goo blog サービス終了のお知らせ 

風を泳ぐ -2-

■詩詠-ウタヨミ-
■SwimTheWind Part2
【By s/yumic.】

2017-12-13 | 詩詠-ウタヨミ-
冬の空気に
軒先が凍るように
寒風が吹く
小さなアパートの
重いドアの向こうが
小さな台所

結露する窓ガラスに
ヤカンで沸かせる湯気がのびていく

言いたくなる

「コーヒー淹れておいて」


湯気を眺めてしばし

あの頃の朝
あなたと笑った夜のことを
からかった
あなたとの朝を
また
思い出す

「今朝は
スプレモにしよう」

呟く小さな部屋で
小さく暮らす
新しい朝

s/yumicFrom2005

手紙 2017年 秋に

2017-10-13 | 詩詠-ウタヨミ-
めっきり秋が深まって
世情は冷んやり凍りそう
お元気ですか
ご家族も
君が笑顔なら
嬉しいよ

この間から探してて
まだ見つからないコレクション
十代の時に出くわした
19のままのrock’n roller
あんなに必死に集めてた
音源CDたちのハコ
どこかに隠れてしまったよ

聴き直したくなるなんて
思っていなくて油断した
あの頃の心純情で
彼の歌さえ信じていれば
世界は平和になるんだと
根っこのないこと
信じてた

私や君が住んでいる
この国の罪が増えていく
何とか自由を守ろうと
小さい窓から叫んだり
オマエハオワリ!と
タイプするだけの
なんてちっぽけなレジスタンス

彼が歌っている憂の場所は
私たちが棲む
この国だ
アジアの片隅のこの国だ

あの頃のように無邪気には
平和が大事と言えなくて
重たくなった人生ひっさげ
オマエにゃ触らせるもんかって
必死に叫び続けてる

のさばる奴等の
失墜のように
墜落するヘリの燃える場所
手を繋ぐ為に飛びたくて
その地に降りたち
隣り合っても
奴等は彼の歌うように
隣り合うことを奪い去る

ねぇ
あの頃から時間が経っても
一緒に聴いてた
彼の歌の真実
忘れていないと言って良いかい

別の道歩いて
別の場所についた
時間の流れはあるけれど

笑わないでいてくれるかい
“Do the right thing!”と叫ぶ
私のことを
見守っていてくれるかい


s/yumic.From2005

露草

2017-09-08 | 詩詠-ウタヨミ-
昨日雨の街に出た。
雨の中バスに乗って。

車窓から見える風景に
うちの近所のパーキングの
コンクリートのズレた場所から
今ぞ、と咲く露草はない。

街の表に見えるのは
和装の幻想。
裏側に行けば
御約束。
和装は見事に襦袢になろう。

路地の片隅
コインパーキングの隅に咲く
露草。

濡れている花弁
色は青。


誰も泣いていませんように。
誰も嘘をつきませんように。
本当のことで暮らせますように。

露草の地図が
囲む場所では
不幸せなことを
きり、と、爆ぜさせなさいませ。

s/yumicFrom2005
(satsukilala)


息を飲んで口ごもる

2017-06-11 | 詩詠-ウタヨミ-
‪戦え共に、と言うのを口ごもる。
身体的、精神的に困難を抱えていたり、
暴力から子供連れで隠れている人、
何某組織所属で
一定の情報量を精査しながら....
みたいな所で蹴散らされた人、
依存症を抱え込んでいる人、
今日のアテンダントの予定が
変更になったかも知れない
車椅子ユーザー、
手話者、
高齢者、
「東京からみて、地方」の人たち。
エネルギーや資金繰り辛さから
守られていない人は、
少し路地を入ったところに
居場所を見つけて、
息をしている。‬

その背中に、何が言えよう。
このわたしがーーー。

s/yumic.From2005