
※本記事、"ローグ・ワン"は、なんの注釈もなしに専門用語や固有名詞を多用しています。
スター・ウォーズシリーズに興味のない方や、過去作を観ていない方は理解しづらい内容になっています。
先日の仕事帰りに映画を観てきた。
スター・ウォーズシリーズの最新作、"ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリー"だ。
シリーズでナンバリングタイトルでない初のスピンオフ作品。
主演はインフェルノのフェリシティ・ジョーンズ。
監督は2014年版GODZILLAの、ギャレス・エドワーズ。
キャッチコピーは"もうひとつの、スター・ウォーズ。”
本作の第一報を知ったのは昨年の夏頃だったか。
映画館に置いてあったフリーの小冊子。
"ローグ・ワン"と表紙に大きく書かれていた。
素通りしようとしていたが、その文言が目に留まり、思わず立ち止まった。
"ローグ・ワン"。
なんとなく聞き覚えのある言葉だった。
スター・ウォーズの第一作目、エピソードⅣ新たなる希望で、
帝国軍と戦う反乱同盟軍の部隊に、"ローグ中隊"という名の部隊が登場するのを覚えていた。
その小冊子を手にとると、やはりスター・ウォーズ最新作の記事が掲載されていた。
なんでもエピソードⅣの冒頭の前夜話にあたるストーリーだそうで、
帝国軍の究極兵器、デス・スターの設計図を盗み出すのに成功した、
反乱軍のスパイたちを画いた物語。
この設計図によって、デス・スターの弱点を突きとめ、
ルーク・スカイウォーカーの活躍で、ついにはデス・スターの破壊に成功する。
エピソードⅣの冒頭、スクロールするプロローグにも、
この設計図を入手したという部分がはっきりと語られており、
レイア姫がジェダイの生き残りである、オビ・ワンへ助けを求めるため、
ダース・ベイダーに拿捕される寸前に、二体のドロイドにそれを託す。
スター・ウォーズファンにとって、これはとても興味深い。
デス・スターについては、よくネタにされることがあった。
あんなデカくて強力な兵器なのに、なんで戦闘機の爆弾一発で木端微塵になるんだ?
とか、そんな簡単に弱点が解るような設計図とか帝国はバカなの?とか、
40年も前の作品とはいえ、色々とツッこむ輩が居るのも確か。
そこらへんも踏まえて、これがどのように画かれるのか?
しかも今回はフォースを操るジェダイが一切登場しない。
アナキン・スカイウォーカーの裏切りと、皇帝パルパティーンによって、
ジェダイが全滅してしまった、エピソードⅢシスの復讐から20年後の物語。
新たなる希望、若きジェダイのルークもまだ目覚めておらず、
ジェダイの生き残りである、オビ・ワンも、ヨーダも隠匿しているとき。
フォースを操り、ライトセーバーで戦う者はおらず、
ふつうにブラスターを操る、名もなき戦士たちの物語。
この辺りも新鮮で見応えがありそうだ。
期待大で鑑賞に臨んだ。
皇帝パルパティーンこと、シスの暗黒卿ダース・シディアスによって、
銀河帝国が作られ、その強大な軍事力によって全銀河が恐怖支配されていた。
だが、それに反攻する星系が銀河共和国を維持。
有志が集い反乱同盟軍を結成して、帝国軍に対し細々と抵抗していた。
しかし帝国軍は圧倒的で、反乱軍は敗北を続ける。
そんななか、帝国の究極兵器完成の情報が伝わる。
惑星をも破壊する帝国の移動要塞兵器、デス・スター。
その開発責任者であった、ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)は、
かつて辺境の惑星で妻子と共に隠匿生活を送っていたところ、
帝国のオーソン・クレニック(ベン・メンデルソーン)に居場所を突きとめられ、
妻を殺されたあげく、無理矢理連行されて、デス・スター開発を強要させられた。
ゲイレンは帝国への復讐として、デス・スター内部に、密かに致命的な弱点を設け、
かろうじて逃がすことができた、当時幼かった娘にそれを知らすべく、ホログラムメッセージを記録し、
