◆ベルばらSS短編《ホットミルク》 〜オスカルさま お誕生日によせて〜

◆ベルばらSS短編《ホットミルク》
〜オスカルさま お誕生日によせて〜

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オスカルお誕生日SSです。
別のSSを書き途中でしたが、アンドレとジェロの誕生日SSがホットミルクだったので、オスカルさまも繋がりネタのお話に急遽変更して書きました。…が、短いお話です(^◇^;)

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１２月２５日。
オスカルの誕生日である今日は午後から雪が舞い始めていた。
昨夜も日付が変わるまでオスカルの部屋にいたアンドレは２５日を迎えて最初にオスカルの誕生日を祝う言葉を告げ、ノエルのプレゼントも互いに贈り合い、オスカルの誕生日プレゼントも手渡した。
ひとときの逢瀬、アンドレはオスカルの部屋を後にした。

２５日は朝から雪が降りそうな雲行きだった。
衛兵隊に向かう馬車の中でアンドレは言った。
「今日は冷えそうだね。今夜はショコラではなくホットミルクを用意しよう」
アンドレの言葉にオスカルは嬉しい反面、複雑な心境である。
「それは嬉しいが……意趣返しか？」
「…あ、まだ根に持ってる……？」
今年の８月、誕生日に夏風邪をひいたアンドレにオスカルがホットミルクをいれたが砂糖と塩の配合を間違えたのだ。
『藺草のずきん』物語にある《ひとつまみの塩》を入れた筈が砂糖一杯とひとつまみの塩を逆に入れてしまったのである。

秋にジェローデルが父上と仕事帰りに雨に降られてジャルジェ家に立ち寄った際も誕生日が近いジェローデルにホットミルクをいれた時も砂糖と塩の配合を間違えた。
侍女ローズが近くにいてくれたのに間違えたのだ。
アンドレは二度の間違いに気づきつつ美味しいと飲んでくれた。
ジェローデルもそうだ。
なのに。
なのに！
自分で飲んでみて「おかしいな」と首を傾げたらアンドレにコトの顛末を言われたのだ。
何なのだ２人とも！
まったく変な奴だ。
馬車の中で頬を膨らませるオスカルにアンドレは微笑む。
「オスカルには特別なホットミルクを入れるよ。
ひとつまみの塩を入れましょう」
「…嫌味か？」
「根に持つなぁ。オスカルが入れてくれたホットミルクも美味しかったよ。翌日から仕事復帰できたの忘れちゃった？」
「……わたしは二度も間違えたんだぞ」
「勘違いして間違えちゃっただけだよね。それでも、愛情が込もっていれば最高に美味しいし幸せなんだ。好きな人と飲むひとときのお茶はどんな高級品の茶葉にも敵わないのと同じだよ」
「何だかなぁ…」
肩を竦めて苦笑するオスカルにアンドレは笑う。
「今夜はオスカル好みのホットミルクを用意するから楽しみにしていて」
楽しそうに告げるアンドレをみてオスカルも釣られて笑い出す。
「２人分用意するのだろうな？」
笑いながらアンドレは頷いたのだった。

夜。
アンドレはホットミルクを用意してオスカルの部屋にやって来た。
「お待たせ。ホットミルクだよ」
暖炉近くの長椅子に座るオスカルの前にカップを二つ置き、アンドレは隣に腰掛けた。
オスカルは笑みを浮かべてカップを持って口元に近づける。
ミルクの表面にはミントの葉。
甘いミルクの香りとは別のアルコールの匂い。
「ブランデー割り？」
「うん」
頷くアンドレをみてオスカルは笑う。
「ホットミルクに蜂蜜を入れてブランデーは多め、ミントの葉も浮かべてみました。愛情込めてひとつまみの塩も入っております」
丁寧に説明をするアンドレにオスカルも噴き出した。
「わたしも砂糖ではなく蜂蜜を入れれば間違える心配は無かったのか？」
「さぁ…どうだろう？」
オスカルの天然パワーが炸裂すれば蜂蜜を入れた後、ひとつまみの塩と砂糖を間違えてしまうかもしれない。
それはそれで甘々のホットミルクだから美味だろう。どんな味付けでもオスカルが自分の為にいれてくれたものならば幸せなのである。
そんなことを思いながらアンドレは微笑んだ。
「なにを笑っているんだ？」
「オスカルがオレの為に用意してくれたものなら何でも嬉しいなぁ…と」
うんうんと一人納得しているアンドレの顔を見上げてオスカルは口を尖らせた。
「何だそれは」
「この時間も幸せだな…と思ってね。ほら、冷めないうちに飲んで」
アンドレに優しく肩を抱かれてほんのりと体温が上がるのを感じ、オスカルは素直に頷いた。
「…あぁ」
一口飲んだオスカルの口元が満足そうに笑みをつくる。
「美味しい。ホットミルクはブランデー多めが良いな」
「オスカル仕様だからね」
オスカルのホットミルクにはブランデーたっぷりなのだから。
ブランデー割りホットミルクを気に入ったらしいオスカルはカップを両手で持ってコクコクと飲み、アンドレの肩に身体を預けた。
「うん。これは気に入った。流石アンドレだ」
嬉しそうに笑うオスカルの額にアンドレはそっと口付けた。
「お褒めいただき光栄でございます」
笑い合う２人の逢瀬、ひとときの時間は温かく過ぎてゆくのだった。

◆終わり◆

お読みいただき有難うございました。

〜オスカルさま お誕生日おめでとうございます☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆

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