＜大ヒット盤＞水曜日のカンパネラ『SUPERMAN』 坂本龍馬やチンギス・ハンをネタにして
水曜日のカンパネラ『SUPERMAN』
女性ボーカルのコムアイを表に出して活動する音楽ユニットのメジャー1stアルバム。
全10曲のパターンはほぼ同じ。『坂本龍馬』など歴史上や伝説の人物をテーマとしつつ身近な問題にすり替えた歌詞を、ハウスやテクノに乗せて、コムアイが裏声で流麗に歌い、地声でキレのあるラップをする。“2曲目に王道ポップス、ラストに泣きのバラード”なんて予定調和が無い分、意外と平坦に聞こえるかも。
しかし、聴きこむと余りの多重構造に驚く。例えば、『チンギス・ハン』では「生まれは蒙古」→「ジンギスカン定食がイチ押し」→「お店が繁盛」→「他への出店や通販も」といった物語が、4つ打ちのリズムに乗って次々に展開するのだ。まるで“脳トレ”気分にもなれるし、時々脱線する昭和歌謡やゲームのネタを見つけても楽しめる。単純に、中毒性の高いサビを何度も口ずさむのもいい。これぞエンタテイナーの作品だ。
広げてビックリのジャケット全像や、幾何学模様に綴られた歌詞カードも手が込んでいる。本作から、人をワクワクさせる為の工夫は無限にあることに気づくはず。
（ワーナー・3000円＋税）＝臼井孝