K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

ソンエリュミエール、そして叡智

2012年10月31日 | 美術
久しぶりに美術の更新~
最近美術館行ってないからなー・・・

先月になりますが、念願の金沢21世紀美術館に行って参りました。
「ソンエリュミエール、そして叡智 / Son et Lumière, et sagesse profonde」

Sonとは音、Lumièreは光。
双方とも、日常的に触れてはいるものですが、人工の音や光って、文明の発展を象徴しているような側面がありますよね。

概要はこちら。
「近代市民社会は経済発展及び科学技術により豊かさと自由を獲得してきたかにみえる。情報化社会において迅速さ快適さ手軽さが幸福であり、有益な価値であると見なされてきた。しかし同時に、その利益を追求するために人間生活はますます管理されることになった。つまり、自分が属する社会の制度と権力 に支配されているということである。2011年3月の東日本大震災と福島での原子力発電所事故は、安全と幸福と自由という社会の基盤を根底から覆した。人間の自由を実現するための民主主義社会が選びとってきた経済システムや社会システムは、今や人間社会の継続を脅かすものとなってしまった。」

また震災絡めたのか~・・・
とも思いつつ、でも最近はちょっと絡めることに理解は示せるようになってきました。
やっぱり戦後芸術とかも、同じような感覚だと思うんですよね。
第二次世界大戦の芸術に対する影響力は計り知れなかった。
「戦争と映画」というトピックで学問が成り立つほどの影響力はあったわけです。
多くの作家が原爆体験を映画として記録しようとしていたっていうのを、最近卒論を進めていく中で学びました。
実際、卒論の中心的対象の勅使河原も、表現したいことの原風景に原爆体験というものを挙げていましたし。

震災もそれと似ているような気がしますね。
園子恩監督とかも、「ヒミズ」に続いて「希望の国」という震災を扱った映画を撮るようですし。
イギリスのリドリー・スコット監督の「JAPAN IN A DAY」なんかも公開されますし。これなんかはもう完全にドキュメンタリー。
でも、その「現実」の質感ってやつが、記録映画の本質なんですよね。
ただ、従来の記録映画理念とはちょっと違うか・・・監督の主体的な映像がない。
素人の映像を監督の主体性ある編集で、芸術化していくプロット。
記録映画の理念を言語化するのが最近は難しすぎて、卒論が停滞気味です。

まあ、そんなことはさておき。
この展示、最新のアートシーンをさらえる良い展示だったと思います。

村上隆、Chim↑Pom、奈良美智、デイヴィッド・ヴァイス、草間彌生、ゲルハルト・リヒターなどなど。
有名な人が沢山・・・!!


でも一番心に残ったのはあんまり知らない人だった。
作品名と作家の名前が思い出せない・・・

坂に黒い丸が描いてあるだけの作品なんですけど。
第6感が刺激されたのはこの作品だけでしたね。
得体のしれない大きな黒い丸。
穴のようでもあるし、単純な黒丸のような気もする。
その黒い丸に吸いこまれそうな感覚に陥りながらただぼーっと立ってました。
変な重力のある作品。
インスタレーションの醍醐味ですな。。

パンフ見ても、その作品があった部屋には展示がないことになってるし・・・
よくわからんな・・・ホラーですか。

こういう大きすぎて第6感が刺激される感じというのは。
大規模なインスタレーションはもちろんなんですけど。
その起源は割とロスコのカラー・フィールド・ペインティングにありそうです。
ロスコとかバーネット・ニューマンとか・・・
それぞれ表現したいものは、場の雰囲気であったり、始原であったりと異なるとは思いますが。
でも、刺激される部分は同じ部位な気がするんですよねー。

しかしだな。
以前スカイツリーを真下から見上げたとき。
あまりの巨大さにやはり第6感に刺激を受けたような気が、する。
多分、これは大規模なインスタレーションと同じ感覚なのだろうなー。

背筋がぞおーってなる感覚。

別にアート作品じゃなくてもいいというこの不思議。

芸術と脳科学、という本が確かあったと思いますけど。
案外、的を射た研究なのかもしれません・・・
最初は、脳科学で判明したらすべての思想的学問が危機にひんしてしまう気がして、否定的でした。

どういう種類のアートには脳のどういう部位が反応するか、という実験もなされているようで。
風景画や肖像画、静物画なんかで、脳が刺激される部位は違うようです。
風景と人と静物を観るとき、人間の脳が刺激される部分は違うんですかね?
だとしたら、絵画が現実の窓口になってしまうなー。
写真でいいじゃんかなー。

だから芸術に純粋なるものを多くの画家たちは追求してきたのかもしれないですね。

あー、話がそれましたが。

あと、最強にかわいい作品があったので取り上げますね。


奈良美智さんの「Fountain of Life」という作品です。
生命の泉・・・なんて厨二臭のするタイトルなんだ・・・



かわえええええええええ!!!
これなんぞー!!!!!

かわいすぎて、もう、ね。
どうしようかと。欲しいです。
この子たちの顔から涙が出てて、その涙が下にたまって泉になっている作品なんですけど。

か わ い い !

涙が生命の泉なんですね。
感情的にも?
涙を流す動物って限られてると思いますけど・・・
感情性は欠如なのかしら。


そして、21世紀美術館と言えばこれ。



レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」
上から見ると人がプールの中で立っているように見えるというもの。

面白い試みです。なんとまあ科学的な作品。
ハコの上にガラス乗せて水を浮かべただけなのに!
これぞクリエイティブな発想力というべきか・・・
身近なものでアート作品を作ることができる。
アーティストをアーティストたらしめているのは表面的な技術だけじゃないんですね~。

クリエイティブな中身こそがアーティストたる所以なのですね。


他にも美術館の周りには沢山のパブリック・アートがあって。
楽しむには非常に良い美術館でした。

家族や友達と行きたくなるような美術館ですね。
ハコ型美術館とは一線を画す次世代の美術館です。

近くに行った際には是非お立ち寄りください。


hona-☆

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