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2006-08-04 金 ▽ポスト小泉の有力者安倍氏は改憲へ

2006-08-04 23:00:00 | 「たかお・サンパウロ」

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2006/08/04 1141号                    (転送紹介歓迎)
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▽ポスト小泉の有力者安倍氏は改憲へ
 靖国問題でも現首相の方向を踏襲

 9月の自民党総裁選を前に、ポスト小泉の主張が大きく紙面を飾るようになったが、
もっとも有力視されている安倍晋三官房長官の発言が気になり始めた。

 もともと安倍氏は小泉首相の方針を踏襲する発言が多かったが、ここに来て「改憲」
「靖国」への思い入れが強く出てきている。自民党は7月28日都内で安倍氏、谷垣
財務相、麻生外相3人の討論会を始めた。

 その中で、安倍氏は憲法改正について「しっかり議論をしていきたい」と表明し、
終了後は記者団に「まず、改憲を政治課題に挙げることが大事だ」と憲法改正実現へ
の強い意欲を鮮明にした。

 安倍氏は憲法のほか教育基本法改正案について「私たちの世代に課せられた大きな
宿題。日本の価値を世界に発信し、世界に貢献する日本をつくりたい」とも述べた。

 また、冷え込んだアジア外交、特に中韓との関係について、安倍氏は「靖国神社に
参拝するからといって、首脳会談をしない姿勢は決して良いわけではない。政治目的
を達成するために経済で嫌がらせをしないことが大切だ。心の問題だ」と、小泉外交
を擁護、同様な見解を示した。対米、対アジア外交のどちらかを重視するかとの問い
には「二者択一はない。ただ日米関係はほかで代替出来ない」と強調した。

 自民党総裁選は国民が投票するわけでもなく、蚊帳の外で見ているだけなのだが、
安倍氏の改憲への強い意欲、靖国神社参拝賛成の発言をみていると、今後、われわれ
はドンと腰を据えて闘っていかなければならないと感じさせられる。まず選挙で、与
党を敗退へ追い込むこと、その必要を強く感じる。あらゆる選挙で、1票1票を大事
に投票していきたい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


2006-08-03 木 らいおんはーとのメッセージ ● 戦没者の慰霊

2006-08-03 23:52:25 | 「たかお・サンパウロ」

小泉内閣メールマガジン 第245号 ========================== 2006/08/03

[らいおんはーと ~ 小泉総理のメッセージ]

● 戦没者の慰霊

 小泉純一郎です。

 長かった梅雨もようやく明けて、真夏の青空がひろがる季節になりました。

 私は、今年も、8月6日に広島の原爆死没者慰霊式・平和祈念式に、8月
9日には長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に参列します。

 私は、総理大臣に就任以来、毎年必ず、広島と長崎の式典に参列して、原
爆の悲劇を二度と繰り返してはならないという思いで、原爆の犠牲となった
方々に哀悼の意を表明してまいりました。

 そして、毎年6月23日には、衆議院予算委員会に出席のため行けなかっ
た平成15年を除いて沖縄を訪れ、沖縄全戦没者追悼式に参列してまいりま
した。

 戦後60年にあたる平成17年6月には、第二次世界大戦末期、日本側約
2万2000人、アメリカ側約6800人が戦死した硫黄島を訪れ、硫黄島
戦没者追悼式に出席し、あわせてアメリカ側戦死者のための「将兵の碑」に
献花し、激しい戦闘で亡くなった日本とアメリカの兵士たちを追悼しました。

 私は、平成13年の4月、総理大臣に就任したときの記者会見で、「戦後
日本が平和で発展していくために、一番大事なことは、あの第二次世界大戦
の反省をすることだと、その上に立ってこれからの日本が二度と戦争をして
はいけない、平和のうちにいかに国民の努力によって立派な国づくりに励む
ことができるか、このことはこれからの日本の方針としても、極めて重要で
あると思っています。」と述べました。

 日本は、戦後一度も戦争に参加せず、また巻き込まれることもなく、平和
を維持してきました。日本の今日の平和と繁栄は、戦争で命を落とした方々
の尊い犠牲の上に築かれています。私は、戦没者の方々に対して、敬意と感
謝の思いを込めて、哀悼の誠を捧げております。

 戦争で亡くなった方々を追悼するというのは、どこの国でも誰であっても、
自然なことだと思います。

 日本国憲法第19条では、「思想及び良心の自由は、これを侵してはなら
ない。」としています。戦争で亡くなった方々に対して、どのようなかたち
で哀悼の誠を捧げるのか、これは、個人の自由だと思います。

 私は、総理大臣就任以来、心ならずも戦争で命を落とさざるを得なかった
方々へ哀悼の誠を捧げるために、毎年一度靖国神社に参拝しています。

 これは、私の思いに基づくもので、私は、靖国神社の参拝を誰にも強制し
ていません。また強制されて参拝しているものでもありません。

 マスコミや有識者といわれる人々の中に、私の靖国参拝を批判している人
がいることは知っております。また、一部の国が私の靖国参拝を批判してい
ることも知っています。

 私を批判するマスコミや識者の人々の意見を突き詰めていくと、中国が反
対しているから靖国参拝はやめた方がいい、中国の嫌がることはしない方が
いいということになるように思えてなりません。

 そういうマスコミや識者の方々は、思想及び良心の自由をどう捉えている
のでしょうか。戦没者に対して、敬意と感謝の気持ちを表わすことはよいこ
となのでしょうか、悪いことなのでしょうか。

 私は、日中友好論者です。平成14年4月、中国のボアオで開かれた国際
会議でも、「中国の経済発展を『脅威』と見る向きがありますが、私はそう
は考えません。私は、むしろ、中国のダイナミックな経済発展が日本にとっ
ても『挑戦』、『好機』であると考えています。中国の経済成長に伴う市場
の拡大は、競争を刺激し、世界に大きな経済機会を与えることでしょう。」
と述べて、日本と中国の友好関係の一層の発展と、両国が交流によって繁栄
していくことを望んでいることを明らかにしました。

 現に、私が総理大臣に就任した平成13年以来、日本と中国の貿易額は、
2倍以上に増加し、いまや中国は、アメリカを抜いて、日本にとって最大の
貿易相手国になりました。日本と中国の間の人の行き来も、約1.5倍に増
えています。

 私は、いつでも中国の首脳と会う用意があります。ところが、中国は、平
成17年4月にインドネシアで胡錦濤主席と会談したのを最後に、私が靖国
神社に参拝するなら日中首脳会談を行わないと言っています。

 私は、こういう考え方は理解できません。もし、私が、ある国と私の考え
が違う、あるいは日本の考えと違うからといって首脳会談を行わないと言っ
たら、相手を批判しますか、それとも私を批判しますか。おそらく多くの国
民は私を批判するでしょう。

 二度と悲惨な戦争を起こしてはならない、そして、今日の日本の平和と繁
栄は、戦没者の方々の尊い犠牲の上に築かれている、この思いは、私の政治
家としての原点でもあります。私は、この思いを抱きつつ、今年も広島と長
崎の式典に参列し、そして8月15日の全国戦没者追悼式に参列します。

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2006-07-19 水 自民党総裁選挙の報道で・・・・・

2006-07-19 22:00:00 | 「たかお・サンパウロ」

 

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2006/07/19 1126号                    (転送紹介歓迎)
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□■06年自民党総裁選挙/その報道でメディア自らの存在意義を証明したい

 人物だから一党の総裁になるわけだはない。そんなテーゼが成立しようとしている。
 それでは何が、人が人を一党の総裁に押し立てるのだろうか。そんなことを考えさ
せらる時代に私たちは立っている。

 どこかの政党の総裁に立候補をする。それは大切なことだ。人間には「おれが、お
れが」という習性のほかに、「いえいえ自分など」と謙遜したり、最初から自分は総
裁になるために政治家になろうと思ったわけではないとの自覚を強めるスタイルも存
在する。

 どれが正しいということはいえない。人それぞれだからだ。大切なのは自己認識と
いうやつだろう。政党の怖いところは、政治家としての判断のまえに、政党人として
政党の内部の論理、内部の順繰り、内部の力関係、人間関係などによって、自分自身
を喪失させてしまう可能性だ。

 日本の政党政治は新聞というメディアと不可分の関係をもって誕生し、推移してき
た。その発展過程は、富国強兵、海外列強に追いつけ、負けるなという嵐のような西
洋化の渦に乗って、古い殻を破っては、新しい殻をまとい、それを壊しては―などと
日本政治の歴史は、上昇気流に乗ったつもりでいて、現実の重さに足をとられていく。

 大新聞と呼ばれた政論新聞は優れた政治家を輩出する土壌となったが、政治家と言
論人との区別をつけられない時代の脆さによって、読者との結びつきを維持できずに
弱体化していった。かわって小新聞と称された日常生活新聞が台頭したが、鋭い政治
批判も兼ね備えながら、これにも政治家臭を残し、さらに藩閥の生存競争とお上の体
質を依然引きずっていたから、新聞人は弾圧され、言論は政治の道具と化し、やがて
海外列強との力比べに突進したり、歓喜する時代へと突入していく。

 江戸幕府の時代を終焉に導いたエネルギーは、地域を支配する体制を変え、再編し
なければ黒船にやられるという危機感が生み出したといえるのかもしれないが、危機
感や改革精神は、日常と行き来するなかで、その目指す方向を見失う。それは偉大で
あるかそうでないかは関係なく、人間の「個」としての限界を政治家も、また民衆も
意識から外し、熱狂を求める習性、いや向上し、強くなるための必要性やそれを支え
ようとするサービス精神や同調傾向から、短絡的・短期的で、それはこらえ性のない、
同調性を前提とした甘えたビジョン不在の政治を生み出すに至った。

 いま敗戦後に築かれ、民衆の生活基盤となって経済社会の成長を支えてきた日本国
憲法が蹂躙されようとしている。軽く見られようとしている。それも与党を長く続け
てきた自民党によって、である。

 戦争~敗戦というショッキングな事態で目覚めた民衆は、戦争を放棄し、交戦権を
認めない日本国憲法を歓迎した。たたかうなら人の殺し合いではなく、生活向上のた
め、文化の向上のため、個々の人間としての力を伸ばすためにたたかおう、その決意
が、戦後の日本の経済成長の原動力となった。

 その後のオイルショック、ドルショックを耐えて、日本は世界を先駆ける独自の企
業価値、文化価値を築き上げ、低成長時代を乗り切る。公害対策技術はじめ、この時
代に積み上げられた資産は、今後の日本の成長を下支えするほど世界にとって貴重な
ものである。それは技術ばかりではない。その技術を生み出し発展させ、有効性を証
明していく基盤としての、力強い庶民感情が存在した。それは日本の技術を、単なる
利便性、効率性だけを追い求めるものとは一味も二味も異なるものづくりの文化の土
台となった。

 しかし、バブル経済崩壊とその後の経済社会としての成長スピードの鈍化は、そう
した価値ある文化国家としての日本に対して、疑念と自信喪失を蔓延させることにな
る。ことに、高効率の生産性の維持を実現してきたと自負していた人々、地位に位置
する人々にとって、スローダウンは自らの限界を反省させるのではなく、時代に対応
した発想の転換へと向かわせるのでもなく、自己正当化と、民衆への犠牲の押し付け、
つまり他者への責任転嫁へと支配層にしがみつきたい人々を走らせた。

 その過程で労組を弱体化させ、中小企業を分断し、大企業を再編の波へと誘い、
日本の構造改革と称しながら、「高度」な情報化社会へと流れついたのである。
そして自民党は変わった。ノアの箱舟でもあるかのように、そこへの乗船権をめぐっ
て競い合うようになった。平然と同志を蹴落とし、選別し、もの言えぬ権力集中型の
機構を内部に打ち立てた。

 ドッグイヤーと呼ばれるほど、変革のスピードが速まっている時代のなかで、意思
決定に時間のかかる「民主主義」を実質的に放擲し、日本の法体系とは異質の個人商
店型の思いつき政治、こらえ性のない短絡政治、それも、自民党という既存の枠のな
かでしか生息したことのない、まったく「起業」とも「生産」とも「創造」とも無縁
の養殖政治家たちが、肥大化した官僚組織をバックに、確たる信念も哲学も時代認識
も保持しないまま、選挙民の人気を維持するための手練手管にエネルギーを注ぎ込ん
で、その立場の維持存続だけに汲々としている。

 平和主義と民主政治を実行する自信がないのである。責任をもった政治を確約する
根拠をもたないのである。その人たちは、たとえば中国との関係について「政経分離」
を主張するなど、日本の独自性発揮の方法について明白に誤った旗を振っている。い
ったいどんな幼少期を過ごしたのだろうかと疑いたくなるほど、黄色の帽子や水色の
服、肩掛カバンがいまでも似合いそうな人々が顔をそろえている。

 そして民衆に向かっていうのだ。
「教育制度を変えろ」
「戦争する権利を認めろ」
 しめくくりは、
「わたしは常にたたかう政治家でありたい」
 などどつけ加えてみせるのだ。

 たたかう政治家である前に、自分自身とたたかったことがあるのだろうか。
 何とたたかうべきか、それを認識できないものに、現代の政治などできるはずもな
い。米国のネオコンの論理をつまみぐいして、民主主義とかけ離れた自らの理想とや
らまぶしただけのものを理念か信念でもあるかのように自らを錯覚させ、隣国との戦
争を許容する憲法につくりかえ、国民に承諾してもらいたいなどといっている暇があ
るならば、まず自身のかけらももてないでいる自分自身を厳しくブラッシュアップす
ることのほうが先ではないだろうか。

 政治家にも創造性が期待される時代である。破壊ではない。行き詰まると戦争に走
る国や集団を、米国はとことん最後まで利用しつくす。その意味ではまず、米国との
付き合い方から学ばなければならないだろう。

