ベルばら／三が日SS《おまけSS サウダージ３》完
〈2019年7月14日にヤプログにUPしたSSです〉
サウダージおまけSSです。
ちょうど西暦も合ったので本日UPすることにしましたが、三が日のSSがこんなギャグ路線で良いのでしょ～かと自分にツッコミたくなりますけれど。
ジェロ好きな白鳥ですので…スミマセン;^_^A
◇◇◇
2019年7月14日、フランス・アラスの丘。
オスカル・フランソワが天に召されてから10年毎に行なっている恒例行事…降霊術。
1789年から230年もの月日が経った。
「…ジェローデル…だよな？ 何だソノ髪型は！？」
「東洋ジャポン、どん兵衛風オスカル嬢を真似てストレートにしてみました」
ジェローデルはストレートの長い髪をサラリと手で靡かせた。
「…どん兵衛…って何だ？」
「日清のカップ麺…うどんのどん兵衛でございます」
「カップ麺？」
「はい。関東風と関西風の味付けで食べ比べ企画。関西風が大変に美味でした。ぜひオスカル嬢にも…」
「いらん」
素っ気ない態度を取られても、もう慣れたものでジェローデルも懲りずに会話を続ける。
「グリーンの軍服もアリですね！」
「は？意味不明だぞ」
ジェローデルが不老不死となり、10年毎に自分達を訪ねて来てくれるのは嬉しいが…話をするのは楽しい反面、彼に対する態度も扱いもテキトーになってくる。
ジェローデルは旅した国々の話や流行りモノの話などをして、オスカルとアンドレは天界の話を「内緒だぞ」と教えたりしていた。
当分ジェローデルも天界とは無縁だろうから問題ないだろうとオスカルは呑気に笑っている。
オスカルとアンドレ、輪廻転生して人として生まれ変わることになったと天界で告知されたコトをジェローデルにも告げると。
「オスカル嬢…もう10年毎にお会いできないのですか？」
「いや。輪廻転生しても魂は…あれ？どうだったかなアンドレ？」
「…さぁ…そこまでは聞いてない」
「ん。まぁ、10年後も来てみてくれ」
「もちろん此処に伺いますが…輪廻転生して生まれ変わるのはフランス国内なのですか？」
「…わからん。というか判っていても教えん」
「オスカル嬢！？」
「お前ヒマそうだし…世界一周でもしながら捜してみてくれ」
「オスカル嬢…本当にお捜ししますよ。私には永遠の時間がありますので」
「あはは。まぁ頑張れ。わたしとアンドレは結ばれる運命だから、来世も一緒にいると思うけれどな。あと、お前の髪にストレートは似合わんと思うぞ？ じゃあな！」
ニッコリ笑って手を振るオスカルと、困惑気味に頭を下げながら笑顔を作っているアンドレ。
辺りの空気がフワリと揺らめき、オスカル嬢とアンドレの姿が霞んでゆく。
「フローリアン♡」と手を振りながら消えてゆくオスカルは最後に投げキッスまで寄越し、思い切りアンドレに腰を引かれながら消えていった。
「………っ！オスカル嬢…貴女という方は…」
可愛らしい小悪魔ですか。
ジェローデルは右手で顔を覆った。
例え、冗談でふざけているとわかっていても愛する者にファーストネームで呼ばれることは嬉しく思う。
18世紀…共に生きている頃にファーストネームで呼ばれることは無かったのだから。
流石に200年以上、10年毎のフランス革命日に会っていれば、フレンドリーにもなる。
不老不死になったジェローデルにとっては、自分の原点を忘れずに生きてゆく為の光でもある10年毎の秘密行事の降霊術。
輪廻転生をするという二人を捜しながら、私は10年後もアラスの地を訪れるのだろう。
「また、お会いいたしましょう。マドモアゼル」
ジェローデルは墓標に頭を下げ、澄んだ空を見上げた。
今までの生きがいは10年毎にオスカル嬢に会うことだったが、これからは生まれ変わる二人を捜す旅ができるのだ。
生まれ変わり、何歳に成長したオスカル嬢に出会えるのか…。
その時も、おそらく隣にいるであろうアンドレ。
再びオスカル嬢に振られることも予測しているが、楽しみは絶えないということだ。
その合間にポーの村にも立ち寄れるだろう。
村から出たというエドガーに再び出会うのと、生まれ変わるオスカル嬢に出会うのは…どちらの確率が早いだろうか。
ジェローデルは微笑みながら長い髪を梳いた。
『この髪のストレートは不評でしたね…戻しましょうか』
夏の心地よい風がジェローデルの指から梳く髪をさらっていった。
◆おわり◆
…というコトで、ポー＆どん兵衛ネタでオスカル＆アンドレとジェロを絡めてみましたヽ(´o｀；
