会に残ることを可能としている。

14日目、優勝を決めた照ノ富士は、
直後のインタビューで・・・ 次のように応えた。

「基本的に毎場所違う感じがあるので、その中でやることは変わらない。
 一生懸命やるだけ、ちゃんと一日一番っていう気持ちで、全部受けて立つ気持ちでやりました。
 みんな一生懸命勝ちに行くのは当たり前のことだから、こっちも同じ気持ちでやってる。」

「全部受けて立つ気持ちでやりました。」
これこそが、横綱相撲であり・・・ 横綱だけに求められている品格だと思う。
土俵の上であろうと、土俵の外であろうと、
その言葉どおりの振る舞いができる横綱を・・・ 大相撲ファンは、長い間待っていた。

明くる日の千秋楽、結びの一番での大関・貴景勝との対戦には・・・ 全勝優勝が懸かっている。
場所後の29日には、節目となる30歳の誕生日を迎える。
20代最後の日となった千秋楽・・・ 新たな足跡を残すことに期待したい。

そして・・・ もう一つのドラマは、18時から始まったプロ野球日本シリーズ第6戦
意地と意地のぶつかり合いは、延長戦に突入し5時間を超える大接戦となった。
23時を5分ほど回ったとき、ついにというか・・・ やっと決着がつき、
東京ヤクルトスワローズが、20年ぶり6回目の日本一になった。

1995年に日本シリーズで相まみえた、ID野村と仰木マジックの教え子たちが
26年の歳月を経て指導者となり、ともに2年連続リーグ最下位だったチームをリーグ優勝に導き、
圧倒的な強さでクライマックスシリーズを制し、日本一を賭けて戦ったNPB日本シリーズは、
1点を争う投手戦あり、逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームありで、大接戦で大興奮
の大熱戦だった。

ただ一つ、残念だったことがあったとすれば、
第6戦が、屋根のない天然芝の「ほっともっとフィールド神戸」で
ナイトゲームで行われたことではなかろうか。

気温10度を下回ったグラウンドでの野球は、プレーする側にも、観戦する側にも不幸でしかない。
週末の試合だけに、ナイトゲームではなく、デーゲームでやることを、
計画しても良かったと思うが如何なものだろう。

勝負が決まった第6戦は、その寒さのなか延長12回、5時間を超える大接戦だったが、
シリーズを通して、エンジンのかかりが遅かったオリックス打線は
今季「沢村賞」を獲得した、絶対的なエースの好投(9回1失点)に報いることが出来なかった。


勝負を決めたのは・・・ 一つのミスからだった。
延長12回ツーアウトランナーなしからヒットを許すが、
ここで痛恨のパスボールが出てしまい・・・ 2塁への進塁を許すと
代打の切り札が、レフト前のポトリと落とす渋いヒットを放って勝ち越し、そのまま逃げ切った。

寒さと緊張のなか、5時間を超える集中のなかで起こった・・・ ちょっとしたミス
そこに油断があったわけではないし、そんなことは、だれもにも分ってるが、
たった一つの綻びが、勝敗を分けてしまうのだから・・・ 勝負の世界は厳しい。

試合終了となり、マウンド付近で高津監督の胴上げが始まると
20年前、東京ヤクルトスワローズを率いて日本一になった名将・野村監督の格言とも取れる口癖
「勝ちに不思議の勝ちり、負けに不思議の負けなし。」を・・・ ふと、思い出していた。
「その通りだな。」と納得し・・・ 興奮冷めやらぬなか床につくことにした。

おめでとう! セリーグチャンピオン・東京ヤクルトスワローズ
お疲れさま! パリーグチャンピオン・オリックスバファローズ
2年連続最下位の両チームが、ともに大奮起してリーグ優勝を果たし、
日本一を懸けて戦った日本シリーズは、最高に面白くて、最高にワクワクする6試合だった。

やっぱり、スポーツは面白い。
感動をありがとう。

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2 コメント

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素晴らしかったですね! (MINORI)
2021-11-30 12:01:25
いつも楽しく・感心して拝見しております。
相撲も野球も本当に素晴らしかったですね!
野球はもう一戦見たかったです。
相撲は照ノ富士の全勝優勝で喜んでいます。
照ノ富士の部屋・伊勢ケ浜部屋は、名古屋場所の時には
以前住んでいた近くの神社(伊奴神社)に構えます。
その頃好きだったのは安美錦関でした。
技巧派で優しく、今は親方ですが、照ノ富士の復活や
性格が変わったのにも大きな影響を与えた人と思います。当然一番素晴らしいのは伊勢ケ浜親方です。
それと陰で一生懸命励まし応援し支えてきた奥様が素晴らしいと思います。
膝が悪化しない事を祈り、優勝回数を重ねる事を期待してます。
爺(時事)放談も益々期待して拝見いたします!
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Unknown (多摩爺)
2021-11-30 13:19:37
MINORIさん、コメントを頂戴しありがとうございました。

日本人よりも日本人らしい横綱で、相撲が益々面白くなってきました。
安美錦も良い力士でしたね。
穏やかな顔立ちから人柄の良さが滲み出ていました。
きっと後輩の面倒見が良かったのでしょう。
良い先輩力士に恵まれたのは、親方の指導が良かったからだと分りますね。
来年も怪我をせず、しっかり土俵を務めてもらいたいと思っています。
それと、日本シリーズは仰るとおりで、私ももう一試合見たかったです。
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