なんか、嫌な夢…

確か、春先だったか
木の芽どきとか
よく弱ったひとが
危ないとか、言われる
そんな時期だった
息子たちは
まだ、小学生
わんこは…

まだ、しろだけ❓
そんな頃かな
平日、普通の朝
まあ、いつも通り
気持ちは、どんよりと
早くない寝起きで
先に着替えて
朝の食卓
と、言うほどでもない
とにかく、口に
簡単な食べ物を
押し込むような
忙しない朝だ
あれっ❓
おばさん…
顔色、悪い⁉️
少し、お見合い
話し出す
「なんかねえ、
　夢、見ちゃったの…」
「どんな❓」
多分、あんなやつか
霊感❓霊夢❓
おばさんが
起きている時なのに
時々言う、寝言
そんなもん、おまえは
興味ないもんね
だいたい、おまえは
夢なんて見ても
起きた瞬間に
みんな忘れてる
自分で言うのも
おかしいけど
幸せな性格だよね
おばさんは、意外と
そうじゃないみたいだ
親族とか、亡くなる前
結構、夢枕に立つらしい
同居していた祖父母とか
或いは、親戚とかも
夢枕と言っても
なんか、死の床の人が
おどろおどろしい感じで
出て来るとか
或いは、分かるかたちで
あいさつに来るとか
そんな風じゃなくて
昔の、何気ない
会話の場面とか
そんな感じらしい
ただ、普段は
半ば、忘れていて
その日に、唐突に
脈絡もない感じで
夢に、出てくるらしい
必ずしも
その日とは、限らなくて
予感がして
嫌な思いでいると
数日中に
そうなるのだ、と言う
まあね、単なる偶然
後追いの思い込みだ、と
おまえは、そう思っていた
おまえは、だいたい
物事には
基本、たいした脈絡はない
そう、思っているからね
出来事は
無数、様々な可能性の
ただの偶然の産物
賽の目も
同条件下で
どの目が、出るなんて
ひたすらに、偶然
それは、もう
おまえの思想だから
ただ、その時の話は
ちょっと、気味悪い
そんな、偶然だった
夢に、出てきたのは
義父だと言う
義父は、当時
７０代後半
義母を、老老介護
疲れ切って
体調が、あまり良くないとは
おまえも、聞いていたよね
ちょっと、引っかかる話だ
義父母は
義弟一家が
同居していたけど
義母は、４０代後半で
脳梗塞で、倒れて
重い障害が
残ってしまった
しかも、段々弱っていく
その義母の面倒を
義父が、一手にみていた
義弟は、仕事で
いっぱい、いっぱい
お嫁さんも、その頃は
幼い子どもたちに
掛かりっきり
でも、義母の
介護度合いは
進行して行くから
義父は、もう
疲れ果てていると聞いた
二人姉弟の
長女のおばさんも
たまに、里帰りすれば
義父の愚痴が、増えて
気には、掛けていたけど
おばさん自身も
息子たちの子育てと
生徒が、増えてきた
学習塾で、一杯一杯
義父は、既に
糖尿病と、心筋梗塞の
持病が、あった
通院も、していた
そんな頃だった
でも、おばさんは
忙し過ぎて
両親に対する
気がかりは、あっても
精神的には
夢に見る余裕など
もちろん、なかった
それて、その朝だ
父親と、彼女が
普通に、世間話を
しているような場面
何を、話しているのが
分からないのだと言う
深刻な話などではなく
まったりとした
父娘の会話、みたいな
そこで、目が覚めた
とにかく、気になるらしい
「思い込みだろう」と
気休めを、言った
クルマで、駅迄
いつも通りで
送って貰う
まだ、顔色が悪い
「そんなに、心配なら
　電話を、してみたら」
「うん…」
駅に着いて、別れる
おまえは、そこでもう
忘れたよね
おまえも、毎日
忙しかったから
そして、会社
いつも、通り
朝の９時１０分着
軽く仕事の準備
９時半始業で、朝礼
１０時に、取引先も開いて
電話連絡も
入り始める
そんな時間だ
事務職の女の子が
電話を取って
「奥さんからです」って
(うんっ⁉️)
まさかとは、思った
でも、朝のあの件❓

電話に、出る

「お父さん

　倒れちゃったの❗️」

凄く、動揺している

「危篤なんだって‼️」

「えっ⁉️…」

もちろん、おおごと

慌てたけど💦

ふと、過ぎるよね

おばさんの朝の話

あの"夢"の話

電話は