オールドレーシングカー談義

1950~1970年代のレーシングカー、その他のマシーンについて語り合うブログです

新時代の息吹き・F1での潮流変化を辿る(再追加)

2009-06-13 | F1・2009

 F1にとって、今年が大きな歴史の転換点になりそうです。最も大きな問題点は、ヨーロッパのスポーツ選手権として本来的な性格を見つめ直すか。世界的なショービジネスをもっと突き詰めるかという事でしょう。そこで過去の時代の変わり目を辿るのも一興かなと。

 1958年 アルゼンチンGP
ミッドエンジンクーパーの初優勝。タイヤ交換無しの捨て身のノンストップ作戦による、スターリングモスの神業勝利。クーパーというガレージコンストラクター製のシャシー。産業用エンジンメーカーのコベントリークライマックス製FPFエンジン。ロブ・ウォーカーというプライベートチーム。それまでと全く異なる構成のチームによる勝利。これ以後の1960年代のマシンと較べても、以前のフロントエンジンのフェラーリ、マセラティと較べてもチープに見える。本当にバックヤードの作品という気がします。なにしろ、設計図が無く、床にチョークで線を引いていたという話がありますからね。

     1962年ドイツGP
 ブラバムBT3初出走。ドライバーコンストラクターの始まり。ゴルフコースか公園の様な雰囲気。レーシングフィールドの持つ性格、競技のムードが全く異なる。機械設計者としても堅実な腕を持っていたトーラナックの設計だけに、クーパーより遥かに洗練されて、まとまった設計。クーパーのNO.1だったブラバムは、クーパーの弱点をよく熟知していたのでしょう。わざわざオーストラリアからトーラナックを呼び寄せます。トーラナックは、一人で1号シャシーを設計し、自分でシャシーを組み立てます。60年代のマイナーフォーミュラーの標準形の誕生です。自身は4年後にF1チャンピオンを奪取します。

                1967年オランダGP 
慌しく予選を走るLOTUS49FORD。クラーク、ヒルのジョイントNO.1が見える。デビューウインを飾り、DFV標準エンジン時代の幕を開けた。実はDFVは振動問題を抱えており、クラークの勘の良い操縦がなければ、危なかったことが明らかになっている。ダックワースは、自宅の食堂にドラフターを持ち込み、一人でDFVを設計した。自身として初めて、エンジンを丸ごと新規設計したものでした。それが、デヴューレースでの独走勝利。歴史の転換点とは、案外そんなものなんでしょうね。

       1977年イギリスGP 
ルノーRS01初出走。ターボエンジン時代の幕開け。Ferrari以外の自動車メーカーの久々のF1参戦(LOTUSがTEAM LOTUSとしての出場として)。周囲の懐疑的な眼に囲まれながらのデヴュー。その後、2年間をかけて初勝利に辿りつく。当初計画はW9型の3リッターエンジンだった。チーフのフランソワーズカスタンの判断でターボに変更。歴史が、その後どの様に変わったか?感慨深いでしょうね。今後のF1規格は、どの様に変わっていくか?
 
今後、自動車メーカーが一歩引いた形になっていくか、プライベート中心の形態になるか。メーカーが、F1に参加する意義が薄れて行くでしょう。一方でプライベートのビジネス形態も怪しげですし、参加するにあたってどの様なコンポーネントを使うかがはっきりしていません。セカンドフォーミュラーの様な標準V8エンジンか(これでも良いと思うのですが、反発も多いでしょう)。小排気量エンジンにターボとKERSを装着するか。私は、小排気量エンジンに量産ブロック規定を設け、尚且つベースエンジンの買取規定を設ければと思っています。これは、二輪で実施されたことがあるもので、競争力を発揮したエンジンをライバルチームから要求された時は、規定価格以下で売らなければいけないというものです。これによって、ベースエンジンの開発競争の意味は薄れます。取り付ける周辺機器の開発に比重が移って、そのエネルギーマネジメント競争の勝負になるというものです。

 SuperAgriが、F1参入する時、しょうもないことを考えました。F3シャシーに1プライか2プライ更に巻き付けて補強します。それにV8エンジンを装着して即席のF1に仕立てるというものです。一回りコンパクトなシャシーが意外な競争力を発揮する・・。プライベートコンストラクターでもなんとかやっていけるのでは?と思いました。昔は、何度も同様なことがありました。現代でも画期的な空力デバイスがあれば、結構イケルと思ったものです。ところが、今年になって、ジュネーブショーにフィォラバンテのコンセプトF1が出品されました。このシャシーが、丁度F3シャシーのサイズなのです。この規模のシャシーに(4気筒+ターボ+KERS)を搭載すれば・・・。二つの規格が混在することは、何度もありました。1回り小さなシャシーのマシーンが、観衆の驚きの中を快走する。過去何度もあったシーンにロマンチックなものを感じるのは、オジサンであることは、承知していますよ。