 そうした政治家が出てくるなかで、メディアはどこまで歩みを進めただろうか。そ
れが問われているように思う。果たすべき役割を、自分のものとしているメディア人
をどれだけ発掘し、育成してきたか。ジャーナリズムを衰退させたのか、発展させた
のか、メディア企業の経営人には、民主主義の番人としての社会的責任が問われよう
としている。

2006年7月19日(水)

 首相の靖国神社参拝の正当性を訴え、対中国関係は「政経分離の原則」を主張し、
教育改革や集団的自衛権の行使を主張する総裁候補がいるとの記事を読んで――。


共同通信 政経分離の対中関係提唱 安倍氏、政権構想を出版
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060718-00000202-kyodo-pol

 


2006-07-17 「北朝鮮ミサイル発射」問題への日本の対応は これでよいのか

2006-07-17 00:52:15 | 「たかお・サンパウロ」

国連安保理の対北朝鮮決議をめぐる日本政府の動き、
日本のマスメディア(TVはNHKだけしか見られませんが)の報道ぶりは、
冷静さを欠いた過剰反応と思えるのですが、日本国内に住む日本人がどの
ように考え、あるいは感じているのかということが気懸かりです。
まもなく61年目の「
熱い」8月、そして9月に自民党総裁選。
そして来年は参院議員選。どんな経過をたどるのか目が離せません。

以下、「たかお・サンパウロ」リンク・お気に入り で紹介している
「日々通信」の最新号を転載します。

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        >>日々通信 いまを生きる 第216号 2006年7月17日<<
         伊豆利彦 
http://homepage2.nifty.com/tizu

        日本は好戦国か

        朝鮮(北)のミサイル発射に対して、日本はただちに国連安保理事会に
        アメリカなどを共同提案者として制裁決議案を上程した。

        中国は強くこれに反対し、朝鮮(北)説得のために最大の努力をした。
        アメリカは制裁決議をいそぐ日本をおさえ、中国の努力の結果をまった。
        朝鮮は中国の説得に応じず、中国の努力は失敗した。
        日本は制裁に固執する非難決議案を作製したが、これにも中国が平和的
        解決の道を閉ざすとしてつよく反対し、ロシアがこれに同調した。

        最初、日本の共同提案者になった英仏が制裁条項を削除すべきだと主張
        し、米国もこれに同調して日本をおさえ、制裁条項を削除した非難決議
        を全会一致で可決した。

        この間日本ではいまにも朝鮮がミサイルを撃ちこむかのような雰囲気が
        つくられ、「敵基地攻撃論」や迎撃ミサイル整備論などがが閣僚から発
        言された。このような日本政府の動向は、平和的解決を求める諸国の方
        針とかけ離れて異常だった。マスメディアはこの政府見解を正当化する
        情報を氾濫させ、国民世論を煽動したが、なぜ、日本はそれほど朝鮮制
        裁に固執したのだろうか。

        制裁にふみきれば、どのような事態が生ずるかを十分検討したのか疑わ
        しい。日本の好戦的態度が、中国、ロシア、韓国の平和を求める態度と
        対照的に際立って残念だ。

        元来、朝鮮も対米、対日国交回復と経済援助をつよく求め、1994年10月
        に米朝合意が成立し、2002年9月には日朝平壌宣言が結ばれた。しかし、
        ブッシュ政権の「悪の枢軸」論により、米朝関係は敵対的になり、KE
        DOによる重油の供給や軽水炉建設が廃止された。日朝関係も拉致問題
        を理由として、日本の敵対的態度がつよまり、朝鮮制裁論が横行するよ
        うになった。

        朝鮮(北)は中国や韓国の支援を受け、改革開放路線への転換を図り、
        対米、対日国交回復を強く求めたが、一方で、対米、対日不信も根強く、
        核兵器やミサイルの開発をつづけた。

        6カ国協議はこのような状況を打開し、朝鮮半島の平和の維持と、東北
        アジアの安定を目的として、中国を主宰者として開かれ、2005年9月に
        は6カ国協議共同声明が発表された。

        しかし、米朝間の確執は深刻で、両国の関係が改善されなければ協議の
        持続も困難になった。朝鮮(北)のミサイル実験にこのような行き詰ま
        りの打開を求める意図があったことは否定出来ない。

        この実験を契機に日本は安保理に制裁決議を求めたが、結局非難決議に
        とどまった。朝鮮(北)はこの決議につよく反対したが、今後はこの決
        議にもとづいて、さらに中ロ、韓国の努力によって事態の平和的解決を
        めざすことになる。

        元来なら、平和主義の日本が先頭に立って平和的解決に努力するはずだ
        が、いまの日本は対決姿勢をつよめて、その役割を果たし得ない。平和
        解決のために尽力する中国を敵視する動向さえ見受けられる。

        この事件を通して、アメリカも平和的解決を求めており、強硬な制裁論
        は日本だけということが明らかになった。アメリカと中国の関係は、さ
        まざまな問題を内包するにせよ、ますます強まり、中国、韓国、朝鮮
        (北)との対立を強める日本は、アメリカから適当に利用されて、いよ
        いよとなれば見捨てられることになるだろう。

        <狡兎死して走狗煮らる>という言葉がますますつよく思われる。
        日本はいたずらな対米追従から、真に日本の前途を見通した方針を立て
        るべき時だと思う。

        平和憲法をあらためて確認し、平和主義にもとづく対アジア政策を確立
        すべき時だと思う。

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2006-07-15 米軍再編ロードマップ (マスメディアの姿勢は?)

2006-07-16 02:39:37 | 「たかお・サンパウロ」

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   以下、[JCJふらっしゅ]1123号 の一部を転載します。
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□■額賀長官クウェートへ その動きから垣間見える「米軍再編近未来予想図」

 15日午後、額賀福志郎防衛庁長官が、イラク南部サマワから撤収を始めた陸上自
衛隊部隊をクウェートで出迎えようと、クウェートに向け成田発のブリティッシュ・
エアウェイズ機で出発する。さらに活動を継続する航空自衛隊要員の激励も目的に入
っているようだ(→東京新聞)。

 イラクから撤収する陸自、また仕事を継続する空自とも、日本政府にとってはいわ
ば「無傷」。ブッシュ政権の泥沼のイラク政策が米国内でこれだけ批判を食らっても、
同調した日本政府は反省の弁を一言も述べていない。

 着々とプログラムに沿って進む米軍再編の動き、北朝鮮のミサイル発射をきっかけ
に過剰に勢いづく閣僚。どうみても、自民党政権は次のステップに向けてまっしぐら
に突進中だ。自衛隊のイラク派遣の「成功」は、米軍と自衛隊の「融合」と「一体化」
を進める基礎となり、次のターゲット、米日主導の国際社会「新時代」へと向けた次
なる実行計画へと歩みを進めようとしている。

 首相の中東めぐりとサンクトペテルベルグサミットに至る日程と、サミットまでに
国連安保理における北朝鮮の「脅威認定」の計画は、東北アジアにおける「有事勃発」
の事態を引き起こすための米日合作のシナリオだろう。

 東北アジアでの「有事」想定は、米国にとって想定は不可避に襲い掛かってくるも
のではなく、それを掘り起こし、現実化し、政権にとって有利に解決することを意味
する。日本の小泉政権は米国のそのシナリオに乗っかっており、その路線を次の政権
以降も継続させようとしている。

 つまり東北アジアにおける「有事解決」のシナリオは、米日共同で手がけ、米国が
かかえる対北朝鮮問題というお荷物を連携して終結させようとするものだろう。国連
安保理において、何としても北朝鮮を国際的な脅威として認定させ、国連憲章第7章
に基づく制裁条項を盛り込もうとする日本政府の過剰な姿勢は、その後にひかえる「
制裁行動」を正当化するための重要なステップだからだ。イラク型ではなく、なんと
かアフガン型に持ち込みたいということだろう。

 日本のマスメディアは、安保理報道はまるでワールドシリーズでもあるかのように、
日米対ロ中の対決の視点から報じている。メディアとして国際性を欠いているだけで
なく、無批判に日本政府・外務省の姿勢を受け入れ、制裁に慎重なロ中の姿勢を対抗
勢力とみなす姿勢をとっているところが多くみらる。そのような記事は、取材源(=
この場合、主に日本の外務省か政府閣僚)にもたれかかって記事を書く体質のためか、
あるいはもともと日本のメディアはまだ「鎖国」的な体質を脱皮できないでいるため
か―。


 まるで、中ロは北朝鮮と切っても切れない縁(かつての東側)があり、向こう側の
仲間だから米日の制裁決議案に反対しているという立場をとるうことが、日本のメデ
ィアの役割でもあるといわんばかりの報道には驚かされっぱなしだ。

 これでは、北朝鮮のミサイル発射実験に対して日本の市民はどのように考えればよ
いのか、判断を下すための材料が少なすぎる。日本のメディアは、意識の有無にかか
わらず、「寄らしむべし、知らしむべからず」の片棒をかついでいることになる。そ
れではいったい何のためのメディアかわからないではないか。

 メディア自身が政府に「寄らしむべし、知らしむべからず」(孔子の日本流解釈)
と情報をもったいつけて小出しされたり、会社ごとに分断されてコントロールされて
いる。そのメディアが情報を取るために政府に寄りかかり、政府御用達の政治報道を
垂れ流している。あるいは何事もおきていないかのように、大事な報道は自己規制す
る。

 それは積もり積もってメディアのジャーナリズム性を麻痺させ、必要なときに必要
なことを伝え、語るジャーナリストの首を絞めてしまかねない。物言うジャーナリス
トの圧殺は、言論表現の自由を圧殺する。日本は、その危機感の片鱗さえ伝わらない
社会になろうとしていないだろうか。


■安保理攻防戦は、米軍再編ロードマップに沿った動き


 安保理における攻防戦は、9・11以降、米国がアフガンに侵攻したときのように、
できるかぎりの国際的な認知をとりつけ、イラクのように最後まで正当性を合意をと
りつけ、地球上唯一の強者としての米国の地位を脅かす東アジアの成長、ロシア、中
国、韓国、日本、モンゴルをつなぐパイプライン建設など、重要な日程と具体的な動
きをコントロールしようとする動きに直結している。

 北朝鮮のミサイル発射問題の責任が、まるで中国にあるかのような対立の構図とし
て報道される。そこからも日本政府が、米国の尻馬に乗って東アジアでの覇権を確立
しようと、列島全体を米軍の先端基地と化して無謀な試みに乗り出そうとしているこ
とが仄見えてくる。自衛隊との融合を基軸とし、列島の戦略基地化を促進する米軍再
編のプランは、コントロールし支配すべき相手として中国を念頭においているのだ。

 共同通信によると、日米両政府は13日までに、米軍の最新鋭の地対空誘導弾パト
リオット(PAC3)を年内に米軍嘉手納基地(沖縄県)と嘉手納弾薬庫地区(同)
に配備する方針を固めたという。発射台は24基を予定しており、これに伴って約6
00人の米兵が新たに沖縄県内に駐留するのだという。

 5月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)でまとめられた在日米軍再編最終報
告(再編実施のための日米のロードマップ)は、「米軍のパトリオットPAC3能力
が、日本における既存の米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能
となる」と明記している(下にURL記載)。

 PAC3の在日米軍基地への配備は初めてで、防衛施設庁の北原巌男長官が20日
に沖縄県入りし、稲嶺恵一県知事や関係自治体に説明するという。

 額賀長官は、8日午前の民放テレビ番組で、「北朝鮮当局は今後も軍事訓練を行う
と明言しており、いずれやることになると受け取らざるを得ない」(同)と強調し、
弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)や海上配備型迎撃ミ
サイル(SM3)の配備について「できるだけ前倒しして整備する」(同)と表明し
ている。

 何のことはない、米軍再編実施のロードマップどおりの、シナリオに沿った動きな
のである。このシナリオどおりに北朝鮮はミサイル発射実験を実行した。何らかの謀
略、陽動作戦にはめられたのか、あるいは何らかの事情があって、自ら米日の「憎ま
れ役」を買って出てみせているのか。

 それは現段階では不明だが、北朝鮮は中国やロシアとの関係においても微妙な空気
(中ロを当てにしない)を漂わせている。中国やロシアがひた走る経済成長路線が気
に入らないのか、米ブッシュ政権の2国間対話拒否路線の手詰まり感への嘲笑なのか。

 はたまたビンラディンのように、米政権にとって必要な時期を過ぎたら自分だけは
「放免」されることでも約して、米国の戦争(日本はすでに米軍再編の名で組み込ま
れている)の敵役でもすでに了解しているのだろうか。


■米日合体軍の稼動を背景に、対中ロ牽制シフト


――航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊は、2010年度に横田飛行場に移転す
る。…横田飛行場の共同統合運用調整所は、防空及びミサイル防衛に関する調整を併
置して行う機能を含む。日本国政府及び米国政府は、自らが必要とする装備やシステ
ムにつきそれぞれ資金負担するとともに、双方は、共用する装備やシステムの適切な
資金負担について調整する。

 双方が追加的な能力を展開し、それぞれの弾道ミサイル防衛能力を向上させること
に応じて、緊密な連携が継続される。…

――新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの最適な展開地として航空自衛隊車力
分屯基地(*青森県 つがる市)が選定された。レーダーが運用可能となる2006年
夏までに、必要な措置や米側の資金負担による施設改修が行われる。

 米国政府は、Xバンド・レーダーのデータを日本国政府と共有する。米軍のパトリオ
ットPAC-3能力が、日本における既存の米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時
期に運用可能となる。…

(06年5月1日「再編実施のための日米のロードマップ」より抜粋、*印は筆者付
加)

 東京都府中市の航空総隊司令部を2010年に横田基地に移転、米第5空軍司令部
と「共同統合運用調整所」を設け、米国と日本で防空や、弾道ミサイルを迎撃するミ
サイル防衛(MD)関連の情報を共有する。(→産経新聞)