帝国の貨物船パイロット、ボーディー・ルック(リズ・アーメッド)に、
娘を保護してくれた知人、ソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)の元へと、メッセージを届けるよう託した。
ゲイレンの娘、ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)は、
度々犯罪を犯し、今は帝国に拘束され強制労働させられていた。
そこへ反乱軍のスパイ、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)たちがジンをさらいに来る。
デス・スター設計者のゲイレンからのメッセージを託された帝国の脱走兵のこと、
そのメッセージの受取人が、帝国に反攻しているソウ・ゲレラだとの情報を掴んでいた反乱軍。
ソウと面識があり、深い仲であるジンを利用して、
脱走兵の持っていたゲイレンのデス・スターに関するメッセージを入手し、
また同じく帝国に反攻しているソウと共闘せんと画策していた。
キャシアンによって反乱同盟軍の元へと連れて来られたジン。
同盟軍の幹部たちに説得されて、ソウに会うためキャシアンと共に、惑星ジェダへと向かう。
そこで、十数年ぶりに再会したソウに、父ゲイレンのホログラムメッセージを見せられる。
それはデス・スター内部に致命的な弱点を作っておいたこと、
それを記した設計図が、惑星スカリフに保管されていることを教えるものだった。
ソウのアジトに捕まっていた、帝国の脱走兵、ボーディーの情報から、
ゲイレンの居場所が惑星イードゥーであると知ったジンたち。
彼を保護すべく、急ぎイードゥーの帝国研究施設へと行く。
反乱軍の戦闘機部隊の攻撃により、ゲイレンは致命傷を負ってしまう。
十数年ぶりに再会したジンとゲイレンだったが、まもなくゲイレンは息を引き取る。
父と娘のつかの間の再会だった。
ゲイレンは死ぬ直前、娘への償いの言葉とともに、
デス・スターの設計図を入手し破壊するよう、希望を託す。
反乱軍の本拠に戻ったジン。
上層部の議論は、帝国への徹底抗戦か降伏かで真っ二つになっていた。
父の最期の言葉、自分に託された希望を達成するため、
デス・スターの設計図を奪取するためにジンは立ち上がる。
キャシアンはじめ、彼女の言葉に動かされた者たちが一緒に行動をおこす。
ある者はスパイとして、ある者は工作員として、
反乱軍のために、うす汚いこともしてきた、ならず者(ローグ)たちだ。
上層部の命令も許可もないまま、ジンたちはデス・スターの設計図奪取作戦を開始。
銀河の平和がかかった失敗は許されない作戦。
キャシアンの相棒ドロイド、K-2SOが97.6%生還不可能と割り出した。
それでも、この名もなき戦士たちは、希望を死なせないために、
決死の覚悟で帝国から奪った輸送船に乗り込んでゆく。
反乱軍の基地から離陸しようとする帝国輸送船。
そんな作戦も出撃も聞いていない管制塔から部隊名を問われる。
操縦していた帝国脱走兵のボーディーがとっさに答える。
「ローグ・ワン!」
こうして、デス・スターの設計図のある惑星スカリフのタワーへ、
帝国の輸送船で潜入していく、ローグ・ワンの戦士たち。
厳重な警備が敷かれているタワーに忍び込み、
データバンクにアクセスして、デス・スターの設計図を盗み出す―。
この困難な作戦を見事に果たし、未来に希望を繋ぐことができるか?
面白かった!
旧三部作のファンにとっては、たまらない内容。
逆に旧三部作のストーリーを熟知していないひとにとっては、つまらない作品だろう。
子どもには到底理解できないだろうし、観るひとが限定させられる作品でもある。
ジェダイが登場しないということで、地味になるかと思われたが、
これまでにないタイプの戦士も登場して新鮮だった。
何よりも、第一作のエピソードⅣへ直接繋がる内容。
エピソードⅣの冒頭シーンの10分前までが画かれているとあって、
ラストにはアンティリーズ艦長やレイア姫も登場!
