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風を泳ぐ -2-

■詩詠-ウタヨミ-
■SwimTheWind Part2
【By s/yumic.】

信頼への行進

2018-02-21 | 詩詠-ウタヨミ-
わたしが欲しいものは
本当の信頼
愛や思いやりの込められた美しいもの
今どこにあるか分からなくても
大丈夫だと思える拠りどころ

駆け引きのない温もり

多分
赤子の眠りのような

育ててもらい
生きることを覚え
命の果てを目指し
一歩ずつ歩む

隣で感じ続けている鼓動は
似たような歩幅で歩む友の
心を痛めながらの闘いの汗を伝える

わたしは
わたしの中で響く信頼への兆しを
優しく辿り
優しく辿り
友の翼を磨こう

わたしが欲しいものは信頼
正しさでもなく
間違いでもない
揺るぎない信頼

報いを待つ
醜い心であっても
隣にいて良い
何も心配するなという証

性も欲も交わらぬ
揺るぎない信頼

探し続けている時こそ人生
迷い続けているのだけが分かる孤独を
泣きながら
許されながら
一歩ずつ歩む

空を仰げば
翼ある友からの風

飛べよ

ここだよ

羽ばたきの音で伝えている

わたしたちは
明ける朝を失くしても
あともう少し
あともう少し歩めば
共に微笑む場所へ飛べる翼を
得られると予感し

置き去りにできない
心の荷物を背負いながら
闇を畏れながら
薫り高く
輝きまばゆい
真実を追いかけ続ける

わたしたちは
いつか
この闇を砕く
礎になる信頼を手にして

s/yumic.From2005



女唄

2018-02-01 | 詩詠-ウタヨミ-
覚えているよ
最初の息。

忘れていない
つんざく声。

最初の息は泣き声だった。
忘れることはありえない。

産声
歓喜
産室の匂い。
何十年も経ったのだ。
暦をちぎりながら今。

授乳も出来ずに失った
この胸のささやかな膨らみは
病と傷を印すのみ。

昔、かすかに見えていた、
母親への道、
消え去った。
ただそれだけのことなのに。

あたしの胸への縁取りが、
あたしの形を認めない。
「女でない」と
つま弾く。
子のない女は尚更に。
あたしを勝手に縁取るな。



ここに言い置く。
忘れぬように。

何が女かを
決めるのは
あたし自身より他にない。
あたしが
あたしという女。
あたしは真実女である。

己の名乗りに嘘はない。

名を騙るものに悉くある
妬み嫉みの不気味さは
「女」と「母」への畏怖である。
泣いて生まれてきた者の。

とどのつまりを語ろうか。

子を生み育てる機も逸し
小さき命の患う女が
見抜いてしまうホンモノを。
あたしがあたしでいられる場か否か
基準は他人に譲られぬ。

胸と肝から溢るる言の葉
あたしに残る
真紅の花を
その形のままに取り囲む。

香れ真実、この寒風に。
結ばれるための命たれ。
お前の命は
道しるべ。
誰への貢物でもない。

生きよ
命の人生を。
横取る悪意こそが戦。
守れ
命の喜びを。
肌温もりを愛にせよ。

s/yumic.From2005

loop

2017-12-17 | 詩詠-ウタヨミ-
君たちほんとにeasy
働いてる俺
職場探す俺
政治語る俺
現場行く俺

カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネェェ

イクメンパパ俺
料理得意俺
洗濯にはこだわりがある俺
片付けは任せ俺

カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネェェ

俺フェミ尊重
俺ダイバーシティは分かる気がする
俺結構声かけられるよ
ギョーカイの人にモテるのかな俺

カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネェェ

生き様見てくれ
この汗見てくれ
このコール叫ぶぜ
この曲歌うぜ
俺はやるんだ
世界相手に
やってやるんだ拳ためて

カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
カッコイイネ
エエエエエエ

その後ろの方と
随分と前に
同じことをした女たちは居る
競争じゃなく
繋がり摑むため
名前など捨てて
縷々語りながら
カッコつけてられないことがある
自分が嫌いになるほどに

ミルクの時間遅れてごめんね
今日の食事はレトルトごめんね
洗濯物シワだらけになったごめんね
明日でいいかなこのシャツはごめんね
なんかごめんね
要領悪くて
なんかごめんね

カッコ悪いまま
こういうの着て生きてきたよ
カッコ悪いまま生きてきたよ
君が本当に羨ましいよ
何家事やっても
カッコイイんだから
so easy to be good man

あたしに珈琲淹れてくれないかな
そしたらみんな
大目に見ようか

延々続く人生と生活
出来て当たり前なんですよ生きるために

家事に子育てにセックスの相手
ふりして終わっていいですか
気になる明日の会議のレジュメ
多分大丈夫多分大丈夫多分大丈夫……
(もう眠いの)

easy boys
わかんないでしょ
あたしの汗は
多分わかんない
あたしのナミダも
多分わかんない

透明人間透明人間
透明人間透明人間

褒められなくても
食事作るから
あと五ー六分待っててねって
あたし
笑顔で
言えるかな

あたし
笑顔で
言えるかな言えなくていいかな
迷う迷う迷う迷う
「君が居るところが分かんないから。」

s/yumic.From2005

刀持ちて

2017-12-16 | 詩詠-ウタヨミ-

問いの立て方がなっていないのだよ
きっと
刀持ちて
切り裂いても
続く闇の深さ
それはお前の夢

夢うつつ飛び交う蜉蝣

響く札束の音
ビットコインは山のなだれ

賭けに勝ちたい奴らばかりで
道という道全てが賭場

ト書き(倒れる。俯けに。)

“刀を形にいれる侍のごとく“

“立ちくらんで目についたは
白塗りの
白粉匂う
廓おんなの
後れ毛”

いっそ海が無ければ
本物の繋がりが見えたか
大陸や諸島との流血は消せたか

愛も思想も心情も
平安の流れから
下克上孕んでました

今死んでしまうのは
辻切りに遭うこと

刀を
己の矜持を
捨ててしまうより
俯け

呆けた顔を
まなこに映すな
耳にかざすな

s/yumic.From2005

「命どぅ宝」

2017-12-13 | 詩詠-ウタヨミ-
オキナワで

親愛なる友人達から

まっすぐな眼差しで

問われる。

オキナワは、日本か、と。

ミサイルこそ落ちてこないが、

軍事基地から飛び立つ

誇り高きアメリカ軍軍人が操縦する

航空機やヘリやオスプレイの

不具合部分が落ちてくる日々が

こんなにも続けば、

どんなに伝統文化が素晴らしくて

どんなに現代文化が融合しようとしても、

友人達からの問いは、

わたしに迫る。

鮮やかな南国のコマーシャルは流れても、

オキナワが被る鉄の暴風雨の歴史どころか
Yナンバーの話すら語られない。

日本は未だに沖縄の全てに無頓着が
ゆるされ
癒しの島の顔を求められる。

その反対側で「命どぅ宝」の意味は

年々深くなる。

オキナワの人々は癒されない。

日本かオキナワかという問いが消え、
日本も沖縄も平和になったと言える日を、
待ち望みながら、
新しい戦さ場の入口を塞ごうと、
そのアスファルトに座り込み、
人権のかけらも重んじられない、
若い機動隊員に、
「けがれる」と言われながら。

「命どぅ宝」とオキナワは叫び続ける。

友達とまっすぐ視線を交わせる日まで。

s/yumicFrom2005