 また、航空総隊司令部は、自衛隊の「統合任務部隊」も指揮する。自衛隊と米軍の
レーダー情報を集約したうえで、弾道ミサイルを迎撃する空自の地対空ミサイル、パ
トリオット(PAC3)と、海上自衛隊イージス艦のスタンダードミサイル(SM3)
を統合運用する。

 レーダー情報は青森の航空自衛隊車力分屯基地に設置された米軍のXバンド・レーダ
ー・システムのデータ。米日で共有――。

 米軍再編で、航空自衛隊の位置付けが飛躍的に高められていることがわかる。空自
の地対空ミサイル、パトリオット(PAC3)と、海上自衛隊イージス艦のスタンダ
ードミサイル(SM3)を統合運用するのは、航空総隊司令部となる。

 額賀長官のクウェート出発の目的に、まだ撤退しない航空自衛隊要員の激励が含ま
れているのもうなずけるではないか。米軍再編の目的は、米軍の効率的展開にある。
それは自衛隊による米軍の役務の肩代わり、米軍の指揮下での自衛隊の実戦配備を意
味している。明白な憲法違反である。

 戦闘行為に従事せず、監視体制に留まる状態は「違憲」ではなく、「違憲」状態に
突入するときには、もはや世論は「戦争反対」とはいえない状態に陥っているという
構図である。今回の北朝鮮ミサイル発射への警戒態勢~発射報道~米国との連携~国
連安保理での過剰な対中ロシフトと強硬制裁論は、単なる外交政策ではなく、米日合
体軍の稼動を背景とした米日政府共同実験といえる。

 日本のマスメディアは見事に、その片側からの報道に偏した。アジアを平和に導く
視点を失い、「日米軍」が安保理で中ロと「たたかう」さま、その動向を描き出す道
具へと陥っているように思う。その狭くこりかたまった報道から抜け出す手立てはな
いのか。それを大急ぎで市民とジャーナリストが連携して見出していかねばならない。

 このままでは、日本も韓国も、米国の掌の上で踊らされることになる。それがまた
米国の支配力を強化する。韓国とのぎくしゃくは、愚かにも、そのまま米国に対する
忠誠度の競い合いへとスライドすることにもなりかねない。



東京新聞 額賀氏、クウェートへ出発へ 撤収の陸自出迎え
防衛庁 再編実施のための日米のロードマップ
共同通信 PAC3嘉手納に配備へ 日米方針、発射台は24基
共同通信 額賀氏、再発射を警戒 迎撃態勢の整備強調
産経新聞 空自改編案 総隊司令部を強化 MD統括、24時間体制

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【関連】
田中宇の国際ニュース解説

北朝鮮ミサイル危機と日本

 【2006年7月11日】 日本は、日米同盟の強化を願って、北朝鮮に対する強硬姿勢をとっているが、この姿勢を利用してアメリカは、日本の願いとは逆に、中国中心のアジア諸国に、アメリカから自立した新体制を作らせようとしている。北朝鮮に対する中国の外交努力が成功したら、朝鮮半島は中国と韓国、ロシア、北朝鮮という当事者間の話し合いで動くようになる。アメリカは、東アジアおける覇権の多極化を容認する度合いを強める。日米同盟強化を目的とした日本の強硬姿勢は、結果的に、日米同盟の空洞化を進めかねない。

北朝鮮ミサイル危機で見えたもの
 【2006年7月7日】 ブッシュ政権が、イラクやイランに対しては好戦的な方針なのに、北朝鮮に対してだけは「脅威ではない」と言うのは、そうしないと中国が6カ国協議の主導役を務めてくれなくなるからである。中国は、アメリカに敵視されることを恐れている。中国を警戒させないためには、ブッシュ政権は、緊張が高まるごとに「北朝鮮を攻撃しない」と言い続ける必要がある。中国は、アメリカとの敵対は避けたいが、アジアでの覇権国にはなりたいと考えている。ブッシュ政権は、この中国の野心を利用して、北朝鮮問題の解決を中国にやらせている。

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2006-07-12 北朝鮮問題/米中連携で主導へ

2006-07-12 10:40:50 | 「たかお・サンパウロ」

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2006/07/12 1120号                    (転送紹介歓迎)
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   以下、[JCJふらっしゅ]1120号 の一部を転載します。

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■北朝鮮問題/米中連携で主導へ ブッシュ政権、国際協調路線へ

 北朝鮮ミサイル無通告訓練問題は、中国と米国の主導で着地点を模索する段階に入
っている。中国は、副主席、外務次官が訪朝しており、また胡錦濤・国家主席がミサ
イル発射の停止や、6か国協議の早期再開に応じるよう説得に乗り出した。

 読売新聞はきょうの朝刊一面で、「中国主席が北に異例の説得、ミサイル発射停止
求める」を報じた。また、「核平和利用を米露で推進、サミットで議題に…米大統領」
もあわせて一面で報じ、米ブッシュ政権の明確な「路線変更」を伝えている。

 前日の紙面まで日本の強硬姿勢を全面に押し立てる役割を果たしてきた同紙だが、
10日のブッシュ大統領との会見で、北朝鮮のミサイル発射問題を契機に、米国は政
権の支持率回復の狙いも含めて、東アジア政策の転換を打つことを感じとったものと
思われる。

 米国のクリストファー・ヒル国務次官補が11日、中国側との再協議のため北京入
りした。読売新聞はこの動きについて、「国連安全保障理事会での対北朝鮮制裁決議
案をめぐる外交工作は、15日からの主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミ
ット)をにらんで大きな山場を迎えた。<中略>ヒル次官補は11日、北京で報道陣
に、中国の外交努力に関し、『決定的な時期を迎えている』と語った。ヒル次官補は
同日夜、中国外務省の首脳と会い、中朝間の協議の進展状況をただした模様だ」と伝
えた。

 北朝鮮ミサイル発射への対応は、国連安保理から米中を軸とする6カ国協議の場へ
と主要舞台を移し、米ブッシュ政権は「悪の枢軸」とする国の一つ、北朝鮮との関係
を多国間協調路線を前面に押し出すなかで解決をはかっていく姿勢を打ち出したわけ
だ。

◆日本の「過剰」反応に対する反発のなか、米ブッシュ政権路線転換

 「危機をチャンスに変える」という意味では、日本の安倍、麻生、額賀三氏がここ
ぞとばかりに「敵基地攻撃能力」保有論を打ち出し、中国、韓国、ロシアと亀裂を深
めたのに対し、安倍氏らが「米国とともに」進めていくと強調していた強硬路線は、
あっけなくその米国によって第二次策として後ろに追いやられた。取りまとめの主導
役は中国と米国に移ったのである。

 安倍、麻生、額賀三氏の「敵基地攻撃能力」保有論への反発は、東アジアだけでな
く、米国にも「先制攻撃論」として広がった。これはブッシュ政権にとって、願って
もない汚名挽回、支持率回復のチャンスと映ったとしてもおかしくない。きっかけさ
えあれば、日本は過剰に好戦的な態度をとるが、米政権はそういうことではない。
ちゃんと大人として、問題を解決する能力を有しているのだ、というわけである。

 日本の対北朝鮮の硬直した幼稚な態度と比較して、米国のイラク戦争はどうだった
か、考えてみてほしい。9・11と比べて、今回の北朝鮮のミサイル発射は、日本の
先制攻撃論者たちがいうほどひどい脅威だろうか――米国が中国と連携して発し始め
たメッセージにはそうした意味がこめられていると判断していいだろう。

 ここぞチャンスとばかりに、米軍再編ともからめて勢いづいたその結果が、これで
ある。 発射確認以降の日本政府や閣僚などの動きは、実に幼稚で、米国との連携を
笠に着て「制裁決議案」の採択を安保理でごり押しするような勢いのよさをみせて中
国との対立を演じて見せた。日本のメディアの多くもそれに引きずられた報道となっ
た。

 さらには安倍官房長官、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官は、勢いづいて「敵基地攻
撃」能力の保有について検討すべきだとの考えを表明、日本の国際感覚のなさをもの
の見事にさらけだした。実は裏では、中国の北朝鮮説得工作と声明案を受け入れるよ
う米国に説得されていた。

 国際舞台における北朝鮮外交の「一番の当事者」を演じるなかで、調子に乗りすぎ
て自らを見失い、米国に頭をなでられて、しぶしぶ「中国の説得など無視して安保理
決議を」と求める過剰な強硬姿勢を納めるに至った。まったく恥ずかしく、お寒い限
りである。

◆問われる日本の外交センス、国際感覚

 米国は日本の強硬派をまるで保護者のようにかばいながら、安保理という国際舞台
で中国の提案を受け入れさせた。そしてブッシュ政権は、6カ国協議の枠組を重視す
る方針を打ち出すことで、クリントン政権時代の北朝鮮との二国間対話路線をも批判
する一口を見出したのである。

 日本政府は見事に、東アジア諸国からの反発を喰らい、孤立した状態だ。その上、
その状況に追い込んだ米国だけを、同盟国としてあてにし続けねばならない。経済や
文化では国際的な成長を遂げながら、政治のレベルが低すぎるのである。

 メディアはどうであろうか。読売新聞や産経新聞だけでなく、北朝鮮への抗議の姿
勢に自らの足をとられ、国内世論を慮るあまり、東アジアの軸たるジャーナリズムと
しての力を発揮し得なかったのではないだろうか。

 国連安保理も、中国の議長声明案(北朝鮮のミサイル、大量破壊兵器開発計画に関
連する物資、技術の移転阻止を加盟国に呼びかけ、北朝鮮に6カ国協議への即時復帰
を求める内容)を軸に取りまとめる方向だ。

 ただ北朝鮮は、米国の金融制裁を解くのが先と言い出す可能性も高い。それに米国
はどう対応するのか、国際社会としてどうしていくかに、焦点は移っていくことにな
るだろう。

 「一番の当事者」を演じていたはずだったが、振り上げたこぶしのやり場を失った
日本政府は、北朝鮮の再度の暴発を心待ちにするようになるのかもしれない。だが、
そのような発想は止めておいたほうが良いだろう。リーダーを自認する(したい)者
にとって大事なことは、は問題を引き起こしたり煽ったりすることではなく、問題を
解決することにあるからだ。

◆安倍、麻生、額賀三氏「敵基地攻撃」能力の保有論に対する、各紙社説の反論

 「敵基地攻撃」能力の保有をと、突然言い始めた安倍、麻生、額賀氏らは、小泉首
相はじめ与野党から慎重姿勢を求められるありさまだった。

 首相の発言については昨日の号で紹介したとおりだが、民主党の小沢代表は、「日
本に対して撃てば自衛権の発動だが、攻撃もしていないのにできない」(毎日新聞)、
共産党の市田書記局長は「際限のない軍拡競争になりかねない。これは一種の先制攻
撃論であり、私たちはそういう考えにくみしない。あくまで外交的な努力によって問
題を解決すべきだ」と批判、「この問題を奇貨として、日本の軍事力を増強しようと
いう動きは正しくない」と述べている。

 だが、安倍、麻生、額賀氏らの「敵基地攻撃」能力の保有論を、11日付で読売新
聞、産経新聞が社説で後押しした。読売新聞の社説のタイトルは[敵基地攻撃能力]
「脅威を直視した論議が必要だ」、産経新聞の主張のタイトルは、<防衛庁長官発言
 「攻撃力」の是非の論議を>だった。

 この両紙社説の無責任な書き飛ばしは、商売上必要不可欠の体質になっているのだ
ろう。しかし、それを批判的に読む眼を養い、煽られたり毒されたりしない免疫を育
て上げることが大切である。

 その能力は、両紙に限らずメディア全般に対する批判能力、メディアを読み解く能
力、メディアの裏側・構造を見抜く社会を形成していく力として、私たちの社会に蓄
積していく必要がある。

 安倍、麻生、額賀三氏の「敵基地攻撃能力」保有論については、韓国の有力各紙も
11日の社説で取り上げ、厳しく批判している。朝鮮日報「国家としての良心を失っ
た日本の先制攻撃論 」、中央日報「ミサイル、日本過剰反応も問題」、ハンギョレ「
歴史意識まひした日本の危ない先制攻撃論」など、だった。

 読売、産経以外の日本の主要新聞は、12日付の社説で「専守防衛」に徹する姿勢
から、この問題を取り上げた。

 朝日新聞「先制攻撃論 短兵急に反応するな」、毎日新聞「敵地攻撃論 冷静かつ
丁寧な論議が必要だ」、東京新聞「敵基地攻撃論 専守防衛の信を損なう」、琉球新
報「基地攻撃・「専守防衛」との整合性は」、沖縄タイムス  「敵基地攻撃能力 攻
める自衛隊にするのか」などである。

 今回は各紙が張った論陣を細かく紹介する余裕はないが、いずれも重要な指摘、頼
もしい提起である。下記URLを追って一読されたい。

 日本政府は、そして日本のメディアは、今回のような出来事に直面していかなる姿
勢を貫くべきなのだろうか。そのヒントが、6月17日、「ノーベル平和賞受賞者に
よる光州サミット」が採択した共同宣言に盛り込まれているように思う。

 共同宣言は北朝鮮の核問題解決に向けて、(1)米国は6カ国協議を重視し、(2)北朝鮮に対する金融制裁を解除し、(3)韓国と北朝鮮の平和的統一に向けて日本など周辺国に積極的な役割を果たすよう求め、(4)アジアをはじめ世界各地での人権抑圧に対する取り組みの必要性を強調している。(→共同通信)

読売新聞 中国主席が北に異例の説得、ミサイル発射停止求める
読売新聞 核平和利用を米露で推進、サミットで議題に…米大統領
読売新聞 北朝鮮の説得、中国に促す…米大統領が読売新聞と会見
読売新聞社説 [敵基地攻撃能力]「脅威を直視した論議が必要だ」
産経新聞主張 防衛庁長官発言 「攻撃力」の是非の論議を
朝鮮日報 国家としての良心を失った日本の先制攻撃論  
中央日報 ミサイル、日本過剰反応も問題
ハンギョレ 歴史意識まひした日本の危ない先制攻撃論(ハングル)
朝日新聞社説 先制攻撃論 短兵急に反応するな
毎日新聞社説 敵地攻撃論 冷静かつ丁寧な論議が必要だ
東京新聞社説 敵基地攻撃論 専守防衛の信を損なう
琉球新報社説 敵基地攻撃・「専守防衛」との整合性は

