浮かれた株式相場が払うことになる巨額のツケ
アメリカでは、引き続き「楽観に過ぎる相場」が続いている。アナリストの平均値では、2019年1~3月期の主要企業の1株当たり利益は、前年比で減益との予想が有力だ。
■当初の決算発表の勢いだけで膨らんだ楽観論は「脆い」
ところが、たまたま決算内容がよい企業の発表が先行した(これは偶然先行したに過ぎない)。そのため、市場では「アナリストの見通し数値は慎重すぎるのではないか」といった「勝手な楽観のレッテル貼り」が優勢となり、株価指数は堅調な推移をたどった。S&P500やナスダック総合指数は史上最高値を更新し、NYダウ平均も最高値に肉薄している。
しかし、そうした当初の決算発表の勢いだけで膨らんだ楽観論は、それだけに脆い。キャタピラー、3M、インテルなど、期待を裏切る実績(キャタピラーは全体の利益ではなく、中国向けビジネスの想定以上の不振)や自社の収益見通し(インテル)の公表が、当該銘柄の株価だけではなく、株価指数全体を大きく下振れさせるような局面も、先週はしばしばみられた。
とは言っても、そうしたアメリカの企業の収益に対する「正しい」警戒による「正しい」株価指数の下振れは、今のところは長続きせず、株価指数はそのたびごとにザラ場(日中値)安値から切り返してきた。
この株価の堅調推移の背景として、いくつか誤った解説がみられる。たとえば4月26日(金)の株価持ち直しの理由として、当日発表された1~3月期の実質経済成長率(実質GDPの前期比年率)が3.2%増と、2018年10~12月期の2.2%から伸びを高め、事前予想の2.0%増を上回ったことを好感したからだ、という報道が目に付く。
ところが、同日は午前8時半(現地時間)にGDPが発表されたが、寄付きからしばらくは、前述の「インテルショック」で株価指数は下振れした。GDPについても、「在庫投資がGDPを押し上げた度合い(寄与度)が前期から拡大している」、つまり「それなりに生産高は膨らんだが、売れずに在庫に積み上がった度合いが大きくなっている、これはそれほど景気が良いと言える内容ではない」、との慎重な評価が優勢だった。株価指数が上振れを強めたのは、午後に入ってからなので、GDPの数値が株価を押し上げたとは理解しがたい。
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最終更新:4/30(火) 5:30 東洋経済オンライン
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