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カオスの世紀

カオスとは「混沌」、そしてこの21世紀に生きる自分の混沌とした日常を気ままに書き綴っていきます。

憲法はまだか

2007-04-28 | ドラマ
今の日本人なら、誰もが絶対的に守らないといけないもの。それが日本国憲法だ。その日本国憲法は1947年5月3日に施行された。

さて、私は総務部という部署にいるので、よく”法律”という言葉を耳にするし、使う事が多い。例えば契約書一つでも、「これは法的に問題ないか?」という事を良く口にするし、他の部門長から問い合わせがある。そんな時には自分なりに得た法的知識で答える事もあるし、判断が難しい場合は顧問弁護士に問い合わせたりする。そんな時に接する”法律”というのは、いわゆる六法と言われるものである。ちなみに六法とは、日本国憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法の事である。
よく仕事で接するのは民法と商法だが、たまに訴訟事でも起きると民事、刑事の訴訟法なんかにも接する。

ところが多くの国民は最近かなり論議されているが、この六法のもっとも原則であるはずの日本国憲法の条文に接する事は少ないのではないのだろうか?
最近、この憲法を変更しうる国民投票法案が今年衆議院を通っている。しかし、我が国の憲法を自らの意思で変えうる法案が通ったにも拘わらず、その憲法そのものを良く理解していないという国民は多いのではないか?

さて、今日、家に帰ると親父がケーブルテレビの日本映画専門チャンネルで、「憲法はまだか」という、1996年の日本国憲法施行50周年を記念して作られたドラマを見ていた、思わず自分も見ていた。ドラマは二部構成で、第一部は象徴天皇、そして第二部は戦争放棄となっている。
実は日本国憲法において、世界に類を見ない独自の条文がこの二つの条文である。つまり、”国民主権”である民主主義国家としての日本の憲法において、天皇の存在を初めの第1章に盛り込んだという事。そして、世界的に見ても明確に戦争放棄を謳っているのはフィリピン憲法のみという、第9条の存在。この二つにスポットを当てて、当時の関係者の苦悩と策略を描いたドラマになっている。ドラマはいわゆる政治劇として描かれ、主人公は当時の憲法問題担当大臣であった松本烝治(津川雅彦)を中心に、彼と憲法論争で確執のあった、後に戦犯として裁かれる前に自殺した近衛文麿(江守徹)や、最終的に憲法施行に奔走した幣原喜重郎、吉田茂といった政治家や、あのGHQを相手に堂々と渡り合った白洲次郎(長谷川初範)などの実業家や官僚といった人物の奮闘ぶりを描いている。ドラマの中に、白ずくめ(包帯を全身に巻いたような感じにも見える)の象徴的な男の存在を「生まれつつある憲法の象徴」として随所に登場させて、ただのノンフィクションドラマから一歩突っ込んだ形にしている。

さて、ここで今の日本国憲法の是非や、憲法改正の是非をここで述べるつもりは無いが、まずは日本国憲法の論議に自分なりの主張をするなら、その生い立ちを知り、そして何と言っても日本国憲法の条文をきちんと読む事が大事と思う。
そうした事は政治家や官僚まかせではなく、日本人なら自らがその条文に目を通すべきだと思う。その上で議論をしないと意味がない。そうした意味でもこのドラマはとても興味深かった。
特に日本独自の憲法の成立にこだわりつづけた、松本烝治憲法問題担当大臣の苦悩ぶりが心惹かれる。ある意味、”右”にも”左”にも睨まれ続けて、それでも日本独自の憲法草案にこだわった彼は、今の日本を予感していた気がする。
彼の草案が新聞社にすっぱ抜かれた事で、GHQの反発にあい、彼の草案は反動的であるとされて、結局、わずかの時間で作成されたGHQ案がベースとなり、これを日本的な表現に何とか修正して出来たのが日本国憲法である。

松本烝治はある意味、このGHQ案と大きく違わぬものを作ろうとしていた。でもあくまでも日本人が作った憲法でないと後々しこりが残る事を予感していた。今の憲法改正論議の中で、この意味は大きな意味を持つように感じる。
未だアメリカの押しつけの憲法という論議があるのがその象徴的なものだろう。

松本烝治が日本国憲法が出来た後に、言った皮肉とも取れる言葉が印象的だ。
「アメリカ人には日本人のわびさびが理解出来ないんだ」
自分の国の言葉で語られなければ、いくら平和憲法であっても、素晴らしい憲法であっても国民には浸透しないという事だ。

ただ、この憲法の草案にあたっては、”日本国憲法”として、多くの人間がアメリカを相手に奮闘し、言葉の壁に挑み、そして作り上げていったという事はこのドラマを見て理解する事が出来た。そうした、人々の努力のうえに出来上がった憲法をきちんと読み込み理解したうえで、この憲法を改正するなら真摯な態度で臨まなければいけないという事だ。

憲法記念日を前にして、意義のあるドラマが再放送された。出来ればもっと多くの人が見れるようにケーブルテレビだけで無く、地上波でも放送してもらいたいものだ。

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