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【参照】 ホームページ「たかお・サンパウロ」の 「新聞社説 表題一覧 」
      および 保存した記事一覧「北朝鮮ミサイル発射」


2006-07-08 「敵基地攻撃」論と中国の議長声明案

2006-07-11 18:03:44 | 「たかお・サンパウロ」
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2006/07/11 1119号                    (転送紹介歓迎)
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   以下、[JCJふらっしゅ]1119号 の一部を転載します。

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■閣僚の「ミサイル基地攻撃能力を持つべき」発言と、中国、議長声明案

 10日の国連安全保障理事会の非公開協議で、中国の王光亜国連大使は北朝鮮のミ
サイル発射にあらためて「深刻な懸念」を表明した。北朝鮮に核問題をめぐる6カ国
協議への即時復帰を強く促し、ミサイルや関連物資などの同国への移転阻止を各国に
要請する議長声明案を理事国に提示した。

 声明案は、米日など計8カ国が共同提案した「制裁決議案」から、強制的な制裁に
つながる条項を削除した内容になっている(→詳細は、朝日新聞「中国の議長声明案、
制裁条項盛らず 友好国非難は異例」参照)。

 共同通信の報じたところによると、王大使はこのまま決議案化されても反対しない
意向を表明したといい、「制裁決議案」を格下げした「非難決議案」が米日と中国、
ロシアの妥協点として浮上しているようだ。

 朝日新聞は、「中国が友好国である北朝鮮を名指しで非難する声明案を国連に提出
するのは異例」で、「文言も、日本の制裁決議案と似ている条項が多い」としている。

 中国が対北朝鮮制裁に反対する理由として「6カ国協議の崩壊阻止」など3つの理
由を挙げていることがわかった(→共同通信)。
(1)中国は、制裁決議が通過した場合、核問題をめぐる6カ国協議のプロセスが完
全に崩れ、北朝鮮が一切交渉に応じない事態を予想し、強い懸念を持っている。
(2)国連安保理の分裂回避
(3)北朝鮮の孤立化回避

 制裁決議案の採決が延期されたことについて、小泉純一郎首相は、訪朝している中
国の武大偉外務次官の外交努力を当面は見守るとしながらも、「わが国はあくまで制
裁決議の基本方針に変わりはない」と強調している。また、麻生太郎外相は、制裁決
議案の採決時期について、15日に開幕するサンクトペテルブルク・サミット(主要
国首脳会議)までに決着させるべきだと主張している。

「一日延ばすだけ緊張感が揺らぎ、決議案にしないいろいろな根回し、交渉が進む可
能性がある」(時事通信)と指摘し、「時間的には急いだ方がいいというのが基本的
立場だ」と語っている。

 日本政府は、中国の訪朝の結果まで待っている必要はないなどと性急な態度を示し
ていたが、サンクトペテルブルク・サミット(主要国首脳会議)までに制裁決議案を
成立させ、「北朝鮮」バッシングの正当性を国際的、国内的に築き上げて、米軍再編
計画を補強して「改憲」状況を実質的に生み出すチャンスとしたがっている、という
あたりに「焦り」の背景があるのかもしれない。

 ◆報道とのズレ/米国から採決延期を受け入れるよう説得されていた

 だが米国の対応は、米日が結束して「制裁決議案」を断固通そうとしているという
日本の主な報道のトーンとは微妙に異なっている。10日、ライス米国務長官は訪朝
中の中国代表団が北朝鮮の6カ国協議復帰を説得できるか見守っている、と述べたと
いう(ロイター通信) 。

 同長官は、(1)中国代表団に期待が寄せられている、(2)国連安保理の対北朝
鮮制裁決議案の採決延期を受け入れた日本の決定を支持する、と言明した。記者団に
対して「訪朝中の中国代表団にはある程度期待が持てる。うまく行って欲しい」と述
べ、北朝鮮に対する中国の影響は「非常に大きい」とし、米国は「6カ国協議再開の
時期に来ていることを中国が北朝鮮に説得できるか見守りたい」と語っている(同)。

 米国と日本が一枚岩になって、中国やロシアの制裁反対派とぶつかっているという
日本のメディアのトーンと、実態は大きく異なっていたことがこのライス長官のコメ
ントではっきりした。日本は、米国から採決延期を受け入れるよう説得されていたも
のと思われる。

 11日、この段階でようやく安倍官房長官も、制裁決議案の採決を先送りを認め、
「わが国をはじめ国際社会の懸念を理解し、北朝鮮への働きかけをしっかり行なって
いただきたい」(ロイター通信)と述べて、中国の外交努力に期待感を示す姿勢に変
わったものと思われる。「制裁を視野に入れた決議をとの姿勢に変わりはない」とも
つけ加えている。

 韓国では青瓦台(大統領官邸)が9日、北朝鮮によるミサイル発射への日本政府の
対応を「大騒ぎ」と批判する文書を公表、翌10日、韓国の有力紙が大統領を非難す
る社説を一斉に掲載するという騒ぎが起きた。大統領官邸の日本政府批判は、韓国政
府の怠慢(ミサイル発射が迫ったとの情報を得ながら自国の民間航空機や漁船への警
告を怠った)として、「国民の安全」軽視を非難するもので、5日の北朝鮮の発射実
験は韓国にとって脅威でないという大統領官邸の主張にもも厳しく反論した(→毎日
新聞)。

 しかし、その韓国メディアの大統領批判は、日本の防衛庁長官など閣僚による「自
衛のための敵地攻撃」の議論に呑みこまれることになる。

 ◆「防衛」の名をかりて「攻撃」に打って出ようとする計画の存在

 9日、額賀防衛庁長官が、現在自衛隊が保有していないミサイル発射基地などへの
敵基地攻撃能力について、「独立国家として、一定の枠組みの中で、最低限のものを
持つという考え方は当然だ」と、憲法の範囲内で可能な装備を検討すべきだとぶちあ
げた。

 負けずに麻生外相も、NHKの番組で「今の状況を考えた場合、国民の安全を守る
ためには(自衛権の範囲内でのミサイル基地攻撃は)間違いなく正しい」と語り、安
倍官房長官も10日午前の記者会見で「議論を深めていく必要がある。日本の国民と
国土、国家を守るために何をすべきかとの観点から常に検討、研究することが必要だ」
(共同通信)と強調するという、奇妙な「先制攻撃論」が突然浮上した。

 額賀氏は発言のなかで、当面、自民、公明両党内の議論の進展を待つ意向を明らか
にしたが、公明党は早速慎重な考えを表明、当の防衛庁も今年度末からのミサイル防
衛(MD)システム導入を優先させる方針(→時事通信)で、額賀、麻生、安倍三人組
みの行過ぎた高揚ぶりが露呈した。

 この件について10日夕、小泉首相は「理論的に検討するのはいいと思うが、日本
が実際に攻撃を受けていない段階に先制攻撃的な形でするというのは別問題だ。憲法
上の問題もある。慎重に検討しなくてはいけない」(共同通信)と述べたほか、与党
も含め慎重または反対意見が大勢を占めたという(同)。

 朝日新聞によると、「敵基地攻撃」の議論は10日、米国にも波紋を広げたという。
メディアは「日本が先制攻撃の可能性を示唆した」と受け止め、ホワイトハウスや国
務省の会見で記者団から質問が相次ぎ、米政府側は「日本は外交的に努力している」
と受け止め、直ちに先制攻撃につながるものではないとの見方を強調したという。

 そうしたなか額賀防衛庁長官は、11日、「(日本が)戦後60年、自由に徹し、
平和を守ってきた実績を考えていただければよく理解してもらえると思っている」(
毎日新聞)と述べて、敵基地攻撃能力の保有についての議論が、そのまま軍事大国化
につながるとの指摘はあたらないと反論している。

 発言にあたって、ご当人はあれこれ逃げ道を用意した入り、防波堤を張りめぐらせ
たつもりだったのかもしれないが、軽率の誹りはぬぐえない。競って同様の発言をし
た麻生、安倍両氏も同様だ。政府与党のなかには、機を見てはすかさず「防衛」の名
をかりて「攻撃」に打って出ようとする輩が存在することがくっきりと浮かび上がっ
た。こうした考えが国会を蔓延させることなどないよう、目を配っていく必要が出て
いる。

 日本は米国と一体となって、中国やロシアに対して「制裁決議案」への投票を棄権
するよう働きかけているという報道と、米国から採決延期を受け入れるよう説得され
ていたのとでは、事実は大きく異なる。その事実の違いを隠しきれなくなくなったた
め、当面の目標だった「防衛のためのミサイル基地攻撃」論が、閣僚らから突然飛び
出したのかもしれない。

 ほんの数日間のこととはいえ、メディアをだまし、市民をだまそうとしていたとす
るならば、これは断じて許されることではない。メディアは今後のためにも、その点
をはっきりさせておくべきではないか。

共同通信 中国、議長声明案提示 北朝鮮への制裁条項削除
 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20060711/20060711a3800.html

共同通信 6カ国協議崩壊を懸念 中国、制裁反対に3理由
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000075-kyodo-int

時事通信 あくまで制裁含めて採択=小泉首相-外相「サミット前決着」を・対北決議案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000043-jij-pol

朝日新聞 中国の議長声明案、制裁条項盛らず 友好国非難は異例
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20060711/K2006071103820.html?C=PT

毎日新聞 <北朝鮮ミサイル>「基地攻撃能力は持つべき」額賀長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000036-mai-pol

共同通信 敵基地攻撃能力は必要 防衛長官が表明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000087-kyodo-pol

朝日新聞 「敵基地攻撃」論、米国にも波紋
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20060711/K2006071101910.html

共同通信 首相「慎重な検討必要」 敵基地攻撃、与野党も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000185-kyodo-pol

毎日新聞 <額賀防衛長官>「平和を守ってきた実績」から反論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000049-mai-pol

YONHAP NEWS 青瓦台、日本閣僚の発言に「侵略主義的な性向」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000014-yonh-kr

共同通信 日本の先制攻撃論を批判 侵略主義的傾向と韓国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000084-kyodo-int

ロイター通信 韓国、北朝鮮のミサイル発射をめぐる日本の閣僚らの発言を批判
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000526-reu-int

時事通信 日中、わずかに歩み寄り=決議採決、北朝鮮の出方焦点-安保理
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000028-jij-int

ロイター通信 北朝鮮の6カ国協議復帰説得、中国訪朝団に期待=米国務長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000514-reu-int

サーチナ・中国情報局 【中国】北朝鮮ミサイル問題、中国が議長声明案を提示
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000006-scn-cn

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【参照】 ホームページ「たかお・サンパウロ」の 保存した記事一覧「北朝鮮ミサイル発射」


2006-07-11 「敵基地攻撃」論と中国の議長声明案

2006-07-11 18:03:13 | 「たかお・サンパウロ」
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2006/07/11 1119号                    (転送紹介歓迎)
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■閣僚の「ミサイル基地攻撃能力を持つべき」発言と、中国、議長声明案

 10日の国連安全保障理事会の非公開協議で、中国の王光亜国連大使は北朝鮮のミ
サイル発射にあらためて「深刻な懸念」を表明した。北朝鮮に核問題をめぐる6カ国
協議への即時復帰を強く促し、ミサイルや関連物資などの同国への移転阻止を各国に
要請する議長声明案を理事国に提示した。

 声明案は、米日など計8カ国が共同提案した「制裁決議案」から、強制的な制裁に
つながる条項を削除した内容になっている(→詳細は、朝日新聞「中国の議長声明案、
制裁条項盛らず 友好国非難は異例」参照)。

 共同通信の報じたところによると、王大使はこのまま決議案化されても反対しない
意向を表明したといい、「制裁決議案」を格下げした「非難決議案」が米日と中国、
ロシアの妥協点として浮上しているようだ。

 朝日新聞は、「中国が友好国である北朝鮮を名指しで非難する声明案を国連に提出
するのは異例」で、「文言も、日本の制裁決議案と似ている条項が多い」としている。

 中国が対北朝鮮制裁に反対する理由として「6カ国協議の崩壊阻止」など3つの理
由を挙げていることがわかった(→共同通信)。
(1)中国は、制裁決議が通過した場合、核問題をめぐる6カ国協議のプロセスが完
全に崩れ、北朝鮮が一切交渉に応じない事態を予想し、強い懸念を持っている。
(2)国連安保理の分裂回避
(3)北朝鮮の孤立化回避

 制裁決議案の採決が延期されたことについて、小泉純一郎首相は、訪朝している中
国の武大偉外務次官の外交努力を当面は見守るとしながらも、「わが国はあくまで制
裁決議の基本方針に変わりはない」と強調している。また、麻生太郎外相は、制裁決
議案の採決時期について、15日に開幕するサンクトペテルブルク・サミット(主要
国首脳会議)までに決着させるべきだと主張している。

「一日延ばすだけ緊張感が揺らぎ、決議案にしないいろいろな根回し、交渉が進む可
能性がある」(時事通信)と指摘し、「時間的には急いだ方がいいというのが基本的
立場だ」と語っている。

 日本政府は、中国の訪朝の結果まで待っている必要はないなどと性急な態度を示し
ていたが、サンクトペテルブルク・サミット(主要国首脳会議)までに制裁決議案を
成立させ、「北朝鮮」バッシングの正当性を国際的、国内的に築き上げて、米軍再編
計画を補強して「改憲」状況を実質的に生み出すチャンスとしたがっている、という
あたりに「焦り」の背景があるのかもしれない。