もちろん、C-3POとR2-D2も登場!
公開前のチラシに、"エピソード3.9"などと書かれていたが、それが納得できる。
ジェダイは登場しないが、シス卿のダース・ベイダーは中盤から登場。
終盤は恐ろしい存在感で、反乱軍の艦隊に襲い来る。
これはエピソードⅣで、レイア姫の乗っていた艦(タンティヴィⅣ)を拿捕するシーンへと繋がっていく。
また、ターキン総督も不気味な存在感を放って登場。
エピソードⅢでもラストにチラっと登場したが、あのときはまだ若かった。
今作では、もうエピソードⅣのときの老けたターキン総督。
こけた頬も、寂しくなった頭もそのまんまだ。
帝国軍や反乱軍の兵士たちの、40年前のレトロなコスチュームが、
デザインあのままなのに、なぜか新鮮に見えてしまうから不思議。
ラストのレイア姫の、当時のメイクもそのままなのも、
オルデランでのメイクが、こんななんだと思っちゃえば問題ない。
アミダラ女王の、あの歌舞伎役者みたいなメイクも、
ナブーのメイクがああなんだと思えば、時代錯誤な感も消し飛ぶもの。
基地内部の計器類やコンソールなども、40年前のそれと同じになっている。
戦闘機の照準器やモニタも同様。
コスチュームと同じく、あえて現在の最先端のデザインにせずに、
時系列を尊重して、公開当時のそのままのデザインで再現するあたり、
スター・ウォーズシリーズの強い拘りが感じられる。
モン・モスマ,ベイル・オーガナ,ドドンナ将軍なども登場。
反乱軍の上層部にはそれ以外にも、名前は知らないが見たことあるようなキャラが並んでいた。
また主人公たちに因縁付けて絡んでくる、ポンダ・バーバとコーネリアス・エヴァサンの二人組。
この二人組、エピソードⅣでもルークたちに絡んで来るんだよな。
それでオビ・ワンにライトセーバーで腕を切り落とされるという。
二人してジェダからタトゥーインに移ってたってことか。
旧ファンには見どころがたくさんで楽しめること間違いなし。
ただ、旧作のストーリーを知っていれば、
ヒロインのジンはじめ、今回の主要キャラの末路が最初から判っている。
仲間が次々と倒れていく終盤、滅びの美学と言うべきか。
作戦をまっとうしつつ、彼らがどのような最期を迎えるのかも見どころでもある。
ローグ・ワンの戦士たちが命がけで奪い取った希望が、
幾人もの名もない反乱軍兵士の手を渡り、最後にレイア姫の手に渡る。
それが、二体のドロイドに託され、カプセルで惑星タトゥーインへと降下する。
フォースの導きか?
運命のいたずらか?
それが、新たなる希望、ルーク・スカイウォーカーへの元へとたどりつく。
壮大なスター・ウォーズサーガの幕開けへと繋がっていくのだ。
既に公開終了している劇場が多い。
旧三部作ファンならば観ておくべき作品。
エピソードⅣとの繋がりを探すのが楽しい。
にわかには到底オススメできない。
このローグ・ワンを楽しむには、とりあえずエピソードⅣ~Ⅵを数回鑑賞して、
しっかりと基礎知識を身に付けてからでないと無理だろう。
購入したタオル。
コメントありがとうございます。
ダース・ベイダー好きなのですね。
ラストの反乱軍の兵を蹴散らしながら、グングン迫ってくるのはしびれました。
ああ、これまさにⅣの冒頭シーンだなあと。
自分は今作のベイダー、Ⅲよりマッシブな感じがしておりました。
これはⅣ~Ⅵのベイダーがそうであって、このローグ・ワンのベイダーも、
それに準じたスタイルにしたのだと思っていましたが、
Ⅳのベイダーの方がスマートなんですね。
そこまで細かくチェックしておりませなんだ。
そちらの記事の方も拝見させていただきました。
自分なんか到底及びそうにないスター・ウォーズ愛を感じました!