5年目

あの頃の事を思い出すと、まだぼやーっと霧がかかったようになります。

今より家賃が倍以上する広い部屋。
液晶テレビからはとんでもない光景。
メトロで出会ったあの娘。
使われなかった猫用のゲージ。
今は実家で母が寝ているベッド。

毎日、死にたいと考えていた。
母は飛んで来て、あなたは音楽を続けなさい。
だから死んではいけません。
そう僕に強く言った。

日曜日の午後、君がオムライスを作る。
寝坊した僕は洗濯の準備をする。

あれから僕は音楽を続けていて、こうやって生きている。
おかげ様で仕事場の仲間には毎日楽しい思いをさせて貰っている。
音楽で出会った友達にも。

少しでも誰かが優しい気持ちになれるような、ちょっと笑って、ちょっとだけ気分が軽くなるような、そんなライブをしたいし、そんな人間で居たいと思う。

今日、少しでも良い一日でありますよう。
そして、そんな毎日がなるべく沢山あるようにと思います。