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モヒカン故郷に帰る

2016-04-28 13:34:43 | 映画

先日の休みに映画を観てきた。

松田龍平主演のドラマ、"モヒカン故郷に帰る"だ。

監督は沖田修一氏。

本作の脚本も手がける。

キャッチコピーは、"バカヤロー!だけど、ありがとう"。

 

 

3月の頭くらいだったか、初めてこの映画の予告編を観る。

冒頭に移った、島々の光景を観て、「!」となる。

で、次々に背景に映る、港や町並の風景を観て、ますます「!!!」となる。

決定的になったのは、島の高台にある墓地の光景。

それに登場人物たちの台詞も・・広島弁!

間違いない・・・これ豊島だ。

いや、他のシーンも、大長やら蒲刈やらに違いない!!

先日、"第二のふるさと広島"で、記事にした、

自分が前に住んでいた、瀬戸内海に浮かぶ広島県の小さな島々だ。

 

 

さっそく劇場にあった、この映画のチラシを観ると、

瀬戸内海に浮かぶ架空の島、"戸鼻島(とびしま)"が物語の舞台となっていた。

ヘンな漢字当てられているけれど、下蒲刈島,上蒲刈島,豊島,大崎下島・・・。

まさに、"とびしま”って呼ばれている四島。

しかも、自分が睨んだとおり、この四島でオールロケが行われたという。

さらに島民の方々が多数エキストラで出演!

これは・・・ひょっとしたら知り合いが映るやもしれん!

公開されてすぐに観に行ったのは言うまでもない。

 

 

モヒカン頭の田村永吉(松田龍平)は、売れないバンドのボーカル。

同棲しているネイリストの由佳(前田敦子)のヒモ状態。

しかし由佳は妊娠していて、仕事も辞めてしまい、

いよいよ身を固めることになった永吉は、恋人の紹介と結婚報告のため、

故郷・広島の戸鼻島(とびしま)に、由佳を連れて7年振りに帰郷する。

 

矢沢永吉を崇拝する父、治(柄本明)と、

熱狂的カープファンの母、春子(もたいまさこ)。

それと、なぜか実家に出戻っていた、弟の浩二(千葉雄大)。

「なんであんたはいつも連絡せんとね!」

永吉の突然の帰宅に騒然となる。

  

 

かねてより険悪な仲だった、永吉と治。

永吉が30過ぎても未だ売れないバンド活動を続け、

定職に就いておらず、由佳のヒモ状態だったことに激高し、

妊娠した由佳の目の前で喧嘩が始まる。

慌てて止めに入る、春子と浩二。

だが、喧嘩のさなか、治は親戚や知り合いを電話で招集。

親子喧嘩から一変、飲めや踊れのどんちゃん騒ぎに-。

治はダメな息子でも、嫁さんを連れて帰って来たことが嬉しかったのだ。

 

 

しかし、治は体の不調を訴える。

うずくまっているところを永吉が発見し病院へ運ばれるが、

診断結果は、末期の肺がん。

あちこち転移しており、手の施しようがないという・・・。

せっかくめでたい報告と共に、久しぶりに帰郷した永吉。

春子も浩二も、そして新しく家族に加わる由佳も、ショックを受ける。

だが、それでもひとり、ひょうひょうとする永吉。

大嫌いだった親父が、がんに冒されて間もなく死ぬ。

頭の中でそれが整理できない。

「やっぱ、親って死ぬんだな。」

 

 

永吉なりに、最初で最後の親孝行を考える。

これまでずっと、親不孝ばかり。

残りわずかな時間、治の希望を叶えてやりたい。

病床にペンとメモパッドを置く。

「これにしたいこと書いてや。」

「会いたいひととか、食べたいものとか・・なんでもええけん。」

 

こうして、遅すぎるけれど、永吉なりに一生懸命な親孝行がはじまる。 

ぶつかってばかりだった親父、日に日に弱って死が迫ってくる。

とうとう、痴呆の症状も出てきたとき、永吉はたまらず涙する。

そして、最後の願いを叶えてやるべく、由佳の親族を島に呼び、

家族と病院の先生たちと、そして島の人々で盛大な計画を実行する--。

 

 

 

面白かった!