 新しい規格(4気等+ターボ+KERS?)の規格を導入するにしても、現在の(2.4L 8気等 NA )と混在しなければいけません。そして、序々に新しい規格に移行しなければいけません。以前の( 1.5Lターボ )から( 3.5L NA )への移行をおもわせます。以前通った道であり、歴史の自然な流れです。FIAの会長さんが、何故あれだけ対決姿勢を示すのでしょう。わざわざF1を破滅させてしまいかねないのでは。

SuperAgriのF1参入というものは、かなり唐突な印象を受けました。事実、佐藤琢磨のF1シートを確保する為の急ごしらえの面もあったと思います。しかし、結果的に現在のプライベート化の動きの先駆けになったことも確かです。時代の変化の始まりであったのに驚かされます。変なスポンサーにひっかからず、コンパクトなチーム運営を継続できていればやれたんですね。
 
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ちょっと過去の例を振り返って、マイナーフォーミュラーを利用してF1に登場したマシンを見てみましょう。
 

 
 1967年 BRABHAM-BT24    F2のBT23にF1用3リッターREPCOエンジンを押し込めたもの。見事に1967年のチャンピオンを奪取。F1として設計されたLOTUS49との違いが明確。特にトレッドの違いが際立つ。最初、ジャックブラバムは、ギヤボックスさえF2用をそのまま使おうとした。これは、無理だったみたいですね。

 
 1968年 MATRA-MS9    F2のMS7にDFVを押し込めたもの。デビュー戦の南アGPで、序盤をリードし、MATRAシャシーの優秀性、合理性を見せつけ、MATRA自身にも自覚させた。リファインしたMS10で1968年ランキング2位。翌年のスチュワートのチャンピオン奪取につなげていった。   
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FIAから2010年度のエントリーリストが発表されました。既存チーム10チーム。新規参入チーム3チーム。「丁度良い」配分だと思います。ところが、FerrariとRedBullは、バジェットギャップに対して条件をつけないエントリーと発表されました。これに両チームは、すぐさま抗議のステートメントを発表しています。FIAが傲慢なのか、手続きにミスがあったのか。信頼感の欠如なのでしょうか。更に、新規参入は、カンポス、マノー、US・F1の3チーム。US・F1は、かなり報道されていました。しかし、残り2チームについては何にも分かりません。来シーズン開始までにマシンをグリッドに並べられるのでしょうか。それ以前に、何のために参入してくるのでしょう。以前に新チームが参入してくる時は、発起人が現れ、まずデザイナーとドライバーが噂に上ります。その内ファクトリーが建てられ、マシンが形を現してきます。そんなワクワクした気分になりません。当初は、メーカー系のチームが、少しずつ後退すると思われていたのが、こんな新規参入チームだと当てにする訳にはいかない事になるのでは。FIAがまずしなければいけない事は、来シーズンの車両レギュレーションの確定でしょう。今のままでいくのか。もうひとつの規格を規定するのか?。早くしないと、F1のステータスの喪失になりかねないと思います。
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2 コメント

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Unknown (ono)
2009-06-14 09:25:50
かなりお久しぶりです


なんだか来年のF1は先が見えませんね・・・どうなるか分からないプライベーターチーム どうなるか分からないフェラーリを代表とする既存メーカー系チーム どうなるか分からないレギュレーション・・・
先行き不安な物に人は集まりませんし、スポンサーも出ない

なんとかしてせめてレギュレーションぐらいはまともにしてほしいものです
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本当にF1が不安 (FVA)
2009-06-14 12:30:43
本当にお久し振りです。シーズンの開始前は、メーカー中心から(おじさんにとっては)懐かしいプライベートコンストラクター中心の選手権の方向に進むと思ってました。大枠では当たっていたと思います。しかし、そのプライベートもなんだか怪しげ。20~30年前には考えられなかったビジネスモデルが可能になっています。選手権としての本質を見つめ直す事が、大切ではないかと思えてきてます。又、ブログにお邪魔します。インターメカニカが、あんなに良い車だとは知りませんでした。
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