 ◆報道とのズレ/米国から採決延期を受け入れるよう説得されていた

 だが米国の対応は、米日が結束して「制裁決議案」を断固通そうとしているという
日本の主な報道のトーンとは微妙に異なっている。10日、ライス米国務長官は訪朝
中の中国代表団が北朝鮮の6カ国協議復帰を説得できるか見守っている、と述べたと
いう(ロイター通信) 。

 同長官は、(1)中国代表団に期待が寄せられている、(2)国連安保理の対北朝
鮮制裁決議案の採決延期を受け入れた日本の決定を支持する、と言明した。記者団に
対して「訪朝中の中国代表団にはある程度期待が持てる。うまく行って欲しい」と述
べ、北朝鮮に対する中国の影響は「非常に大きい」とし、米国は「6カ国協議再開の
時期に来ていることを中国が北朝鮮に説得できるか見守りたい」と語っている(同)。

 米国と日本が一枚岩になって、中国やロシアの制裁反対派とぶつかっているという
日本のメディアのトーンと、実態は大きく異なっていたことがこのライス長官のコメ
ントではっきりした。日本は、米国から採決延期を受け入れるよう説得されていたも
のと思われる。

 11日、この段階でようやく安倍官房長官も、制裁決議案の採決を先送りを認め、
「わが国をはじめ国際社会の懸念を理解し、北朝鮮への働きかけをしっかり行なって
いただきたい」(ロイター通信)と述べて、中国の外交努力に期待感を示す姿勢に変
わったものと思われる。「制裁を視野に入れた決議をとの姿勢に変わりはない」とも
つけ加えている。

 韓国では青瓦台(大統領官邸)が9日、北朝鮮によるミサイル発射への日本政府の
対応を「大騒ぎ」と批判する文書を公表、翌10日、韓国の有力紙が大統領を非難す
る社説を一斉に掲載するという騒ぎが起きた。大統領官邸の日本政府批判は、韓国政
府の怠慢(ミサイル発射が迫ったとの情報を得ながら自国の民間航空機や漁船への警
告を怠った)として、「国民の安全」軽視を非難するもので、5日の北朝鮮の発射実
験は韓国にとって脅威でないという大統領官邸の主張にもも厳しく反論した(→毎日
新聞)。

 しかし、その韓国メディアの大統領批判は、日本の防衛庁長官など閣僚による「自
衛のための敵地攻撃」の議論に呑みこまれることになる。

 ◆「防衛」の名をかりて「攻撃」に打って出ようとする計画の存在

 9日、額賀防衛庁長官が、現在自衛隊が保有していないミサイル発射基地などへの
敵基地攻撃能力について、「独立国家として、一定の枠組みの中で、最低限のものを
持つという考え方は当然だ」と、憲法の範囲内で可能な装備を検討すべきだとぶちあ
げた。

 負けずに麻生外相も、NHKの番組で「今の状況を考えた場合、国民の安全を守る
ためには(自衛権の範囲内でのミサイル基地攻撃は)間違いなく正しい」と語り、安
倍官房長官も10日午前の記者会見で「議論を深めていく必要がある。日本の国民と
国土、国家を守るために何をすべきかとの観点から常に検討、研究することが必要だ」
(共同通信)と強調するという、奇妙な「先制攻撃論」が突然浮上した。

 額賀氏は発言のなかで、当面、自民、公明両党内の議論の進展を待つ意向を明らか
にしたが、公明党は早速慎重な考えを表明、当の防衛庁も今年度末からのミサイル防
衛(MD)システム導入を優先させる方針(→時事通信)で、額賀、麻生、安倍三人組
みの行過ぎた高揚ぶりが露呈した。

 この件について10日夕、小泉首相は「理論的に検討するのはいいと思うが、日本
が実際に攻撃を受けていない段階に先制攻撃的な形でするというのは別問題だ。憲法
上の問題もある。慎重に検討しなくてはいけない」(共同通信)と述べたほか、与党
も含め慎重または反対意見が大勢を占めたという(同)。

 朝日新聞によると、「敵基地攻撃」の議論は10日、米国にも波紋を広げたという。
メディアは「日本が先制攻撃の可能性を示唆した」と受け止め、ホワイトハウスや国
務省の会見で記者団から質問が相次ぎ、米政府側は「日本は外交的に努力している」
と受け止め、直ちに先制攻撃につながるものではないとの見方を強調したという。

 そうしたなか額賀防衛庁長官は、11日、「(日本が)戦後60年、自由に徹し、
平和を守ってきた実績を考えていただければよく理解してもらえると思っている」(
毎日新聞)と述べて、敵基地攻撃能力の保有についての議論が、そのまま軍事大国化
につながるとの指摘はあたらないと反論している。

 発言にあたって、ご当人はあれこれ逃げ道を用意した入り、防波堤を張りめぐらせ
たつもりだったのかもしれないが、軽率の誹りはぬぐえない。競って同様の発言をし
た麻生、安倍両氏も同様だ。政府与党のなかには、機を見てはすかさず「防衛」の名
をかりて「攻撃」に打って出ようとする輩が存在することがくっきりと浮かび上がっ
た。こうした考えが国会を蔓延させることなどないよう、目を配っていく必要が出て
いる。

 日本は米国と一体となって、中国やロシアに対して「制裁決議案」への投票を棄権
するよう働きかけているという報道と、米国から採決延期を受け入れるよう説得され
ていたのとでは、事実は大きく異なる。その事実の違いを隠しきれなくなくなったた
め、当面の目標だった「防衛のためのミサイル基地攻撃」論が、閣僚らから突然飛び
出したのかもしれない。

 ほんの数日間のこととはいえ、メディアをだまし、市民をだまそうとしていたとす
るならば、これは断じて許されることではない。メディアは今後のためにも、その点
をはっきりさせておくべきではないか。

共同通信 中国、議長声明案提示 北朝鮮への制裁条項削除
 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20060711/20060711a3800.html

共同通信 6カ国協議崩壊を懸念 中国、制裁反対に3理由
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000075-kyodo-int

時事通信 あくまで制裁含めて採択=小泉首相-外相「サミット前決着」を・対北決議案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000043-jij-pol

朝日新聞 中国の議長声明案、制裁条項盛らず 友好国非難は異例
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20060711/K2006071103820.html?C=PT

毎日新聞 <北朝鮮ミサイル>「基地攻撃能力は持つべき」額賀長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000036-mai-pol

共同通信 敵基地攻撃能力は必要 防衛長官が表明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000087-kyodo-pol

朝日新聞 「敵基地攻撃」論、米国にも波紋
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20060711/K2006071101910.html

共同通信 首相「慎重な検討必要」 敵基地攻撃、与野党も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000185-kyodo-pol

毎日新聞 <額賀防衛長官>「平和を守ってきた実績」から反論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000049-mai-pol

YONHAP NEWS 青瓦台、日本閣僚の発言に「侵略主義的な性向」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000014-yonh-kr

共同通信 日本の先制攻撃論を批判 侵略主義的傾向と韓国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000084-kyodo-int

ロイター通信 韓国、北朝鮮のミサイル発射をめぐる日本の閣僚らの発言を批判
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000526-reu-int

時事通信 日中、わずかに歩み寄り=決議採決、北朝鮮の出方焦点-安保理
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000028-jij-int

ロイター通信 北朝鮮の6カ国協議復帰説得、中国訪朝団に期待=米国務長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000514-reu-int

サーチナ・中国情報局 【中国】北朝鮮ミサイル問題、中国が議長声明案を提示
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060711-00000006-scn-cn

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【参照】 ホームページ「たかお・サンパウロ」の 保存した記事一覧「北朝鮮ミサイル発射」


2006-07-08 北朝鮮ミサイル問題で防衛長官が・・・・・

2006-07-08 23:30:00 | 「たかお・サンパウロ」

朝日の記事(asahi.com 2006年07月09日13時13分)
敵地攻撃能力の保持は当然、ミサイル問題で防衛長官
 額賀福志郎防衛庁長官は9日午前、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関連して「日米同盟によって(日本は防御中心、敵基地攻撃は米国との)役割分担があるが、国民を守るために必要なら、独立国として限定的な攻撃能力を持つことは当然だ」と述べた。日本に対する攻撃が差し迫った場合に備えて、ミサイル発射場などを先制攻撃する能力の保持を検討すべきだとの考えを示したものだ。都内で記者団に語った。
  ただ、額賀氏は「まず与党の中で議論し、コンセンサスをつくる必要がある。こういう事態が起きたからといって拙速にやるべきではない」と述べ、あくまで将来的な課題だとの認識を示した。(時事)

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出てきました。大臣の口から「先制攻撃する能力の保持を検討すべきだ」との言葉が。
北朝鮮のミサイル発射が、日本の「鎧を着けたい」と思っている人たちに決定的な勢いをつけてしまいました。
この時とばかりに、半ば「死に体」のブッシュ政権に寄り添って、中国、ロシアに難題を押しつけ、世界にというより”国内向け”に強いところを見せつけて、9月の総裁選で”小泉”後継内閣の後釜を決めよう。そしてその余勢で継続審議の諸法案---教育基本法改正案、国民投票法案、組織的犯罪処罰法改正案、防衛省昇格法案などを次期国会で押し通そうと言う「小泉劇場」第3弾の開幕です。

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  「asahi.com 特集 北朝鮮ミサイル発射」 を追加しました。

 


2006-07-07 「北朝鮮ミサイル発射」 --- [JCJふらっしゅ]から その2

2006-07-07 10:46:57 | 「たかお・サンパウロ」

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[JCJふらっしゅ]1115号  から転載記事
■北朝鮮ミサイル実験強行 問われる日本の国際センスとリーダーとしての素養
つづき

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 ■日本を挑発して、米・中の代理トラブルに持ち込むのが狙い?
 
 
  なんとも戦前の日本を見せられるような、あるいはいまの「改憲路線」が突き進ん
だあとの日本を見せられるような、やり切れない文言である。末尾で今後の対応を警
告したりしているが、「演習」のどこが悪いということであり、いずれの国に対して
も戦争を仕掛ける気はないことを言外に、明確に語っている。

 何も起こらないことが、北朝鮮にとって最も脅威ということはありうる。外に敵を
つくっておかなければ、内側から崩壊しかねないという危機は、最大の脅威となりう
る。しかし前述した言い分は、どこか聞き覚えのあるものではないか。国際法も多国
間の合意も関係ない。まさにブッシュドクトリンの焼き直しのような気もする。

 拉致問題を解決してやったという態度、それなのに―と、暴発的なミサイル発射実
験へと走ってしまう選択。そしてその後の国際社会など眼中にないとし、これまで待
ったのは、北朝鮮の度量が広いからだと誇る姿勢。日本の時代劇のみすぎではないか
とつい思ってしまうほど、いまの日本社会にも根強く残る「お上と庶民」の乖離の構
造と酷似していないだろうか。

 そして日本が米国の「属国」としての道を選択するならば、交渉相手としては認め
ないとして一段見下げ、トップとの交渉術にかけるやり方。これもなんだか全盛期の
日本映画や昔のハリウッド映画を髣髴とさせる。

 国際社会の現実を無視し、また市民を無視し、メディアを動員して情報を統制し、
「生かさず殺さず」「由らしむべし知らしむべからず」に持ち込もうとするやり方。
これも北朝鮮ばかりではない。日本もその世界に逆戻りしようとしていないだろうか。

 北朝鮮はどこかの国と秘密裏に暗黙に了解し合い、日本を挑発して、米国と中国の
敵対関係を顕在化させ、その代理戦争に日本を巻き込むシナリオでも描いているのだ
ろうか。北朝鮮と日本のトラブルや緊張は、米国が日本を押しのけ、中国と接近する
最高のお膳立てとなる。

 また敵対関係から生まれるのは殺し合いだけではない。そこに妥協や交渉が入り込
み、敵対関係とは別の関係が生まれていることもある。

 2日付のイタリア紙レプブリカが、米軍に殺害されたザルカウィ容疑者(イラク・
アルカイダ機構リーダー)の件で、驚くべき裏話を報じたという(→CNN)。ザル
カウィ容疑者の妻と名乗る女性によると、国際テロ組織アルカイダの幹部らと米国と
の間に、同容疑者を「売り渡す」交渉が成立していたというのだ。

 アルカイダ側は米軍が指導者オサマ・ビンラディンの捜索活動を「少なくとも一時
的に」緩めることと引き換えに、ザルカウィ容疑者の殺害を認めた。イスラム教スン
ニ派勢力とヨルダン情報当局が交渉を仲介したという。
 またニューヨーク・タイムズが4日付で、米中央情報局(CIA)が昨年下半期に、
ビンラディン容疑者の捜索を10年近く担当してきた部署を解散したと伝えている(
→CNN)。

 イラク正統政府ができたので、米国にとってはビンラディンも、オマル師も、お役
御免ということなのだろうか。アフガン、イラクで米ブッシュ政権は、だれを「生か
さず殺さず」使役し、だれを「由らしむべし知らしむべからず」と懐柔し続けたのだ
ろうか。
 そして金正日率いる北朝鮮のこのミサイル実験騒ぎの場合、どんな謀略がその裏で
渦巻いていたりするのだろうか――。

 「制裁だ」と声高に叫ぶのはだれにでもできる。
 大事なのは、想像力を働かせて事態の本質に迫り、事態を暴発させることなく問題
の解決へと辛抱強く導いていくことだろう。政府は、また政治家は、日本国憲法に忠
誠を誓い、そうした仕事を全うするために立候補し、選出されている。それを忘れて
もらっては困るのだ。


AP ザルカウィ容疑者は「米国に売られた」と 伊紙報道
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200607030022.html
CNN/AP CIA、ビンラディン捜索部署を解散していた 米紙
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200607050022.html

