オールドレーシングカー談義

1950~1970年代のレーシングカー、その他のマシーンについて語り合うブログです

ジャーダ(その8)・流れの元からX1-9へ

2010-11-30 | デザイン

 Porsche914の元となった車は、南ドイツのデザイン事務所がデザインしたBMWエンジンを載せた車だったという話を読んだ事があります。それ以上具体的に見つけられずにいました。しかし、ある時ひらめいた事があります。1968年頃、評論家の山口京一氏のレポートでバイエルン社の製作したオールプラスチックカーのセミナーの話があったのです。これもエンジンはBMWでした。もしかしてと思って「バイエルン」「プラスチック」の方向から調べていくと、こんなものが。バイエルンが1967年の展示会に出展したオールプラスチックカーです。BMWエンジンをフロントに搭載しているのですが、かなり前寄りに搭載しておりキャビンも前寄りになって後輪と前席の間にかなり空間があり、MIDエンジンに出来そうです。ノッチバックになっていますが、フロント、キャビン、トランクの各々の強度を確保したかったからでは?
(赤字の部分は抹消させて下さい)
 バイエルンK'67プラスチックカー
             
   Porsche914
             
      DeTomasoCoupe1600
             
        FIAT X1-9

バイエルンの車を出発点にした(と思える)のは、スタイル(もでしょうが)というよりプラスチックボデーを諦めていなかったのではと思えます。つまり、904のファイバー吹き付け式のFRPボデーの品質ばらつきを克服して、新しいプラスチックボデーを開発しようとしたのでは?資料を随時付け加えていきたいと思います。南ドイツのバイエルン、BMW、Porscheなどの交流はどんなものだったでしょう。ヨーロッパ、ドイツの化学工業メーカーは、巨大なもので、中小自動車メーカーにとっては、パトロン的な面もあったかもしれません。
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 K'67プラスチックカーとポルシェ914のサイドレイアウトを比較してみると。
    上:K'67  下:914
        FIAT X1-9

 K'67の方は、C/G1968年9月号の山口京一氏のレポートの添付図を掲載させて戴きました。黒いパネルが、FRPでウレタンを挟み込んだプラスチックシャシーです。エンジンは、BMW2000のエンジンをかなり前にずらして搭載しています。エンジンの後ろにバルクヘッドを立て、前席の後ろからシャシーを立ち上げています。キャビン部の強度、剛性を確保する為でしょうか。これで事実上後席は、つぶれている様に思えますが。914は、K'67のエンジン部をトランクルームとし、後席部にエンジンを搭載している。このレイアウトの為、プラスチックシャシーを断念し、スチールモノコックにしたと思えます。914は、この図面だけで見ると(私には)合理的な配置に思えます。エンジン部をモ-ターと電池に置き換えれば、そのままEVにさえなりそう。実際、米国の大学生がEVを自主製作する時のベースに中古914を使ってましたけど。スタイルも合理的なものだと思います。それが、ファンを引き付ける魅力を持っていたかどうか。機械的合理性の魅力とエモーショナルなスポーツカースタイルの魅力が合致すれば良いのですが。
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 914までの変化を辿り、その次(?)のDeTomasoCoupe1600を見てみますと。サイドビューは914のプロポーションに近いと思います。但し、エンジンはVWグループのキャンセルにより(?)FORD4気筒RS1.6リッターを横置きに搭載と発表されてました。大きな違いは、リヤピラーがスッキリとしている。又、キャラクターラインが緩やかな弧を描き、リアに向けて裾を引く様に下がっていることです。'60年代前半までの手法を踏襲しており、ウェッジではありません。只、洗練されており、美しいと思います。スプライトの様な軽スポーツカー。カルマンギアの様なパーソナルカー。どちらでもいけそうです。唯一の弱点は、正面視でフードが広すぎてインテイクの形状が煮詰めきってないことです。その事は、後に続けたいと思います。デビューした1971年末のトリノショーでの評判は良かったと思います。エンジンの変更はデザイナーのギア(トムジャーダ)がFORD傘下に入ったことによるものであり、スペック上の問題だと思います。フードの形状の問題は、次の課題として尾を引きました。




                       FIAT X1-9とアウトビアンキラナバウト
11/27の掲載の写真の様に914、DeTomasoCoupeのフロントフードが広がり過ぎ「のっぺり」している印象を受けます。このこととノッチバックによりピックアップ的なイメージを与えかねない危うさを感じます。それに対してうまくデザイン処理をしたのが、FIATX1-9だと思います。
 本当にDeTomasoCoupeのデザインを買ったのかは分かりません。もう一つの説として、'60年代からダンテジアコーサが、考案したジアコーサ式の横置きFWD駆動方式の応用を研究していた。このミッドシップスポーツカーのトライをイタリア自動車技術会として行っていたらしい。この時のデザインがDeTomasoに流れたという文章も読みました。オリジナルはともかくその頃からの流れがあるという理解で良いのではないかと思います。
 X1-9でのデザイン処理の肝として
    ①全体をウェッジ形とした。トリノショーに出品したアウトビアンキラナバウトの応用と言って良いと思います
    ②エンジンは無いが、ロングノーズとする。
    ③ノーズ下面を緩やかにアンダートレイまでつなげて成形する
    ④ノーズ先端を尖らせる。平面図から見たノーズ先端を少し矢形にする。
これらにより、ピックアップ的な印象に陥ることを防いでいます。X1-9は成功を収めたと言って良いと思います。ここまででドラマはひとまず終わりでしょう。しかしもう一つの流れも追ってみたくなりました。
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 大変なミスをしていました。バイエルンK'67がノッチバックだと書いていました。手に入った側面透視図ではノッチバックになっていましたが、その後手に入った写真ではファストバックになっていました。複数台の試作車があったかは不明ですが、上記の赤字の部分を削除させて下さい。
    


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1 コメント

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見た人が誤解を招くといけないので (Horry t)
2020-10-08 21:13:23
ガンディーニによるX1/9のデザインが先で、トム・ジャーダのデトマソがそれを真似して世間を騒がせた、アレッサンドロによる悪戯だったことを知らずにこの記事を書いたのでしょうが、インターネットで公開されたこの記事が、真実を追えなくしているとしたら、X1/9オーナー側としては非常に気持ちが悪いので、下記の記事へ目を通すように何卒お願いいたします。

http://motorpress.jugem.jp/?eid=306

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