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日記、日々の想い 

こうして、ひとは少しずつ大人に…

こうして、ひとは
少しずつおとなになる
今から、思い返せば
そう言うことなんだろうな
でも、あの日は
今から、思い返しても
あんまり、少しではなかった
確かに、こうして
昔を、振り返っていても
他には、経験がない
全国紙の社会面
下の方だったけど
四分の一はあった
公共放送でも
速報的にニュースにしていた
そんな事件だった
その、まだ警察も来ていない
事件現場の片方に
犯人と人質たち
もう片方には
追っ手の先生たち
怒号が飛び交う
人気はないけど
燦々の秋晴れ
寂しくはない
ただ、ひたすら
穏やかだったのに
おまえたちだけのお休み
頬張るかあさんの愛情弁当
…何にも
悪いことはしていないよ
何にもしていないよ
天災は、ある意味仕方ない
でも、ひとのひと迷惑
それは、ただただ
理不尽なだけだな
やっぱり、許せない
そして、置き去りにされた
友だちとおまえ
そうだったんだと思う
追っ手の先生たちにも
山狩りのお巡りさんたちにも
まったく、心配されなかった
いや、眼中にも
入れて貰えなかった
いや、多分
眼中に、入れば良かった
人見知りなおまえたちふたり
それが出来なかったんだね
いや、もっと些細な困り事でも
そんな思いを、繰り返して
それは、「助けて」とか
「ふざけんな」とか
言えるようには、なった
でも、この時は
それが、出来なかった
奇跡的に、実害はなかった
3人も人質を連れた
犯人には、余裕がなかった
そう言う事だろう
実際は、途中で
人質を替えたり
したみたいだからね
おまえたちにも
危険はあった
何度も、何度も
思い出して
危ないやつを、察知したら
とにかく、避ける
とことん、逃げる
ぞんな、臆病な
小狡いとも言える
おまえの人格の
原点のひとつ
そうなったのだと思う
そして、運転手さんと車掌さん
勘弁してよ💢
まったく、よりにもよって
生きた心地もしない
あの思いの後に
知らないおとなの濡れ場
小学校6年生でも
二人とも奥手で
何の知識もないのに
いきなり、R-18⁉️
もうね、理不尽二乗
しかし、おとなって
凄いな
とは思ったかも知れない
何しろ、何事もなかった
そんな感じに出来る
そっぽを向いたままの
運転手さんと車掌さん
定時になったら
車掌さんは
普通に、出発のアナウンス
終点と、主な停留所と
淡々とした語り口
運転手さんは
出発のクラクションで
バスは、普通に
山道を、降りて行く
おまえたちふたりには
おじさん、おばさんに
見えていたけど
きっと、二十代かな
でも、凄くおとな
あんな事があっても
何にも、なかった事に出来る
停留所は、山中にもあって
やがて、麓になれば
頻繁に停留所
だけど、止まらない
誰も待ってないから
車掌さんのアナウンスだけ
おまえたちは、上目遣いで
ひたすら、傍の車窓を見ている
ただ車掌さんにも
運転手さんにも
おまえたちは
いないみたいだった
おまえたちは、と言えば
ただ、誰か早く
乗って来ないかな、と
ひたすら、待っていた
でも、誰も乗って来ない
こんな里山丘陵の
麓の集落なんて
人影もない
現代では
結構な街みたいだけどね
麓のバス停のいくつ目か
やっと一人
お姉さんだった記憶
とにかく、おまえは
ほっとしたと思う
友だちもね
やっと、まともな
おとなの人が、一緒
ただ、それから
みるみる人が乗って来た
何でか、分からないけど
バスが、川沿いに出る頃には
立つ人もいた記憶
川は、実家から近いあの川
あの川の上流
山裾をぐるっと回り切って
川沿い広い道を
下流へと走る
大幹線T海道へと
何だか、不思議
いっぱいお客を乗せて
運転手さんは、ただ普通
車掌さんも、ただ普通
乗客は、誰も知らない
おまえたちだけか
覗かされた、日常の裏
そこには、あの犯人も
人質たちもいるんだ
追っ手の先生たちや
警察の捜査線も
どこにも気配すらない
おまえたち以外は
誰も知らないみたいだ
何事もないような
あんな事件が
まだ、進行中なのに
犯人は、まだ山の中❓
やがて、橋が見えて来る
T海道の橋だ
突き当たると
T海道に曲がる
おまえと友だちが
朝、歩いて渡った
二人で、るんるん
でも、あの無邪気には
この橋を
バスで戻っているけど
もう、戻れないな…
        to be continued
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