時事通信 北朝鮮、ミサイル追加発射も=テポドン飛行時間は7分程度-韓国国防相
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000083-jij-int
時事通信 発射42秒後にエンジン異常か=テポドン2号、499キロ飛行-韓国分析
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000170-jij-int
北海道新聞 北朝鮮発射のテポドン2、北海道上空を通過の恐れ
http://news.goo.ne.jp/news/hokkaido/chiiki/20060706/200607052983-hokkaido.html?C=PT
毎日新聞 <北朝鮮ミサイル>テポドン2号発射は「失敗」 米国防長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000048-mai-int
時事通信 ミサイル実験を継続=発射認め「軍事訓練」と主張-北朝鮮
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000085-jij-int
聯合ニュース≪ミサイルめぐる北朝鮮外務省報道官発言全文≫
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=142006070601700&FirstCd=06
ロイター通信 ミサイル発射は成功、国防力を強めた=北朝鮮
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000035-reu-int&kz=int
スポーツ報知 NHK朝ドラ飛んだ、1995年阪神大震災以来の緊急報道態勢
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000039-sph-ent
読売新聞 ミサイルで「純情きらり」休止、問い合わせ2400件
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000412-yom-ent
夕刊フジ NHK朝ドラを休止…民放各局も“北シフト”
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060705-00000012-ykf-ent
日刊スポーツ テポドン直撃、NHK朝ドラ3度目休止
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000058-nks-ent
毎日新聞 <北朝鮮ミサイル>小沢代表、さらなる制裁に慎重姿勢
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000097-mai-int
時事通信 北への首相メッセージ伝達を要請=山崎氏、インドネシア大統領と会談
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000173-jij-pol
毎日新聞 <拉致議連>北朝鮮問題で韓・欧米の議員と連携へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000123-mai-pol
読売新聞 朝鮮総連との和解、民団が白紙撤回を発表
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000103-yom-soci
朝日新聞 中国外務次官、ミサイル発射は「米の金融制裁が大きい」
http://www2.asahi.com/special/060705/TKY200607060281.html
毎日新聞 <北朝鮮ミサイル>武大偉中国外務次官訪朝へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000096-mai-int
毎日新聞 北朝鮮ミサイル:中国が外務次官派遣決定、事態打開に動く
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060707k0000m030101000c.html
朝日新聞 北朝鮮、なぜいま強行 瀬戸際外交の果て・軍との妥協…
http://www2.asahi.com/special/060705/TKY200607060155.html
 


2006-07-07 「北朝鮮ミサイル発射」 --- [JCJふらっしゅ]から その1

2006-07-07 10:36:20 | 「たかお・サンパウロ」

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   文字数が 10,000 を越えるので、二つに分割します。(TAKAO}
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□■北朝鮮ミサイル実験強行 問われる日本の国際センスとリーダーとしての素養

 ソウルからの報告によると、北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイル「テポドン2号」
について、韓国国防省当局者は、発射後約42秒間は正常に飛行したが、エンジン異
常と推定されるトラブルが発生、その後も慣性で飛び続けて飛行時間は約7分間で、
その後墜落。飛行距離は499キロに及んだ、との見方を示しているという(→時事
通信)。

 北海道新聞によると、テポドン2の航跡からみて、米西海岸沖からハワイ沖をめざ
すコースだった可能性があり、失敗しなかった場合は北海道上空を通過する恐れがあっ
たることが分かったという。 同ミサイルは大型ブースターを持つ二段式で、アラスカ
州の一部は射程内に入り、三段式にするなど改良が進めば射程1万キロ以上も可能と
され、その場合にはワシントンに到達する恐れもある。防衛庁が計算したミサイル推
定コースによると、ワシントンを狙うコースは中国・東北地方やロシア上空を通過す
る、と伝えている。

 テポドン2の発射実験の「失敗」については、北朝鮮が故意に落下させたとの見方
も出ている。だが米政府はそれを否定している。ラムズフェルド米国防長官は、発射
を察知したのは「直前だった」としたうえで、「失敗したのは事実だ」(毎日新聞)
と強調、スノー米大統領報道官も、北方軍司令部が「発射は失敗だった」(同)と結
論付けたことを明らかにしている。日本の政府関係者も6日、「あれは失敗だった。
1段目が燃焼不足で、2段目との切り離しが出来なかったようだ」(読売新聞)との
見方を示したという。

 一方、当日は沈黙していた北朝鮮だが、6日、ミサイル発射を認め、発射は成功し
たと表明した。今後もミサイル実験を継続するとの態度を明らかにした。北朝鮮外務
省は「今回行われた成功裏のミサイル発射は自衛的な国防力強化のため、わが軍隊が
正常に行った軍事訓練の一環である」(時事通信)と主張、「ミサイル発射の中止を
求める圧力を受ければ、誰に対してであれ力を行使する」(ロイター通信)との意向
を国営朝鮮中央テレビで述べたと報じられた。

 5日、発射の段階では、北朝鮮の韓成烈・国連次席大使は「我々外交官は軍隊が行
うことについて知らない」(聯合ニュース)と述べており、平壌市内も平穏で、人々
は知らされていない様子だったことをメディアが伝えた。――それでは、政権中枢に
いる人物の癇癪、見せしめ、暴走だったのか。実験は成功したと胸を張り、いずれの
法や国にも縛られることなく軍事訓練を行う権利の行使であると主張する。

 居直り――政権を担う立場にある者は個人ではあっても私人ではない。公人である。
その公人の責務を理解せず、私人としてもつ権利を市民同様に行使してなにが悪いと
言ってはばからない日本の首相がいる。同じ時代に、ミサイル発射実験に事前通告な
ど必要ないと言ってはばからない北朝鮮の政権がある。これも笑ってすますことので
きない、なにかの巡り合わせなのだろうか。


■強硬制裁論の限界――米一国への傾斜でなく幅広い国際連携が必要


 6日、NHKは、北朝鮮のミサイル発射を報じるため、5日の連続テレビ小説「純
情きらり」の放送を休止した。その結果、視聴者から約2400件に上る問い合わせ
が殺到したという(→読売新聞)。朝の連続テレビ小説の放送を休止したのは、
1995年1月17日の阪神大震災発生時以来、約11年ぶりのことだという。

 NHKを取材したスポーツ報知によると、北朝鮮のミサイル発射のニュースは、5
日未明、NHKがいち早く報じた。独自の情報筋から得たスクープだったという。
 NHK総合テレビの画面に「北朝鮮がミサイル発射」の字幕スーパーが出たのは、
5日午前4時29分55秒。サッカーW杯準決勝「ドイツ-イタリア戦」の生中継中
で、前半戦途中のことだった。その後各局も5時前ごろから順次、字幕で速報を打ち
始めた。他局より約15分先行したNHKの関係者は「うちのスクープだったようで
す」と話したという(→スポーツ報知)。

 日本政府は、特定船舶入港禁止法を発動、万景峰号の入港を禁止する処置に出たが、
新潟県が、人道的な配慮から、修学旅行から帰る朝鮮高級学校の生徒ら乗客209人
を下船させるために新潟西港への接岸を許可した。

 日本海といってもよりロシアに近いエリアで、被害は出ていない。相手の「軍事演
習」の狙い、仮想敵の存在の有無など、ミサイル発射実験の意図を把握できないまま、
踏み切った最初の経済制裁だった。北朝鮮の「発射準備」に対しては、国際的に監視
の目が注がれ、発射を思いとどまるよう呼びかけていたが、いざ「試射」が実行され
るや、日本政府は国際連携も安保理の対応も待たずに、強硬姿勢の反撃に出た。挑発
に乗ってしまったのである。

 だが、万景峰号の生徒ら乗客の下船許可によって、かろうじて近代国家としての体
面を保った。単純化して言えば、国際世論にぎりぎりのところで「喧嘩両成敗」とい
われかねない、どっちもどっちの幼稚な対応となるところを、下船許可で首の皮一枚、
国際的体面を保つという、政権に脆さ、危うさを露呈した。

 6日、中国訪問中の民主党・小沢一郎代表は同行記者団に対し、「当面できる限り
措置をとることはよいと思うが、それによってどういう反作用が起きるか、十分心構
えをした上で行わないと(制裁)措置をとったことにならない」(毎日新聞)と述べ、
さらなる制裁に慎重姿勢を示した。

 またインドネシア訪問中の自民党の山崎拓前副総裁は、ユドヨノ大統領、ハッサン
外相と個別に会談、18日から訪朝予定のユドヨノ大統領に対して、北朝鮮のミサイ
ル発射は日朝平壌宣言に対する「重大な違反であり、甚だ遺憾」とする小泉純一郎首
相のメッセージを伝達するよう要請した(時事通信)。これは単純対決型の危うさの
目立つ安倍氏と一線を画す姿勢を示すための行動ともいえる。

 またその一方で、超党派議員でつくる拉致議連は、国会内で役員会を開き、拉致を
含めた北朝鮮問題の解決に向け、韓国、米国、EUの国会議員と連携した運動を展開
していく方針を確認した(毎日新聞)。会長の平沼赳夫会長平沼氏は記者団に対し「
(万景峰号の入港禁止期間は)6カ月なんて生ぬるいものではだめだ」と述べ、政府
に強い対応を求めたという。


■日本政府の反応が「過剰」と映れば、思う壺?


 日本の政府与党筋は、北朝鮮は何をやりだすかわからない孤立した国であり、こち
らも何をやってもかまわないとするような姿勢を見せることがある。だが北朝鮮は、
外交関係を有する国は154ヶ国(うち南北双方が外交関係を有する国は150ヶ国
/2005年6月現在、外務省)にのぼる。中国、韓国、北朝鮮などアジア諸国を見
下すような姿勢は、過去の誤った歴史のなかで培われてきたのか。あるいは米国が
「悪の枢軸」と名指しするから、そうした態度になるのか。

 隣国に対して即座に強硬姿勢を打ち出すことを口にする政治家たちは、早く「改憲」
をして、米軍の指示があればすぐにでも戦争に出て行くような言動をしてはばからな
い人々と顔ぶれが共通しているようにも思える。

 首相の靖国神社参拝問題をめぐる世界への対応についても似たような、無意味に「
突っ張る」姿勢があるわけだが、その姿勢は北朝鮮のミサイル発射と同様、世界の常
識では理解できないほど「内向き」の話なのだ。世間に拉致問題で顔を売った安倍官
房長官だが、初動をみるかぎり、この問題で足をとられる可能性は高いように思う。

 少なくとも北朝鮮は、攻撃でなく「軍事演習」であり「試射」である、そう突っ張
ることになろうし、テポドン2の航跡は(もし試射が成功しても到底届かないが)米
国を指し示していた。たとえ日本の漁船や漁村をおびやかし、精神的苦痛を与えたに
しても、世界からみて日本政府の反応は「過剰」と映る可能性がある。軍事訓練実施
の事前通告を行ったか行わなかったかに収斂されてしまう話でもあるのだ。

 この点で、世論形成の仕方、され方に脆さがあることは否定できない。発射したこ
とだけをあげつらって、大騒ぎして報道しても、紛争の火種としての諸要素を冷徹に
判断するための材料、つまり落下地点と領海、排他的経済水域との位置関係や、ミサ
イルはどこに焦点を当てられて発射されたのかなどの情報がなければ、的確な判断を
下すことは困難といえる。現実に領海内が被弾するなどして、すわ戦争かというよう
な場合に、ボタン一つ押せば国の一つや二つは簡単に消滅する軍事技術が地球上には
存在する。

 20世紀の力の均衡に頼った細い線上にくみ上げられた平和を、もう少し安定させ
ること、安全保障を国家間、地域間でとらえるのではなく、人間の安全保障の視点で
とらえなおすべきだとしている時代である。いかに北朝鮮が巧妙に挑発してくるとい
っても、それにまんまと乗せられて「過剰」に反応したのでは、主導権がむこうから
転がり込んでくるようなことは考えにくい。

 両国とも、自国内向きの論理を応酬するに留まっており、事態を大きく切りひらく
目は、少なくとも日本の場合、政権の内部からの崩壊を期待したり、あるいは怒りに
任せて乱暴にも米軍との共同行動しかないと思い込んでいる政治家もいるのではない
だろうか。それでは問題を大きくするだけで、得るものは少ない。

 ポスト小泉候補がどのような顔ぶれとなるのか、早くも前哨戦がそろりとスタート
している感じだが、この北朝鮮の問題への対応と靖国神社参拝問題、それに米軍再編
への対応、それらを共通項で結ぶ「改憲」――安倍氏のように米国一辺倒に傾斜する
内向きの姿勢で、果たしていまの激動する世界の動き、米側の二重基準も含めた複雑
なパラノイヤ外交と切り結べるのかどうか。チェックは始まっている。

 威勢のよい言葉を吐いてはしばらくしてから別の言葉に言い直す癖は、明らかに弱
点だろう。自身の内部に最低限でも正しく対応するための論理装置が構築されていな
いのを、後になって「指摘されるようなことは言っていない」などと修正を繰り返し
て乗りこえてきた分、「本番」に持ちこたえられるのかどうか。はなはだ疑問である。
もはやクラス委員を選ぶような感覚で選出される総理大臣では、時代には対応できな
いことを私たちはこの10年足らずの間に、身にしみて実感してきたのではないだろ
うか。


■米国の金融制裁で疲弊 軍部の不満を抑えるためミサイル実験?


