オールドレーシングカー談義

1950~1970年代のレーシングカー、その他のマシーンについて語り合うブログです

2枚ウィングはゲテモノか

2009-02-20 | log・レーシングカー他

ブログを書く為にバックナンバーをめくっていると、面白いものに出会いました。1968年のニッサンR381の2枚ウィングの是非についてCGの読者投稿欄で論争になったのです。
論争のきっかけは、読者のS.Y.さんの投書です。1968年5月の日本グランプリで優勝したニッサンR381の特徴であったリアの2枚ウィングについて、非難したのです。将来の自動車の役に立たない技術を開発して、何の意味があるんだということです。これに対して様々な読者が投稿し、数ヶ月に亘る論争になったのです。決着はつかず、S.Y.さんの論争に参加した読者への感謝の言葉でケリとなりました。
英国では、自動車雑誌の投稿欄で論争になるのは、よくあるということでした。しかし、日本の雑誌でこのような論争になるのは珍しく、中々面白かったものです。この議論で気付いたことは、S.Y.さんの基本認識です。その頃のマニア(古いな)の認識として「日本の自動車技術は、まだまだ遅れている。その中で、HONDAは、二輪のGPを世界制覇し、更に4輪のGPでも優勝し世界で認められている。トップのトヨタ、日産でも、技術的には二流である」ということがあったと思います。まだまだ二流の技術陣が、思いつきで変なウィングを考え出したという気持ちはあったと思います。今考えると2枚ウィングは決してゲテモノではなかったと思います。ロールに合わせて左右のダウンフォースを変えてロールを抑えるという考えは、合理的なものだった。只、ジムホールの「ウィングをハイマウントし、層流域に置き効率化する」という斬新な発想が、実用化に障害となった。素晴らしいアイデアなんだけど、様々なストレスに見舞われ、脱落のトラブルを起こし、その不安感は、実用車への適用はためらわれるものでした。その当時は、ウィングをボデー近くの乱流域に装着しても有効であるという認識は、薄かった。その考えが定着するには、まだ数年を要したのです。従って、2枚ウィングをボデー近くに置く設計は、あり得たと思います。ウィングには、ボデーそのものを押さえつける機能とスタビライザーとしての機能の2つの機能があります。押さえつけるダウンフォースが大きくなり過ぎて、スタビライザーとしての機能は、陰に隠れてしまいました。強引に押さえつけるだけが能ではないのです。ハイマウントウィング、ベンチュリーカー、ファンカーなどの空力デバイスが考案されました。これらのデバイスには、突然のダウンフォースの抜けの危険性があります。これを一大事にならなくするフェイルセイフ機能の追求とスタビライザー機能が、空力の2つの重要テーマだと思います。
 最初の読者論争は、意外な結末が待っていました。この年のモーターショーにS.Y. さんの尊敬するHONDAが、RA302F1に2枚ウィングを装着して展示したのです。但しボデーマウントでしたけどね。今考えてみると、ボデーマウントだと2枚ウィングの効果は、希薄になるでしょうが・・・・

   
                   R381とRA302 
この論争を久しぶりに読み返して、日本人て真面目だなーと思いました。レースを趣味とは割り切れず、実用に適用できる技術を開発してこそレースをする意味があるという考えなのです。又、「レースは走る実験室」というフレーズもしっかり定着していました。無理ないですけど。
で多少まとめらしきこと。軽自動車エンジンのFL550/FJ360の良さは、性能が拮抗していて接戦が多い。そしてデザイナーが色々工夫して遊べる余地があったことでしょう。F20というスポーツレーシングカー規格は、その楽しさの再現も狙ってるみたいです。だったら2枚ウィング位認めて欲しいですね。



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2 コメント

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Unknown (ono)
2009-02-20 22:48:17
実際可変式エアロスタビライザーって合理的ですよね。整流効果もあるし、ブレーキング時に制動効果高めるし、ローリング押さえられるし。 F1で高い位置での取り付けが禁止になったのって、ボディマウントしたからなんですかね。押さえつけるにも下がエンジンじゃ意味が無いですもの 
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禁止のウィング (FVA)
2009-02-21 01:41:16
確か車輪のハブからステーを立てて、ウィングを取り付けるのは、現在禁止だと思います。通常のボデーから生えたウィング高は、全高で制限していると思います。
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