お誕生日おめでとう

沖縄から
おめでとう…

大晦日

別れは、いつかやってくるもの…

施設への帰りの時間が刻一刻と迫ってきた。
あたしだけが切ないのかと思った。

それは、母も同じだったのかもしれない…

外泊許可は、14:00までに施設に戻ることに…

13:20
荷物をまとめ兄の車に入れた。
母の元に行き母を見ると母の目に涙が…
兄に母が泣いているー！と叫けぶ
兄が飛んで来ると同時に
母が大きな目を開けた！
次の瞬間 呼吸が荒くなる。
兄と母を抱き抱えて落ち着いて！落ち着いて大丈夫だよ。大丈夫だよ。
肩をトントンとたたく
急いで施設に電話

落ち着いて連れて来るように言われた。

もう兄とあたしじゃ無理！
友達夫婦に来てもらう
4人で母を車に乗せて施設に向かった。

見慣れた景色を母に話しながら、あたしが落ち着かないと…
もう少しだよ。
あと少しだよ。

玄関で待ち構えてくれていたスタッフ
母の呼吸は、弱々しい
でも しっかり呼吸をしている
スタッフが、母におうちに行けて良かったですねと声をかけてくれる。

母の部屋へ、ベッドに寝かせて
看護師が体温を測る37.7°C
血圧を測るが測定不可能
首の頸動脈辺りを触る
母の舌が紫色に変わる
大きな男性看護師の目から涙がポロポロと落ちた。
兄とあたしで母に飛びついた
……………………

施設長でもあるドクターが走って来た。
ライトを目に当てた
聴診器で胸の音を聴いた

14時0分ご臨終です…

14:00って？
母が死んだの？
母が？母は？
施設のスタッフが泣きながら荷物をまとめ始めた。

施設長から母のこの15年の病気について説明があった。
死因は脳梗塞
7回目の脳梗塞に母は、降参した。

そのあと医師から 驚くべき話があった。
その話は、また…

１２月３１日大晦日 最愛の母が亡くなりました。

あと１０時間

やっと会えたのに
一緒に居られたのに
帰りの時間があと…

またね…
またね…なんてないのに

嫌だなあ
もっとずっと こうしていちゃだめなの？
一緒にいたい…

あっと言う間に 約束の二泊
ここは、母の想いがいっぱいの母の家なのに…
何事もなく 母は、スヤスヤとスヤスヤと…
帰りたかった家だとわかっているのかな？

母の寝息をずっと聞いていた2日間でした。
寝息が母の生きているの合図
時々懐かしい母のため息の声
起きたらいいのに…
また あたしのこと うるさい程呼んでよ

あと１０時間

30分置きに、乾いた口元にお水やお茶や母の好きだった味をあれこれ染み込ませてガーゼて潤す。
パクパクと口を動かしてくれるとうれしくてやり過ぎてしまう。
ずっとこうしていたい
母の時間に全てを投げ とことん付き合ってあげたい。
どうすればいいの
どうしたらいいの

あたしは、どうしたいの

何にも無いような…

自分のベッドでホントよく寝ています。
気持ち良さそうな母の寝息を聞きながら
お洗濯物をたたんだり、アイロン当てをしたり
お正月のお飾りも済みました。

穏やか年の瀬です。
まるで何にも無いような…
午後のお昼寝みたい…
このままならいいのに…
あと二つ寝るとお正月だよ

ねこたちも母のベッドのそばで一緒に
あたしも少し寝ようかな…

最後のわがまま

母を家に連れて帰りました。
意識は、ありません。
でも昏睡もしていないので、許可が出ました。
あたしのわがままを聞き入れてくれ協力して下さった方々に感謝です。

家族間でも温度差がありました。
あたしは、家に連れて帰りたい。
病院に入院した方が良いのではないか。
施設にいた方が良いのではないか。

今まで、一番近くで母を看ていたあたしの好きにしていいと、兄が折れてくれました。

いつも優しい兄が、声を荒げ 本当にそれでいいのか！
そう言われました。

うん…

わかった。そうしょう。

施設で、朝お風呂に入れてもらい、点滴を一本、そしてたくさんの方々の手を借りて兄の車に乗せてもらいました。

昨日は、小学校からの友達が駆けつけてくれました。
母のお友達、親戚、デイサービスの職員さんも飛んで来てあれこれお手伝いをしてくれました。

母の枕元は、懐かしい声でいっぱいになりました。

母の口元に何度も笑みを見ました。

口から食べ物、飲み物が入らなくなり一週間が過ぎました。
昨日午後から点滴もしていません。
ぺったんこのお腹になりました。
ちゃんと、しっかり呼吸をしています。

大丈夫
大丈夫だよ。
あたしがいるからね。