 6日、韓国民団(在日本大韓民国民団)は、「北朝鮮が弾道ミサイルの発射を強行
したことは容認できない」朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)との和解の白紙撤回を
発表した。5月17日に両団体は和解を発表したが、その直後から解消・撤回の声が
韓国民団の地方本部などからあがり、ミサイル発射強行が白紙撤回を決定づけること
となった。

 6者協議の議長を務める中国の武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官は、「今回の
北朝鮮の行動は、米国の金融制裁によるところが大きい」(朝日新聞)との見方を示
している。民主党の小沢代表との外務省での会談での発言。「とにかく、話し合いの
場で解決するようにしないといけない。6者協議の場を活用しながら、米朝の二国間
会談をセットすることなどが知恵ではないか」(同)と述べ、10日からの訪朝を決
めた。

 また7日には米首席代表のヒル国務次官補が北京入りする。11日には、北朝鮮か
ら同国最高人民会議の楊亨燮(ヤンヒョンソプ)常任副委員長が北京入りする予定と
いう(→毎日新聞)。

 北朝鮮の不可解な行動をどうみるべきなのか。朝日新聞は「北朝鮮、なぜいま強行
 瀬戸際外交の果て・軍との妥協…」の記事で、米国の金融制裁に原因があるとの見
方のほかに、北朝鮮国内の要因を指摘する声もあると指摘している。

「中韓からいろいろなモノや情報が流入して緩んできた国内体制を改めて引き締めよ
うとした。または、軍部の不満を抑えるためミサイル実験を許した」との日本の外務
省関係者の分析や、朝鮮人民軍の力が増しているのではとの推測が存在することを紹
介している。

 また同記事は、ロシア下院のコサチョフ国際関係委員長の「北朝鮮は軍事力を誇示
しようとする企てに賭けている」(モスクワ放送)との見方を伝えているが、国際的
な交流が当たり前の時代に、トラブルメーカーとの付き合いを余儀なくする「拉致問
題」という小骨の存在を、日本の政治家の独りよがり、軽口の癖を鍛えなおし、将来、
アジアのリーダーとして活躍する人材を輩出する契機ととらえなおして、事態の打開
を目指していくほかないだろう。


■「ミサイル発射は軍事訓練の一環であり、主権国家としての合法的権利」(?)


 6日、北朝鮮が発表した外務省報道官発言を要約して紹介しておこう。

 北朝鮮は、ミサイル発射は軍事訓練の一環であり、主権国家としての合法的権利で
あることを主張している。どのような国際法にも、日朝平壌宣言にも、6カ国協議共
同声明のような二国間あるいは多国間合意にも拘束されないとする。

 その理由として、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に加入した加盟国ではな
いため、その制度のどのような拘束も受けることはない。1999年に米国と合意し
た長距離ミサイル試験発射の一時凍結(モラトリアム)についても、米朝間で対話が
進行する期間に限ったものであり、ブッシュ政権が、先の政権が北朝鮮と交わしたす
べての合意を無効化し、米朝間の対話を全面的に遮断した以上、その効力はない、と
した。

 また2002年に日朝平壌宣言で日本と合意した長距離ミサイルの試験発射凍結も、
日朝間の国交が正常化され、北朝鮮に対する日本の過去清算が行われることを前提と
したものだったが、日本政府は、北朝鮮側が拉致問題を完全に解決したにもかかわら
ず、自らの義務はなにひとつ履行せず、米国の対北朝鮮敵対視政策に積極的に便乗し、
拉致問題を国際化するなどわれわれの善意を悪用し、日朝関係全般を原点に戻した、
としてミサイル発射実験の正当化を試みている。

  そうした中で、北朝鮮政府がこれまでミサイル発射を留保してきたことは大変な度
量をもつことを示すものである、と我慢の限界に達した旨を語る経過を訴えている。

 
 YonsapNews ≪ミサイルめぐる北朝鮮外務省報道官発言全文≫
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=142006070601700&FirstCd=06
 
(つづく)


2006-07-06 「北朝鮮ミサイル発射」の報道

2006-07-06 15:45:00 | 「たかお・サンパウロ」

 長すぎた昼寝で夜になって目を覚ますと、NHKで北朝鮮ミサイル発射のニュースを流していました。朝ドラ「純情きらり」もつぶして延々と続きました。大きな事件のとき、いつもそうですが、起きた表層の状況が繰り返しでてきて、なぜ起きたのか、何が問題なのかを考え本質に迫る報道が少ないようです。
 こと北朝鮮に関わるニュースの場合、ともすれば頭から批判的、敵対的、脅威を煽り、だから防備が必要だと思わせる構図になっています。核・ミサイル問題については、行き詰まっている6カ国協議を、とりあえず「米朝直接交渉」で打開する道があると思うのですが。

上記は 「blog たかお・サンパウロ2006-07-04 北朝鮮ミサイル発射 に書いたものです。

 思っていることを(と言うより感じているという方が適切かな)、聞いて分かりやすく話したり、すらすら文章にするのが苦手なので簡単に書いてしまうのですが、上の文を書いているときに頭の中にあったものとほとんど同じことを書かれた文章に出会ったので紹介します。
 これは、受け取る一方で投稿したことがないメーリングリスト 戦争を語り継ごうML の中の4編です。


その1 [no_more_war_13801] 北朝鮮のミサイル発射
 「戦争を語り継ぐ」ことに関する投稿はありませんが、みなさんどう考えられていられるのでしょうか。国際世論を無視した暴挙であることは事実ですが、マスコミの報道、政府の対応、世論の動向になにか違和感を感じます。

 1 ほんとうに日本やアメリカを攻撃する意図があるのでしょうか。世界最強の軍事力を有する日米にミサイル攻撃を仕掛けるような無謀はしないと思えるのですが。

 2 NHKは連ドラの放送を中止して、終日関連ニュースを流しました。なにか大本営発表を聞いているような恐怖感を感じました。

 3 与野党そろって経済制裁に賛成のようです。選択肢の一つではあると思いますが、なにか大政翼賛会的な雰囲気を感じます。日本の侵略戦争を正当化する人は、米英の経済封鎖ををその論拠にします。そうすると、もし北朝鮮が戦争を始めたら自衛のためだということになってしまいます。

 4 国民保護対策本部を設置したり、学校行事を中止したりする府県が出ています。まさに戦争前夜のようです。そのうち住民の避難誘導も話題にのぼってくるでしょう。多数の住民をどんな方法でどこへ避難させるのでしょか。老人、障害者はどなるのでしょうか。

 指摘のように「戦争を語り継ぐ」ことの重要性が増してきたようです。


その2 [no_more_war_13803] Re_ 北朝鮮のミサイル発射
北朝鮮というのはまったく実に奇妙奇天烈な国家だと思います。

ミサイルもポンコツだったみたいだし・・

ひとつだけ間違いなく言えるのは、
北朝鮮の愚挙は、
日本国内の右翼に活動のモチベーションを与え、
NHKの大本営化の手助けとなり、
戦時下日本の危機感を煽りたい人々を生き生きとさせ、
憲法改正論者や軍国日本復活論者に限りない支援を与え、
兵器産業にはとらぬたぬきの算盤をはじかせるということ。

いずれにしても
軍国日本を再生するためには
北朝鮮ほど力強い味方はいないことになりますね。


その3 [no_more_war_13809] Re_北朝鮮のミサイル発射
皆さん。
 北朝鮮のミサイル発射問題について、市川さんや三輪さんのご意見に賛成です。大騒ぎしすぎですね。
 NHKが朝ドラを中止したり、日本海沿岸の県が学校行事を変更したり、職員に緊急招集をかけるなど、開戦前夜の雰囲気を思わせます。
 一番喜んでいるのは、日本の軍国主義的な右翼でしょうね。アメリカも、アメリカの軍事的覇権主義を押し進める口実ができたといって、喜んでいるでしょう。

 私は、北朝鮮は大キライな国ですが、ミサイルの発射は、「自主権」に属するという北朝鮮の言い分は、正しいと思います。
 世界には、ミサイルを持ち、発射した国は、たしか30カ国ほどあると聞きましたが、なぜ北朝鮮だけが、発射してはいけないのでしょうか。

 ただ、北朝鮮の今回の愚挙は、国際民間航空条約に反します。この条約では、海空の安全を保障するために、ミサイルを発射する時期、危険区域を、事前に公表しなければならないことになっています。北朝鮮は、この条約を批准しているにもかかわらず、これを無視しました。

 まったくの想像ですが、北朝鮮では、何か、どえらいことが起こっているような気がします。たとえば、戦前日本での青年将校の反乱以上の軍部台頭とか、金総書記の幽閉とか。
 金総書記は、北朝鮮では、戦前の日本の天皇以上の神がかり的な存在に祭り上げられていますが、また同時に、日本と同じように、軍部の哀れな操り人形になっているのではないでしょうか。

 もし、私が空想小説を書くとすれば、次のようなことを書いて楽しみます。

 「金総書記は、軍部によって、すでに暗殺された。しかし、神様的な金総書記は必要だから、軍部は、姿かたちがそっくりの替え玉を使って、お芝居をさせてきた。○○年、北朝鮮が内部崩壊したとき、この替え玉は、自分は替え玉だといって泣き叫んだが、民衆は、替え玉にも罪があるといって、彼を虐殺し木に吊るした。」 お粗末でした。


その4 [no_more_war_13810] Re_  北朝鮮のミサイル発射
皆さま
カナダから帰国したばかりで ニュースの前後関係が不明ですが 北朝鮮の「ミサイル実験」を日米への攻撃準備のように受け止める市民の姿をNHKテレビで見て 驚きました また 放送局が街角や繁華街でインタービューした数多くのケースからそのような声を選別して放送したことに 「意図的なもの」を強く感じました 

北朝鮮のミサイル実験がどうして強行されたのか その理由はともかくも 仰るとおり「世界最強の」米国と軍事同盟を結んでいる日本を北朝鮮が理由もなしに攻撃するという可能性は 荒唐無稽な空想というほかありません 一般国民が そう想像せざるを得ないように 「追い込んでいる」のでしょうか 日本国民は 北朝鮮が いったい どのような目的で 「日本を攻撃する」のか考えてみる必要があります

余り楽観するのもどうかと思いますが 日本の政府もマスコミも 客観的かつ真実のニュースを流して欲しいと思います


2006-06-18 「社説--比べて読めば面白い」 [JCJふらっしゅ] から

2006-06-18 19:13:00 | 「たかお・サンパウロ」

世界の平和にかかわる最新ニュース、マスメディアのニュースの検証など、市民とジャーナリストを真実の情報でつなぐメールマガジン(転送紹介歓迎)
JCJふらっしゅ] 2006-06-18 1097号 からの転載です。

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Y・記・者・の・「・ニ・ュ・ー・ス・の・検・証・」
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□■国会閉幕 各紙社説はいかに伝え、どう論じたか

 国会が閉幕した。重要法案についての議論が深められず、政府与党は軒並み「継続審議」としたい意向だが、教育基本法改正案や自衛隊の「省」格上げ法案のように、わざと国会終盤に駆け込みで提出された重要法案がある。

 狙いは政府に対する批判の矛先を変えること、そして「法案提出」の実績、痕跡を残しておくことだろう。今後の国内政治関連報道は、小泉首相の訪米、サミット、そして自民党の総裁選にスポットをあてることになるのだろう。従来の紙面づくり、番組づくりからいけば。だが、果たしてそのような他人任せ、政治家にいいように使われる報道で、今後もいいのかどうか。

 新聞各紙が社説でこの国会を振り返っているので、それを紹介しながらいま市民とメディアが考えていくべきポイントを探索・整理しておくことにしよう。


 17日付東京新聞社説のタイトルは
「国会閉幕 忘れ物は総裁選でぜひ」。
1月に召集されたこの国会に私たちは期待したが、中身の乏しい薄味な国会だった、とまして、以下の検証ポイントを提示した。

1 金銭万能の格差社会への傾斜の是非
2 規制緩和と安全・安心との関係
3 郵政公社や高速道路会社の民営化は「改革」と呼べるのか
4 小泉人事の妥当性について
5 米軍再編に伴う日本の負担や同盟のあり方
6 イラクの自衛隊撤収問題
7 こじれるアジア外交
8 国会終盤に駆け込み提出された教育基本法の改正や防衛庁の省昇格

 その上で、「国会終盤に駆け込み提出された教育基本法の改正や防衛庁の省昇格などの法案成立を自民、公明両党が声高に叫んだのは、政権与党に注がれる厳しい視線の先を変えたかったからと取られても、仕方あるまい」と分析している。

 政府与党は、本当はどこを突かれると痛かったのか、本来どこを国会で徹底検証すべきだったのか。政府与党は情報を握って離さず、この政権の5年間といま抱える重要な案件について、市民やメディアと真摯に幅広く議論を深めようとはしなかった。その意味から、東京新聞の「政権与党に注がれる厳しい視線の先を変えたかったから」という指摘は、鋭いところを突いているように思う。

 また同社説は、今後について以下のポイントを挙げる。

A 国民の税で運営される国会、助成金で活動する政党が、国民の関心事に応えないのでは話にならない。とりわけ自民党に反省を求める。

B 次の国会までのほぼ百日間、同党が次の総裁選びへ政争だけに明け暮れするのでは醜い。

C 次期総裁は「改革」を取捨選択する任務も負うはずだ。小泉政治の評価、検証を逃げるようでは、後継争いのスタート台に立つ資格さえ怪しくなる。

D アジア外交について、小泉首相の靖国参拝をどう考えるか、うかがいたい。格差論をどう認識するか、財政再建、日米同盟のあり方でも、小泉手法の是非を語ってほしい。

E 立場上、発言をはばかるなら職を辞せばいいだけのことだ。発言を期待されながら黙り込む人があるとしたら、論外と言わねばならない。


 続いて北海道新聞社説は、
16日付「国会閉会へ*首相が招いた消化不良」、
17日付「自民党総裁選*早くみたい政策の違い」を紹介しておく。

 16日付で、「小泉政権の5年間を、しっかりと検証すべき国会だったのに十分な論議も聞かれず、なんとも締まりのないものとなった」とまとめた。

 その上で、<会期を延長しないことが悪いのではない。会期は決まっており、よほどの事情でもない限り、会期末がくればそこで閉じるのが原則だ。だが、その終わり方が釈然としないのだ。駆け込みのように法案を出しながら、小泉首相は「総合判断」だとか「外交など、閉会してもやるべきことが山積している」と言って、会期延長を拒み続けた>として、国会を消化不良にした首相の責任を指摘する。

 そして、以下3点を提言した。

A 今月から来月にかけて日米首脳会談や主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)が控えるものの、残る時間を無為に過ごすようなら、何も任期いっぱい務めることもない。

