全社員が「少しでも収益を」と奮闘を続ける「日本一小さな航空会社」
2000年に天草空港を開設し、福岡、熊本便を就航させた。
初は県OBらが社長を務め、ビジネス客や住民の利用で経営は順調が
搭乗率は徐々に低迷し、
赤字決算が続いた。
民間からのトップ就任は2人目。
自分たちで何ができるか考えようと
現場に創意工夫する空気が生まれた
客室乗務員たちは手づくりの

機内誌を作成
乗客との記念撮影に気軽に応じ

アナウンス

も型通りでなく
当意即妙に話し
気さくな雰囲気と評判を呼びリピーターが増えた。
公募デザインで機体はかわいい親子イルカのペインティングに変更し

(ビルにも職員の手書き)
女性や子どもの人気を呼んだ

行政支援で達成
行政だけでなく地域も一肌脱ぎ、「
天草の空サポータークラブ」を
つくってファンを囲い込む支援策が始まった。
こうした努力が奏功し、13年度は旅客数が前年度比14・5%増の
7万6387人となり、
売上高は7億3277万円で2年連続の増収決算となった。

純利益も1288万円で、
5年連続黒字となった。
「黒字は県や2市1町の補助金(13年度は計3億1400万円)があってこそ達成できた」
奥島氏から昨年6月バトンタッチした吉村孝司社長も就任会見で、
「収入を拡大し、行政の負担を軽減したい」と力を込めた。

機体更新が難題
同社は就航以来、「1日全便、全席満席」の達成がない。そこで悲願をかなえようと8日、
「1日全便搭乗率100%祭」と銘打ったキャンペーンに挑んだ。
しかし全席予約で埋まったものの、この日になってキャンセルが出て達成はならなかった
一方、4月からは、各便の座席の一部をJALが販売する「コードシェア」も始め、搭乗率向上を狙う。
攻めの姿勢を崩さないのは、
1機しかない機体の更新という難題が控えているという事情もある。

仏製プロペラ機(48人乗り)の購入費約21億円は2市1町で負担するが、
来年1月の就航前に5カ月間にわたってパイロット8人を訓練に充てる必要があり、
その間は定期便が大幅に減便せざるを得ない。
利用客をどうつなぎ留めるか。
営業努力は終わりがない
◆天草エアライン・・・1998年10月設立。運航開始は2000年3月
資本金4億9900万円。役員・社員58人
現在は天草-福岡3往復、天草-熊本1往復、
熊本-伊丹1往復の計10便を毎日運航
西日本新聞社より抜粋しました