しかも、途中で号泣してしまった。

ストーリーはごく普通のありきたりな展開なんだけど、

そのなかに、ふだんの家族の笑える光景、泣ける光景、

誰もが経験する、親の死に直面する場面、

絶妙に緩急を効かせて、それが描かれていた。

柄本明ともたいまさこという、もう匠クラスの役者ふたりを並べて、

島の家族のドラマなんて描くのはある意味、反則だ。 

 

メインキャストはもちろんなのだが、取り囲む島の人々が濃い。

傍からみて、ガチガチになっているのが見てとれるからなおさら面白い。

これここの島に居たから判るんだけど、地元の人たち、もっとすごいからな。

破天荒だった治や、カープの試合観て発狂する春子とか、

パンチの効いたキャラが描かれているけれど、それでも薄いくらい。

本当の島のひとたち、あんなもんじゃあないぞ。

 

 

松田龍平は初めて観た。

大好きなhitomiが出演した、悪夢探偵や、

大泉洋とのダブルキャストで話題になった、探偵はBARに居る

面白そうだと思った、ジヌよさらば

それぞれ観たいと思ってけっきょく見逃していたので、

このモヒカン故郷に帰るが、初めて観た彼の主演作品になる。

この なんともいえない、ひょうひょうとした感じ、見た目とのギャップがいい。

たぶん何も考えていないんだろうな・・・そんな永吉のキャラがきちんと伝わってくる。

  

前田敦子、しばらく見なかったが、まだ女優さんやっていたのね。

何年か前に観た、もしドラ以来かな?

もたいまさことのシーンが多かったが、すごく良かった。

スマフォで動画を観ながら、必死にアジをさばくシーンや、

春子の爪を、カープカラーの真っ赤に塗ってあげるところなんか、ほのぼのとして好きだ。

プライベート含め、けっこう彼女の醜聞を目に耳にするし、

アンチが多いようで、いろいろと叩かれているけれど、

自分はこのキャラクター嫌いじゃないな。

特徴的なマスクも個性あっていいじゃないか。

AKBファンでないのでよく知らないけれど、今現役の子たちよりは好感が持てる。

というか、現役の子、誰ひとり名前を知らないや・・・。

名前を知っていた子たち、いつの間にかみんな辞めているという。

 

 

松田龍平と前田敦子。

このふたり、確か何年か前にもサスペンスか何かで共演してたよなあ?

映画のチラシのファイルを探っていたら、見つけた。

イニシエーション・ラブ

これだ、これだ・・・って、これは松田翔太だった・・・。

松田龍平の弟の方だった。

この兄弟、どっちがどっちだか判らんわ。

auのCMで桃太郎やっているのも、どっちだか判らなかった(弟だった)。

柄本明の息子二人は簡単に区別つくのになあ。

 

この映画、家族団欒を強調しているのか?

食事のシーンがやたら多い。

コンビニ弁当をむさぼる、永吉と由佳のシーンからはじまり、

漬け物や鮭フレークで、ひとり実家でごはんをもくもくと食べる浩二、

お茶受けに出された、特産品のはっさくをつまむ家族、

由佳がさばいて、ぐちゃぐちゃになった、アジの刺身をおそるおそるつまむ家族、

めんつゆで仕上げた田村家の筑前煮、ずらりと並んだピザをほおばる治。

いや、食事シーンは大好きだし、映画にはなくてはならないエッセンスだと思う。

名画はみな、食事シーンが丁寧に描かれているともいう。

皆、おいしそうに(由佳のアジ除く)良い音立てて食べてくれるもんだから、

朝食もとらずに昼前に鑑賞した自分はつらかった。

 

これ観ると、無性にピザが食べたくなる。

マルゲリータとかそういうのじゃなくて、単純にソーセージやサラミが乗ってるやつ。

それで、久しぶりに宅配ピザでも頼もうかと思ったら、

自分の住んでいるところ、宅配ピザの配達エリア外!

よくよく調べてみたら、隣町にストロベリーコーンズが一軒あるのみ。

ピザハットもドミノもシカゴもピザーラもない。

ええ!?

そこまで田舎やったんかい・・・。

 

鑑賞し終えて、ロケ地となったとびしまへ行きたくなった。

先日、運悪く、豊島と大崎下島に渡ることができずに、諦めて帰った。

映画を観て、ますます行きたくなった。

このタイミングで公開されたこの映画。

これは何かの思し召し。

これはまた近いうちに行かなきゃならない。

せっかく病気で長期休暇中。

この際、泊まりがけで行くのもアリかなあ。

  

 



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