B 積み残される教育基本法改正案や国民投票法案、防衛庁の「省」昇格法案などは、いずれも国の基本にかかわるもので慎重な判断や議論が必要だ。首相が交代する以上は継続審議ではなくいったん廃案にし、新しい政権の判断の下で仕切り直すのが筋だ。

C 民主党は対決路線を掲げる以上、国会の場でもっともっと政権を追い詰める姿を見せなければならなかった。


 また17日付社説
「自民党総裁選*早くみたい政策の違い」では、今度の自民党総裁選で問われるのは、「5年余の長期政権となった小泉政治そのものだ」として、「出馬するなら、小泉政治をどう評価し、何を受け継ぐのか、あるいは改めるべきものはどう改めるのか、を示すこと」だと候補者に注文をつけている。

 格差拡大の問題や、首相の靖国神社参拝問題でこじれた中国、韓国との関係をどう立て直すかなど、内政、外交全般にわたり、さまざまな問題点が浮き彫りになっている。それをどのようにしていくのかを候補者は示すべきであり、「候補の調整や合従連衡などで派閥が前面に出たり、劇場型のうわついた総裁選は見たくない」と断じている。これは政党に留まらず、メディアの取り上げ方、報道全般についていえることだろう。


 続いて17日付琉球新報社説「通常国会閉会へ・重要な問題へ議論不十分」をみておこう。まず社説は以下を指摘している。

1 重要法案として提出した法案が自民党総裁選後の臨時国会へ先送りされるなど、 十分な議論の場が確保されたのか

2 在日米軍再編問題についても、「国民へ理解を求める」と繰り返しながら、国会 でどれほど議論が尽くされたのだろうか

3 年金の不正免除問題についても本格的な議論の場に上ったとは言い難い。

4 国の基本にかかわる問題が山積する中で、国会の議論が十分に尽くせなかったこ とは、有権者の負託と信頼を裏切るものだ

 その上で次のように問題提起する。
 教育基本法改正、組織犯罪処罰法改正案・共謀罪、防衛庁の「省昇格」法案など重要問題について、十分な時間をかけた議論が必要な問題であり、その限りでは継続は当然だと考えるが、問題は、提出の仕方だ。会期が残り少ない中で法案を提出し、「あとは後継者で」と言うのではおかしな話だ。そうであるならば廃案にし、あらためて国会へ提出。その考え方を示すべきだろう。


 続いて全国紙――毎日新聞、朝日新聞、読売新聞の順にみておこう。

 16日付毎日新聞社説のタイトルは
 「国会閉会へ 失われた150日の責任は…」だった。

1 何もかもが中途半端に終わった150日間といっていいだろう。

2 衆院で与党が3分の2以上を占める中、始まった国会の当初のテーマは、ライブドア事件や耐震データ偽造事件など、小泉政治の「影」というべき4点セットだった。

3 追及する側の民主党がメール問題で自滅。以後、国会は開店休業状態に陥った。

4 民主党は小沢一郎代表が就任し、体制を立て直したが国会論戦は二の次だった印 象がある。

5 教育基本法改正案にせよ、国民投票法案にせよ、首相自身に熱意がなかった。

6 首相の最大関心事だった郵政民営化が実現した昨秋の時点で、既に小泉政権の目 標自体がなくなっていた。

7 「失われた150日間」を招いた最大の責任は小泉首相にあった。

8 与党も数をたのんで強引に採決に踏み切れなかったのは、いずれの法案も緊急性 に乏しく、国民に胸を張って成果を強調できるものではないと感じているからだろう。

9 例えば教育基本法改正は、改正されれば本当に教育はよくなると言えるのか。腰 が据わっているように思えない。

10 「ポスト小泉」に誰がなろうと、首相交代を機に、もう一度法案の必要性を吟 味し直すのも一案である。

 前述した東京新聞、北海道新聞、琉球新報と比較するとソフトな論調ではあるが、(1)教育基本法改正は、改正されれば本当に教育はよくなると言えるのか、(2)首相交代を機に、もう一度法案の必要性を吟味し直すのも一案、との提起は意味がある。

 

 朝日新聞は15日付社説で
 「国会閉幕へ 拍子抜けの150日間」を掲げた。

1 政府予算は早々と成立し、それ以降の後半国会は「空白国会」と呼びたくなるほど盛り上がりを欠いた。巨大議席数のパワーの見せどころではないのかと、与党内には不満もくすぶっている。

2 首相は、この国会では5年間の改革路線でやり残したことや政策の方向を次の政権にきっちり引き継げればそれでいい、と思い定めていたふしがある。行政改革推進法を成立させ、国家公務員の削減などの数値目標や枠組みを確定させると同時に、7月にまとめる最後の「骨太の方針」で今後の財政運営などの基本方向を定める。

3 あとは米国訪問と主要国首脳会議(サミット)で外交を締めくくり、長期政権の花道を飾りたい――。 小泉商店の店じまいの時期という位置づけなのだろう。

4 与党の強い要請で教育基本法改正案などの国会提出までは受け入れたが、本格的な取り組みは次の政権に委ねた。「本来、与党と野党第1党が対立すべき法案ではない」という首相の指摘は正しい。なんとも潔い態度だが、店じまい優先のあらわれでもあるだろう。

5 「空白国会」は野党第1党の民主党の責任も極めて大きい。追及が本格化する矢先に、偽メール騒動でつまずいた。会期半ばで前原執行部が交代を余儀なくされ、自らの態勢の立て直しに追われた。

6 小沢新執行部は、対決路線を掲げるものの、米軍再編をめぐっても、本来、責任を負うべき首相に迫りきれないまま終わってしまった。


 この社説のトーンは、国会の揶揄、自民・民主両党への風刺においているのか、米軍再編をめぐる民主党の追及の甘さに言及しているものの、朝日新聞として国会のありように主体的に迫ろうとする姿勢が伝わってこないのが残念だ。また教育基本法改正案などについて、<「本来、与党と野党第1党が対立すべき法案ではない」という首相の指摘は正しい>とする議論は、自民党の改憲強硬派を突出させてはいけないとする論法なのだろうが、その分、そのスタンスからは、現在の政治の問題点をきちんと読者に伝えられないという、日本の大手メディアに共通してはびこる提起の弱さを感じる。

 

 読売新聞は15日付社説
「[重要法案先送り]「『国のかたち』に政略はなじまない」
で、重要法案の軒並み先送りを残念がっている。

1 今国会は、教育や国防など国の基本政策に関する法案が数多く提出された。

2 教育基本法改正案は、1947年の法制定以来初めて、国会審議の舞台に乗った。

3 国民投票法案は、60年近く続く立法府の不作為に終止符を打つものだ。この法律なしには、憲法改正という最も重要な国民主権は行使できない。

4 政府が防衛「省」昇格法案を国会提出したのも初めてだ。

5 小泉首相の、後継首相に重い「宿題」を残す姿勢には、首をかしげざるを得ない。

6 民主党が、教育基本法改正案と国民投票法案で対案を作り国会に提出しことで、改正論議は建設的なものとなったが、対案の提示も、政府案の審議や採決を阻む目的なら、旧社会党が常套(じょうとう)手段とした「反対のための反対」と変わらない。

7 「国のかたち」の法案を早期成立に導いてこそ、責任政党としての存在感が増す というものだ。民主党は政略に走るべきではない。


 この社説のいわんとするところは、民主党が政権党をめざすならば、自民党と協力できるところは協力すべきだということだろう。それでこそ大人の党として有権者に認めてもらえるわけで、そういう姿勢でいればいつか政権のお鉢が回ってくるものだよ、という野党戒めのトーンで貫かれている。

 このいい回しは、無用な争いを好まぬ社会にむかってのメッセージとしては聞こえがよいが、日本社会は日常的には無用な争いをさけ、「和」をもって尊しとする精神文化の環境は消え去ってはいないだろうが、その一方で江戸中期から後期にかけてはびこった「一揆」のように、申し合わせの一線を超えて「和」を乱すお上の行為には断固としてたたかうという精神風土も存続しているように思う。いや、いずれもが人間と人間社会がともに所持していてしかるべき性格といったほうがわかりやすいだろう。

 端的に言って、この読売流社説に代表される旧社会党の「反対のための反対」批判は、政治的なプロパガンダである。現代において、偏ったイデオロギーとして認識されるべき言動であろう。これについて詳細に論じ始めるのは避けるとして、その「批判」がもつ世論誘導のねらい、民主主義社会において大部数を維持する新聞がその手の論調を堅持すること自体の社会的意味と影響力については、小泉政権の5年間を振り返り、検証する意味でも避けてとおれない問題を内包しているように思う。

 反対のための反対を止め、対案を出し合って、建設的な議論をというのは小学生にもわかる理屈である。それは議論を主導する側から提示される「テーマ」自体に疑念を挟み込む必要がない場合にいえるわけだが、その正当性をめぐって議論が分かれるようなテーマの場合は、単純にそう言い切ることは危険でさえある。

 また、政府・与党の進行に対案を出して議論に参加するのが正しく、廃案を求めるような野党は、政権をめざす政党として不適格といわんばかりの論は、野党に対して「自民党の自壊を待て」といっているに等しい。自民党が崩壊しない限り、政権党を維持存続させるのが野党のつとめであり、それが民主主義だと主張するに等しいのである。

 

 私は大手新聞の、こうした誤った「改革者気取り」「正しい批判勢力気取り」の論説の体質は、日本の民主主義の健全な発展を阻害し、ゆがめてきたのではないかと感じている。ジャーナリズムがそのとき言うべきことを言わず、政権にこびる姿勢を糊塗するために先回りして生ぬるいと叱咤する。それは国会の論戦や政治家の言動も含めて、日本の言論の質を後退させ、停滞させる効果を果たしているのではないだろうか。

 現代のジャーナリズムが担うべき建設的な政治批判とは、政権をなまぬるいとか、もっとがんばれなどと叱咤することではなく、政権の判断が日本国憲法に照らしてどうなのか、人々の命と生活と人権を大切にする観点からみてどうなのか、世界を平和に導いていこうとする立場からどうなのか、という点にある。

 それは独りよがりの正義漢気取りでは済まない。大手新聞に蔓延する「事なかれ主義」「与党側に立った調停主義」「客観報道に名を借りた妙な評論家気取り」の論説こそ、市民の政治的関心の高まりを抑圧し、阻害し、日本の市民社会から言論の自由と独自性と個性尊重の芽を摘み取ってきたものではないだろうか。それは未だに続いており、より問題が深刻化している。

 日本の国のかたち、進むべき道が「戦争か平和か」を問う法案を政府与党が提出しているにもかかわらず、政権の側に立つなら立つでその本質を提起すべきであるのに、それには手を染めようとしない。そうした新聞の立場からは、いかなる重要法案も行政事務的な色彩をもってその意義が語られ、法案の社会的、政治的意義や意味を深めて語ることは避けてとおる。野党を「批判のための批判」勢力としてけん制するだけの論説は、そうした文脈から市民によって、また競合するメディアによって見直される必要があるように思う。

 ブロードバンド社会、ブログ社会の到来によって、情報の広範な普及・共有の時代が訪れ、それを基盤とした物言う人々の飛躍的増大と、市民記者勃興時代もその序章期を迎えようとしている。その時代に、マスメディアは公正、平和、命、人権にこだわった言論活動をリードすべきである。

 人の命や生活や人権をないがしろにし、戦争を奨励するようなマスメディアがこだわるのは自分の会社の生き残りだけだろう。メディア企業における企業の論理の突出、言論報道機関としての自覚をかなぐり捨てたプレスの姿勢は、そのまま社会を構成する市民個々の人格と社会集団をつなぐ力を削ぎ、弱肉強食を奨励し、強者への同調と迎合を促す社会風潮の促進につながっているのではないか。

 これは読売新聞の論説に留まらない。新聞に留まらない。記者が情報に振り回され、取材対象を追いかけることに汲々としたり、不正や犯罪に手を染めたりする状況、政治報道が永田町内部の構造や勢力争いに傾斜しがちの現状、記者が内部からの自己発展を期すことができずにいるような閉塞した社内状況が依然として広がっているのだとすれば、それはマスメディアの行く末を内側から強烈に警告するサインにほかならない。

 そうしたメディア企業の内実を克服しない限り、政治の劇場化、政治家のキャラクター化、テーマや論争のゲーム化、エンタテイメント化はおさまらないのかもしれない。情報の受け手だけでなく、送り手側にとって深刻かつ重要な課題である。


東京新聞17日付社説 国会閉幕 忘れ物は総裁選でぜひ
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060617/col_____sha_____003.shtml

北海道新聞16日付社説 国会閉会へ*首相が招いた消化不良
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?
&d=20060616&j=0032&k=200606167177
北海道新聞17日付社説 自民党総裁選*早くみたい政策の違い
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20060617&j=0032&k=200606177461

琉球新報17日付社説 通常国会閉会へ・重要な問題へ議論不十分
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-14575-storytopic-11.html

毎日新聞16日付社説 国会閉会へ 失われた150日の責任は…
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060616ddm005070026000c.html

朝日新聞15日付社説 国会閉幕へ 拍子抜けの150日間
http://www.asahi.com/paper/editorial20060615.html#syasetu1

読売新聞15日付社説 [重要法案先送り]「『国のかたち』に政略はなじまない」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060614ig90.htm

 

 


2006-06-18 「blog TAKAO-SP」 を開きました

2006-06-18 04:21:02 | 「たかお・サンパウロ」

4日前に「blog たかお・サンパウロ」を開きました。しかし blog を使うのは初めてなので、「blog用語」のいろはから、作り方や作った後の使い方の説明をいちいち確認しながら作っています。

作りながら、blog相互でリンクし合う機能があって、その確認をしてみるためにもう一つ自分の blog を開設することにしました。 ある程度 blog のことが分かったら、二つの blog にそれぞれの「はたらき」を振り分けて、併行して使っていこうかと思います。当面は、双方ともテスト段階として続けます。

ホームページ「たかお・サンパウロ」の雑記帖に開設案内を書きました。