オリンピックより復興だろ

　世の中では２０２０年に東京でオリンピックが開催されると浮かれてるようだけど、福島に生きる者にとっては複雑な心境だ。３兆円規模の経済効果だとか公共事業だとかそろばんを弾いて良い思いをする人たちは大喜びだろうが、果たして東京から２５０キロ離れた福島や東北にはどれほどの経済効果があるというのだろうか。カネの亡者たちが利権に群がる姿はオリンピック本来の思想とあまりにもかけ離れていて醜い。

　一番腹が立ったのはオリンピック委員会で招致をアピールするためのアベのスピーチだ。東京は福島から２５０キロも離れているから安全だとか、コントロールされているとか、何を根拠にそんなこと言ってんのか全くわからん。原子炉の中がどうなっているのかも、ダダ漏れの汚染水もまったく解明もできずコントロールなどできてないんじゃないの。

　戦後復興のシンボルが前回の東京オリンピックだったように、今回の東京オリンピックを震災復興のシンボルもしくは、ジャパン・アズ・ナンバーワン的経済復興のシンボルにしたいという思惑だろうけれど、沈まぬ太陽的な右肩上がりの「昭和」に幻想を抱いているのだろう。しかし雰囲気だけで実体のないアベノミクスと同じで昭和のような時代が再び訪れるとは思えない。これはアベが９条を破棄して国防軍を保持して戦争ができる国にしたいという思想も、原発を再稼働して海外に売り込もうとしていることも、ブラック企業大手のワタミを比例区で当選させて労働者を使い捨てるホワイトカラーエグゼンプションを導入しようとしている思想も根っこは一貫していて、思想ではなくアメリカと財界の単なる使いっ走りってこと。

　ともかく、東京でオリンピックを開催することよりもフクシマ原発をなんとかしてもらいたい。「日本を取り戻す」前に避難生活をしている人たちの生活を取り戻さなければならない。全世界に向けてフクシマは安全だと豪語したのだから有言実行で廃炉と汚染水処理に取り組んでもらいたい。