冬から春にかけて、花壇や寄せ植えで小花を咲かせ、
他の花の引き立て役として大活躍する花、アリッサム“Lobularia maritima”。
花の色は数種類あるが、白がもっともスタンダード。
白い小花をびっしりと付けて、地面を這うように広がっていく。
まだまだ寂しい早春の花壇を明るくし、背の伸びる他の草花の引き立て役となる。
どの花とも相性悪くなく、その草丈の低さと表面を覆う性質から、
ポットやプランター、花壇など、ひとところに花を寄せ植えする場合、
前景として、また周囲を囲むものとして重宝される。
花がらをまめに摘み取り、切り戻しすることで、絶え間なく花を咲かせることができる。
和名は“ニワナズナ”。
アブラナ科の植物で、アリッサム属に属していたものが、
近年はそれから分離され、ロブラリア属(学名もそうなっている)へと変更になった。
だが、日本では“アリッサム”という呼び名が一般的になっており、
アリッサム属ではなくなったのだが、“アリッサム”と呼ばれ続けている。
ほのかに甘い芳香があるため、“スイート・アリッサム”とも呼ばれる。
園芸店などでは、スイート・アリッサムと表記していることが多い。
アブラナ科の植物らしく、花をよく観察してみると、
極々小さいが、その形、花姿は菜の花そのもの。
アリッサムの花のアップ。
菜の花そのもの。
色は先に述べたように、白が一般的で最も普及しているが、
水色,ピンク,黄色,紫,赤紫や、それらの濃淡色に、
パステルカラーのものなど、バリエーションは多い。
宿根タイプのものには、鮮やかな黄色のものがあり、それは本当に小さくした菜の花。
宿根アリッサム。
黄色で、ミニチュア菜の花のよう。
寒さには比較的強いアリッサムだが、暑さと蒸れにとても弱い。
福岡では5月くらいになると、暑さで株がへたってきて、
葉や茎が黄ばんできて元気がなくなる。
花茎が徒長して花付きも悪くなり、梅雨頃には完全に腐ってしまう。
寒い時期であっても蒸れに非常に弱く、
風通しの悪い場所で株に水気を含んだまま、ちょっとポカポカ陽気の日がくると、
密集した株の内側にカビが生え、ドロドロに腐ることがある。
寄せ植えした鉢植えなどを室内や軒下など風通しの悪い場所に置いてあるときは、
水のやり過ぎ、蒸れに注意しなくてはいけない。
また春になると、アブラムシにもやられやすい。
これもまたアブラナ科の植物の宿命。
こぼれ種で増えるのはあまり期待できないので、
毎年種を購入して蒔くか、ポット苗を購入して植える方が早い。
種の巻きどきは秋、ポット苗は12月頃から店に並ぶ。
冷涼地では、夏場を乗り越えることも可能で、
その際は秋から再び花を咲かせ始めるのだが、九州ではまず無理だろう。
一見地味に思える小花。
だが他の花の脇に添えるように植えると、
その花が一気に引き立ち、いっそう花壇が明るく華やかになる。
アリッサムはメインにはなれないけれど、
引き立て役として、とても重要な花なのだ。
アリッサム。
チューリップやパンジーの引き立て役になっている。
福岡県直方市 ふくち山麓はな公園にて。
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